採掘作業の現場で土砂崩れが起こらないように補填をする「土止め支保工」という作業をご存知でしょうか。今回はこの作業のプロフェッショナルであり、現場の指揮監督をする国家資格「土止め支保工作業主任者」について紹介していきます。
土止め支保工作業主任者とは、どんな資格?
採掘作業に伴う危険の一つが、土砂崩れや土壁の倒壊ですが、それを防ぐために活躍する国家資格が「土止め支保工作業主任者」です。「土止め支保工」とは、土壁の前に鉄板や木の板で壁を作り、この壁を内側から土壁に向かって鉄骨などで押さえつける作業で、これによって壁が崩れたり岩が落ちてきたりしても、作業場所に入ってくるのを防ぐことができます。
土止め支保工作業主任者は、採石業者の事務所ごとに配置が義務付けられている専門職で、土止め支保工をする作業場、また深さ2m以上の地山の掘削作業場では、必ず作業主任者を選任しなければなりません。こういった現場で、土止め支保工作業主任者は以下のような仕事を執り行います。
- 作業を行う前の打ち合わせや確認
- 作業方法の指示と確認
- 作業中の指揮、作業員の指導
- 作業方法を変更する時の指示と措置
- 器具・工具の点検、安全対策
- 作業終了後の措置
現場の安全対策が主な仕事で、作業全体を把握し、安全に作業が進められるよう現場を監視・指揮するリーダー的なポジションといえます。
学ぶ知識・技術
土止め支保工作業主任者の国家資格は、「地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習」を受講し、修了試験に合格すると取得できます。講習は3日間で、下記の知識を習得していきます。
- 地山の掘削作業・土止め支保工作業の方法に関する知識
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- 土止め支保工の種類と材料
- 構造と組立図
- 点検、補修
- 土止め支保工の切りばり・腹おこし等の取り付け、取り外しの作業
- 工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識
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- 工事用設備および機械の取扱い
- 電気および内燃機関
- 器具および工具
- 有害ガス
- 危険防止のための措置
- 土砂および岩石の性質
- 崩壊の予知
- 作業者に対する教育等に関する知識
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- 作業者に対する教育および指導の方法
- 作業標準
- 災害発生時における措置
- 関係法令
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- 労働安全衛生法
- 労働安全衛生法施工令
- 労働安全衛生規則
- クレーン等安全規則中の関係条項
土止め支保工作業主任者で目指せる職業、就職先は?
土止め支保工作業主任者としての主な就職先は、建設・土木業界、砂利採取業界の企業です。
土止め支保工作業主任者になるとどんな悩みが解決できる?
土止め支保工作業主任者になると、次のような悩み・問題が解決できるようになります。
- 土止め支保工作業主任者が解決できること
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- 採掘現場などで土止め支保工の作業方法を決定・指揮をし、安全対策を徹底することで、土砂崩れなどの大事故を防ぎ、作業員の命を守る
土止め支保工作業主任者の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受講資格)
土止め支保工作業主任者の資格を取得するには、技能講習を受講し、修了試験に合格する必要があります。講習を受講できるのは、下記の条件を満たした人です。
土止め支保工作業主任者技能講習の受講資格
- 地山の掘削作業、または土止め支保工の切りばり、腹おこしの取付け・取り外しに関する作業に3年以上従事した経験がある者
- 大学・高等専門学校・高等学校または中等教育学校で土木・建築・農業土木に関する学科を専攻して卒業し、その後地山の掘削作業または土止め支保工の切りばり、もしくは取り付け・取り外しに関する作業に2年以上従事した経験がある者
取得にかかる費用
土止め支保工作業主任者技能講習の受講にかかる費用は、受講先の機関によって異なりますが、相場はおおよそ14,000円です。
土止め支保工作業主任者はどんな人におすすめの資格?
土止め支保工作業主任者は、次のような人に取得がおすすめの資格です。
- 土止め支保工作業主任者の資格取得がおすすめな人
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- 土止め支保工や採掘作業の仕事に2~3年従事している人
- 体力と現場をまとめるコミュニケーション能力に自信があり、責任感の強い人
- 比較的年収の高い仕事に就きたい人(平均年収は500~600万円)
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
土止め支保工作業主任者の資格を管理し、講習を開催している主要な機関は、「建設業労働災害防止協会」です。資格講習の日程や会場については、下記のHPからご確認ください。
まとめ:土止め支保工作業主任者は責任の重い仕事を担うが、貰える給与も高め
土止め支保工作業主任者は、作業員の命を支える責任重大なポジションであり、体力が必要なハードな職種ですが、その分収入が高く、有資格者は土木業界で優遇されやすいです。興味のある方はぜひ積極的に資格取得を!
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