建設現場では、ブルドーザーやショベルカーなどの重機や小型の機械が用いられますが、これらの機会を使って工事を行う際に不可欠な存在が「建設機械施工技士」です。今回は、建設機械施工技士とはどんな仕事をする資格か、資格の取得方法や取得のメリットなどを紹介していきます。
建設機械施工技士とは、どんな資格?
建設機械施工技士は、建設現場において各種建築機械を用いて工事を行う際に施工管理に携わる仕事です。建設会社で、建設機械を使った施工計画の作成や管理、工程管理、品質管理、安全管理などに携わります。
建設機械施工技士は施工管理系の国家資格で、実務経験を積んだ後、国家試験に合格した人がなることのできる専門職です。一定以上の規模の工事現場で専門的な機械を扱う際には、建設機械施工技士の設置が義務付けられており、つねに需要がある資格といえるでしょう。
建設機械施工技士には「1級」「2級」の2種類があり、それぞれで具体的な仕事内容は下記のように異なります。
- 1級建設機械施工技士
- 各種建設機械を用いた施工における指導・監督業務に携わる。また、大規模な工事現場では主任技術者と監理技術者になることができる。
- 2級建設機械施工技士(「第1種」〜「第6種」それぞれの機械の指導・監督業務を行う)
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- 第1種:ブルドーザー
- 第2種:油圧ショベル
- 第3種:モータ・グレーダ
- 第4種:ロード・ローダ
- 第5種:アスファルト・フィニッシャ
- 第6種:アースオーガ
学ぶ知識・技術
建設機械施工技士の資格を取得するには、国家試験合格に向けて知識・技術を習得する必要があります。学ぶべき事項は、「1級」「2級」それぞれで以下のように異なります。
1級建設機械施工技士
- 学科試験(択一式)
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- 土木工学
- 建設機械原動機
- 石油燃料
- 潤滑剤
- 建設機械
- 建設機械施工法
- 法規
- 学科試験(記述式)
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- 土木および機械
- 実地試験(記述式)
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- 建設機械組合せ施工法
- 実地試験(実技・以下のうちから2科目を選択する)
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- トラクター系建設機械操作施工法
- ショベル系建設機械操作施工法
- モーター・グレーダー操作施工法
- 締め固め建設機械操作施工法
- ほ装用建設機械操作施工法
- 基礎工事用建設機械操作施工法
2級建設機械施工技士
- 学科試験(共通問題・択一式)
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- 土木工学
- 建設機械原動機
- 石油燃料
- 潤滑剤
- 法規
- 種別問題(選択した1つor2つの種別についての試験・択一式)
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- 第1種:トラクター系建設機械/トラクター系建設機械施工法
- 第2種:ショベル系建設機械/ショベル系建設機械施工法
- 第3種:モーター・グレーダー/モーター・グレーダー施工法
- 第4種:締め固め建設機械/締め固め建設機械施工法
- 第5種:ほ装用建設機械/ほ装用建設機械施工法
- 第6種:基礎工事用建設機械/基礎工事用建設機械施工法
- 実地試験(実技・以下のうちから2科目まで選択可能)
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- 第1種:トラクター系建設機械操作施工法
- 第2種:ショベル系建設機械操作施工法
- 第3種:モーター・グレーダー操作施工法
- 第4種:締め固め建設機械操作施工法
- 第5種:ほ装用建設機械操作施工法
- 第6種:基礎工事用建設機械操作施工法
建設機械施工技士で目指せる職業、就職先は?
建設機械施工技士になると、土木工事や建設工事を手がける「建築業界の企業」での就職が有利になります。資格を保有していれば、建設機械を使った施工工事の現場で責任者として働くことができます。
建設機械施工技士になるとどんな悩みが解決できる?
建設機械施工技士になると、下記のような悩み・問題の解決につながります。
- 建設機械施工技士が解決できること
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- 高い専門知識や技術力を活かして工事現場を監督することで、工事の無事完了に貢献する
- 建設現場で用いられる大型機械の取り扱いを指導・監督することで、安全に工事を進める
- 資格があると手掛けられる工事の幅が広がり、様々な現場で活躍できる
- 資格保有者の平均年収は400〜500万円前後で、キャリアを重ねるとさらなる高収入が見込めるため、将来設計が安定しやすくなる
建設機械施工技士の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
建設機械施工技士の資格を取得するには、国家試験に合格する必要がありますが、受験資格として、「1級」「2級」それぞれ以下の条件が求められます。
建設機械施工技士の受験資格
- 1級建設機械施工技士試験
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- 大学で指定学科を卒業後、3年以上の実務経験がある者(指定学科以外は4年6ヶ月以上の実務経験)
- 短大・高専指定学科を卒業後、5年以上の実務経験がある者(指定学科以外は7年6月以上の実務経験)
- 2級建設機械施工技士試験に合格しており、5年以上の実務経験がある者
- 15年以上の実務経験がある者 など
- 2級建設機械施工技士試験
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- 大学で指定学科を卒業後、6ヶ月以上の実務経験がある者(指定学科以外は1年以上の実務経験)
- 6年以上の実務経験がある者 など
職務経験や学歴により細かく規定されているため、詳しくは「一般社団法人 日本建設機械化協会」の公式HPをご参照ください。
取得にかかる費用
建設機械施工技士試験の受験にかかる費用は、「1級」「2級」それぞれで以下の通りです。
1級建設機械施工技士試験
- 学科試験
- 10,100円
- 実地試験
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- 操作施工法2科目+組合せ施工法:27,800円
- 操作施工法1科目+組合せ施工法:21,400円
- 組合せ施工法のみ:15,000円
2級建設機械施工技士試験
- 学科試験
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- 1つの種別:10,100円
- 2つの種別:20,200円
- 実地試験
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- 1つの種別:21,600円
- 2つの種別:43,200円
建設機械施工技士はどんな人におすすめの資格?
建設機械施工技士は、「重機を操縦する技術者たちが安全に作業を進められるよう、工事の計画を立てたり的確な指示を出したりして、予定通りに工事を完了まで導く」専門職です。そのため、下記に当てはまる人に向いている仕事といえるでしょう。
- ブルドーザーなどの大きな機械が好きで、最新の技術を楽しく学べる人
- たくさんの技術者や作業員に、作業手順や方法を教える指導力、まとめる力がある人
- たくさんの人と協力して物事に取り組める人
また、建設機械施工技士は建設業界でのキャリアアップにおすすめの資格です。特に下記の資格やキャリアのある人は、さらなるステップアップのため、建設機械施工技士を目指す人が多いです。
- 建設機械施工技士の資格取得がおすすめな人
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- 重機オペレーター
- 土木施工管理技士
- 舗装施工管理技術者
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
建設機械施工技士の資格を管理し、試験を実施しているのは、「一般社団法人 日本建設機械化協会(JCMA)」です。その年の試験日程や試験会場、受験申請に必要な手続き、詳しい受験資格などは、下記の公式HPからご確認ください。
まとめ:建設業界でキャリア&給与アップを目指すなら、「建設機械施工技士」の資格取得を!
建設業界でのキャリアアップを目指すなら、建設機械施工技士は必ず取得しておきたい国家資格です。資格保有によって昇給や昇進につながったり、資格手当の額も上がったりするので、最終的には1級の取得を目指しつつ、まずは2級の取得にチャレンジしてみましょう。
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