高齢者や要介護者、その家族にとって住環境を住みやすく整えることはとても重要ですよね。そうした住環境の整備の頼もしい味方となるのが「福祉住環境コーディネーター」の資格保有者です。
この記事では、医療・福祉・建築に関する知識を習得した福祉住環境コーディネーターについて、資格試験の概要やダブルライセンスのおすすめを紹介します。
福祉住環境コーディネーター試験とは、どんな資格?
福祉住環境コーディネーターとは、医療・福祉・建築に関する幅広い知識を習得し、高齢者や障がい者にとって住みやすい住環境を提案するアドバイザーです。
福祉住環境コーディネーターが行う業務は、主に3種類に分かれます。
- 住環境を整えるためのアドバイス
- 福祉用具や介助用具に関するアドバイス
- 住宅改修費支給申請の理由書を作成する
上記の業務を、各種専門職と連携をとりながら行います。
福祉住環境コーディネーターは、1級、2級、3級にレベル分けがされており、1級が最も難易度の高いレベルとなります。
試験の合格者には、福祉住環境コーディネーターの称号が付与されます。称号は名刺に記載することができますので、ビジネスシーンでの商談などがスムーズに進むきっかけになります。
- 称号の名刺記載例
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- 「東京商工会議所認定 〇級福祉住環境コーディネーター」
- 「福祉住環境コーディネーター〇級」
学ぶ知識・技術
福祉住環境コーディネーターになるためには、試験に合格する必要があります。試験の概要は級ごとに下記のように定められています。
1級の試験概要
- 【前半】マークシート式試験出題内容
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- これからの社会に求められる福祉住環境整備
- 福祉住環境コーディネーター1級の目標と役割
- 地域福祉の推進(福祉コミュニティづくり)
- 地域で支える高齢者ケア
- 地域で支える障害者ケア
- ユニバーサルデザインの概念および沿革
- ユニバーサルデザイン環境の整備手法
- 高齢者・要介護者向け住宅・施設の流れ
- 高齢者住宅・施設の種類と機能
- 障害者向け住宅および施設の種類と機能
- 福祉住環境のコーディネートの実際
- 制限時間
- 120分
- 【後半】記述式試験
- 実務能力(課題に対する提案力)などの、実践力、応用力、総合的判断力を問われます。公式テキスト(改訂5版)に準拠し出題。法令は最新の情報を理解していることを前提として出題。
- 制限時間
- 120分
- 合格基準
- マークシート方式・記述式各100点満点とし、それぞれ各70点以上で合格。合格率は12%程度。
2級の試験概要
- 多肢選択式試験出題内容
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- 高齢者・障害者を取り巻く社会状況と住環境
- 福祉住環境コーディネーターの役割と機能
- 障害のとらえ方
- リハビリテーションと自立支援
- 高齢者・障害者の心身の特性
- 在宅介護での自立支援のあり方
- 高齢者に多い疾患別にみた福祉住環境整備
- 障害別にみた福祉住環境整備
- 福祉住環境整備とケアマネジメント
- 福祉住環境整備の進め方
- 福祉住環境整備関連職への理解と連携
- 相談援助の実践的な進め方
- 福祉住環境整備の共通基本技術
- 生活行為別福祉住環境整備の手法
- 福祉住環境整備の実践に必要な基礎知識
- 福祉用具の意味と適用
- 生活行為別にみた福祉用具の活用
- 制限時間
- 90分
- 合格基準
- 100点満点とし、70点以上で合格。合格率は40~45%程度。
3級の試験概要
- 多肢選択式試験出題内容
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- 少子高齢社会と共生社会への道
- 福祉住環境整備の重要性・必要性
- 在宅生活の維持とケアサービス
- 高齢者の健康と自立
- 障害者が生活の不自由を克服する道
- バリアフリーとユニバーサルデザインを考える
- 生活を支えるさまざまな用具
- 住まいの整備のための基本技術
- 生活行為別に見る安全・安心・快適な住まい
- ライフスタイルの多様化と住まい
- 安心できる住生活
- 安心して暮らせるまちづくり
- 制限時間
- 90分
- 合格基準
- 100点満点とし、70点以上で合格。合格率は60~65%程度。
福祉住環境コーディネーター試験で目指せる職業、就職先は?
