あらゆる企業にとって欠かせないのが「会計」業務と、株主への経営状況の報告ですが、これらの報告が正確に行われているかチェックする第三者機能を果たしているのが「公認会計士」です。今回はこの公認会計士とはどんな資格か、具体的な業務内容や資格の取得方法、取得によるメリットなどを紹介していきます。
公認会計士とは、どんな資格?
公認会計士とは、企業の監査と会計を専門に手がける国家資格です。
日本では、証券取引所に株式を上場している企業や資本金が5億円以上の大企業は、法律にのっとった経営をしているかどうかをチェックするための「監査」を受けることが義務付けられています。
企業経営者が株主に経営状況を報告する資料(財務諸表)の信頼性を確保するには、公認会計士が公正な第三者の立場として、企業の経営状態をチェックすることが欠かせません。公認会計士が機能することで、決算書にウソの数字を書く「粉飾決算(ふんしょくけっさん)」を防ぎ、企業の株式の暴落や株主の不利益を未然に防止します。
公認会計士の主な仕事内容は、下記のとおりです。
- 大企業の財務書類の監査
- 監査時に企業の収入や支出を記録した財務書類を調べ上げ、その内容に誤りがないかどうかを徹底的にチェックします。また監査時期ではないときも定期的に企業を訪問し、内部監査のフォローをします。
- 内部統制監査
- 企業のリスク管理や業務分掌、意思決定ルールなど、経営目標を達成するために構築した内部統制システムの状況を確認し、評価・助言を行います。
- コンサルティング
- 会計・財務に関する専門知識や経験、企業経営の豊富な情報を活かし、企業の経営全般にわたる助言や指導を行います。経営戦略やコスト削減・合併(M&A)の提案をすることで、企業の経営のサポートをします。
学ぶ知識・技術
公認会計士になるには、国家試験である公認会計士試験に合格する必要があります。国家試験では、下記の知識が問われます。
- 財務会計論
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- 計算(簿記)
- 理論(財務諸表論)
- 管理会計論
- 企業の成果が期待通りに進んでいるかを管理するための情報収集・分析・報告を行うための、原価計算を中心とした会計システムについて。
- 監査論
- 公認会計士が備えるべき価値観、財務諸表監査にまつわる様々なルールの内容や背景について。
- 企業法
- 企業の組織・運営・活動等、企業を巡る様々な関係を規律する「会社法」を中心とした出題。
- 租税法
- 監査証明業務を行うために必要な法人税法の計算・基礎理論、所得税法、消費税法等の構造的理解について。
- 選択科目(以下の4科目から1科目を選んで受験)
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- 経営学
- 経済学
- 民法
- 統計学
公認会計士で目指せる職業、就職先は?
公認会計士の試験に合格した人は、主に下記のようなところに就職します。
- 監査法人
- 「EY新日本有限責任監査法人」「有限責任監査法人トーマツ」「有限責任あずさ監査法人」「PwCあらた監査法人」などの日本4大監査法人に就職する人がほとんどです。
- 一般企業の経理部
なお、監査法人でキャリアを積み上げた後は、独立して事務所を開業するプランも目指せます。
公認会計士になるとどんな悩みが解決できる?
公認会計士になると、専門知識を活かして下記のような悩み・問題を解決できます。
- 公認会計士が解決できること
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- 大企業の粉飾決算を見抜くことで、事後発覚による企業株価の大暴落を防ぎ、投資家(株主)の資産を守る
- 粉飾決算を行った企業の関連企業、取引先の損失を防ぐ
公認会計士の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
公認会計士の国家資格を取得するには、公認会計士試験を受験する必要がありますが、この試験には特に受験資格はありません。年齢・性別・学歴・国籍を問わず、どなたでも受験することができます。
取得にかかる費用
公認会計士試験の受験にかかる費用は、19,500円です。
公認会計士はどんな人におすすめの資格?
公認会計士は、企業が提出してきた膨大な財務書類を見ながら、その数字が正確なものか徹底的にチェックするのが仕事です。そのため、下記のような人に向いている職業といえるでしょう。
- 数字に強く、細かいチェック作業が苦にならない人
- 経済や経営に興味がある人
- 正義感の強い人
また、下記のような資格をお持ちの方は、公認会計士のダブルライセンスでキャリアの幅が広がるので取得がおすすめです。
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
公認会計士試験の実施をしているのは、「公認会計士・監査審査会」です。その年の試験日程や会場、受験に必要な申請手続きなどについては、下記の公式HPからご確認ください。
まとめ:誰でも受験可能な公認会計士試験。資格を取得して、安定した将来設計を!
公認会計士は、有名な国家資格の中でも「誰でも受験可能」というチャレンジしやすい試験の一つです。また、合格後キャリアを順調につめば、年収は600万円台と将来も安定しやすくなります。経営コンサルに興味のある方や計算業務が好きな方は、ぜひ取得に向けてトライを!
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