鋳物(いもの)の検品をする際に照射する「ガンマ線」をご存知でしょうか。今回はこのガンマ線の取り扱いや安全管理のプロ「ガンマ線透過写真撮影作業主任者」について、仕事内容や資格の取得方法などをお伝えしていきます。
ガンマ線透過写真撮影作業主任者とは、どんな資格?
「ガンマ線」とはエックス線と同じ放射線の一種で、物質を透過する性質を持ちます。主に鋳物(金属を熱することで溶かして液体にし、型の空洞部分に流し込み、冷やして固めた製品)の内部や、金属の溶接部分の検査をする際、このガンマ線を活用します。ガンマ線が当たることで、鋳物に製造過程でのひび割れなどが入っていないか、内部の傷の有無がわかるようになるのです。
そして、ガンマ線発生装置を使って検査業務をする現場で、管理区域ごとに選任が義務付けられているのが「ガンマ線透過写真撮影作業主任者」です。労働安全衛生法に基づく作業主任者の一種で、次のような仕事を担います。
- ガンマ線照射装置を使用する現場にて、作業における安全指導、保安監督をする
- 一般の人がガンマ線を浴びないよう、管理区域への人の出入りを規制し、管理区域の標識を確認する
- ガンマ線の放出量を抑える
学ぶ知識・技術
ガンマ線透過写真撮影作業主任者の国家資格を取得するには、国家試験であるガンマ線透過写真撮影作業主任者試験に合格する必要があります。試験では、下記の知識が問われます。
- ガンマ線による透過写真の撮影の作業に関する知識
- 関係法令
- ガンマ線照射装置に関する知識
- ガンマ線の生体に与える影響に関する知識
ガンマ線透過写真撮影作業主任者で目指せる職業、就職先は?
ガンマ線透過写真撮影作業主任者が目指せる主な就職先は、鋳物の検査を実施する現場や会社など、工業分野の業界です。
ガンマ線透過写真撮影作業主任者になるとどんな悩みが解決できる?
ガンマ線透過写真撮影作業主任者になると、次のような悩み・問題が解決できるようになります。
- ガンマ線透過写真撮影作業主任者が解決できること
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- 放射線の一種であるガンマ線を使う作業現場での安全性を確保し、作業員や周囲の人の健康に悪影響を与えるのを防ぐ
ガンマ線透過写真撮影作業主任者の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
ガンマ線透過写真撮影作業主任者の資格を取得するには、ガンマ線透過写真撮影作業主任者試験を受験し合格する必要がありますが、この試験は年齢や学歴、職歴を問わずどなたでも受験できます(免許交付は満18歳以上であることが条件です)。
取得にかかる費用
エックス線作業主任者試験の受験にかかる費用は、6,800円です。
ガンマ線透過写真撮影作業主任者はどんな人におすすめの資格?
ガンマ線透過写真撮影作業主任者は、次のような人に取得がおすすめの資格です。
- ガンマ線透過写真撮影作業主任者の資格取得がおすすめな人
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- 工業検査の業界に興味があり、難易度の比較的低い国家資格を取得したい人(合格率は70%程度)
- 関連資格を保有している人(エックス線作業主任者や診療エックス線技師免許など。試験科目が一部免除される)
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
ガンマ線透過写真撮影作業主任者の国家資格を管理し、試験を実施しているのは「公益財団法人 安全衛生技術試験協会」です。試験は例年1回開催されますが、その年の試験日程や会場、受験申請などについては、下記のHPからご確認ください。
まとめ:鋳物の製造工場や関連業界で働いているなら、ガンマ線透過写真撮影作業主任者の資格は評価されやすい
ガンマ線透過写真撮影作業主任者はマイナーな資格で、できる業務もガンマ線による放射線撮影に限定されるので、資格保有者向けの求人はほぼないのが現状です。ただ、鋳物の製造工場や関連業界の現場で働いている人は、この資格を取得することで手当がもらえたり、昇格しやすくなったりする可能性があるので、関心があれば取得に向けてぜひ準備を。
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