福祉住環境コーディネーター試験は、下記の業種の受験者がいます。
- 受験者の業種
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- 建設業
- 医療業
- 社会保険・社会福祉
- 卸売業
- 小売業
- 製造業
- その他サービス業
- 住宅関連業の営業
- 住宅設備メーカー
- 建築設計事務所
- 都市計画事務所
- 工務店
- 福祉用具販売店
- 訪問看護ステーション
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
- 在宅介護支援センター
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- 自治体の福祉相談窓口や社会保険関連の窓口
- 福祉住環境コーディネーターが解決できること
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- 介護サービス利用者やその家族が住みやすい住環境を提案する
- 福祉用具や介助用具などを活用し、安全な住環境に整える
- 高齢者や要介護者の転倒などを防ぐ住環境を整え、健康リスクを下げる
- 住まいのリフォームや新築に監視て、健康的に暮らすことのできる住環境を提案する
- 2級・3級
- 学歴、年齢、性別、国籍問わず誰でも受験可能です。高校生、専門学校生、短期大学生、大学生、社会人と、幅広い層からの受験者がいます。
- 1級
- 2級の合格者が受験可能です。
- 1級:12,100円(税込)
- 2級:7,700円(税込)
- 3級:5,500円(税込)
- ダブルライセンスがおすすめの資格
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- 一級・二級建築士
- インテリアコーディネーター
- 宅地建物取引士
- 看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 介護支援専門員(ケアマネジャー)
- 社会福祉士
- 介護福祉士
- 介護職員初任者研修
- 福祉用具専門相談員
- 福祉住環境コーディネーターの資格取得がおすすめな人
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- 医療・福祉・建築の総合的な知識を習得し、住環境の向上をサポートしたい人
- 福祉や介護、住環境に関する知識を習得し、スキルアップしたい人
- 資格取得を活かして収入アップを目指す人
- 建築士や看護師などの資格所有者で、ダブルライセンス取得を目指す人
- 質問を通してニーズをヒアリングするコミュニケーション能力が高い人
資格を取得すると下記の職種や業種への就職・転職の自己アピールにつながるでしょう。
ただし、就職のために役立てるには2級以上の合格を目指しましょう。
さらに、介護保険の介護予防住宅改修費支給申請において必要な書類である理由書が作成できるのでおすすめです。
福祉住環境コーディネーター試験になるとどんな悩みが解決できる?
福祉住環境コーディネーターの資格を取得すると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
福祉住環境コーディネーターの資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
福祉住環境コーディネーター試験の受験資格は、各級ごとに下記のように定められています。
取得にかかる費用
福祉住環境コーディネーター試験の受験費用は、級によって異なります。
福祉住環境コーディネーター試験の日程
福祉住環境コーディネーターの試験は、級によって日程が異なります。2級と3級は、7~8月、11~12月の年2回試験が実施されます。1級は年一回12月に実施されます。
2021年度から、試験はIBT(インターネット経由での試験)となりました。受験実施日を選択し、自宅や会社などから受験可能です。
福祉住環境コーディネーターのダブルライセンスがおすすめの人
福祉住環境コーディネーターは単独で取得して活用することもできますが、その他の資格も取得しておくことで活躍の幅がより広がるでしょう。
福祉住環境コーディネーターはどんな人におすすめの資格?
日本の高齢者の人口は増加しており、超高齢社会に突入しています。住宅業界も高齢者のニーズに寄り添う意識を高めています。こうした状況において、医療・福祉・建築について総合的な知識を習得した福祉住環境コーディネーターは重宝される存在になるでしょう。
福祉住環境コーディネーター2級以上を取得していると、会社によっては資格手当が支給されます。
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
福祉住環境コーディネーター試験を管理しているのは、東京商工会議所です。試験の詳細や申込は下記HPから確認してください。
まとめ:福祉住環境コーディネーターは超高齢化社会で活躍できる人材
衣食住という言葉に含まれるように、住まいは暮らしの基礎となる大切なものです。福祉住環境コーディネーターは超高齢化社会において、住まいを過ごしやすく整えるための知識を有した人材です。これからの時代にさまざまな業種・職種で活躍することが期待されますので、ダブルライセンスとしてもおすすめの資格ですよ。
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