港には、日々多くの船が出入りし、たくさんの貨物が船から降ろされ、積み込まれています。こうした荷役作業を安全に行うために欠かせない現場責任者が、「船内荷役作業主任者」です。具体的な仕事内容や資格の取得方法、取得後のメリットなどを紹介していきます。
船内荷役作業主任者とは、どんな資格?
船内荷役作業主任者は、船内の荷物の積み込みや積み下ろしをする際に、作業を直接指揮したり、荷役作業に関わる設備や安全装置の点検をしたり、異常が認められた時の措置をしたりする専門職です。
船内荷役作業主任者は、労働安全衛生法に基づく国家資格の一つです。荷役作業では、揚貨装置の誤操作による荷物の落下などの労働災害のリスクが高いので、それを防ぐために有資格者の配置が義務づけられています。船内荷役作業主任者の資格は、港湾貨物運送事業労働災害防止協会が実施する技能講習を受けて、修了試験に合格すると取得できます。
学ぶ知識・技術
船内荷役作業主任者になるには、技能講習(3日間)を通じて下記の知識・技術を習得する必要があります。
- 作業指揮に関する知識
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- 作業に伴う災害及びその防止方法
- 災害発生時の措置
- 作業計画の確認及び労働者の配置の方法
- 安全作業標準の周知及び指導の方法
- 船舶設備、荷役機械等の構造及び取扱いの方法に関する知識
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- 揚貨装置及びクレーンの構造及び取扱いの方法
- 荷役機械及び荷役用具の点検の方法
- 保護具の使用及び保守点検の方法
- 作業用通路の確保
- ハッチの開閉の方法
- 玉掛け作業及び合図の方法に関する知識
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- 玉掛け作業に必要な力学
- 玉掛用具の選定及び使用の方法
- 危険又は有害な貨物及び特殊な形状の貨物の玉掛けの方法
- 合図の方法
- 荷役の方法に関する知識
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- 段違い作業
- 高所作業
- 積付け及び取り卸し作業
- バケット作業
- 危険又は有害な貨物及び特殊な形状の貨物の取扱いの方法
- 関係法令
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- 労働安全衛生法
- 労働安全衛生法施行令
- 労働安全衛生規則及びクレーン等安全規則(昭和四十七年労働省令第三十四号)中の関係条項
3日間の講習で上記を学んだ後、修了試験が実施され、これに合格すると資格を取得できます。
船内荷役作業主任者で目指せる職業、就職先は?
船内荷役作業主任者の主な就職先は、港湾や貨物運送事業の関連企業です。
船内荷役作業主任者になるとどんな悩みが解決できる?
船内荷役作業主任者になると、次のような悩み・問題を解決できます。
- 船内荷役作業主任者が解決できること
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- 荷役作業の現場で設備の使用状況を点検・監視し、装置の誤作動を防ぐことで、事故から作業員の命を守る
- 作業員に直接指示を出すことで、荷役作業の安全性を高める
船内荷役作業主任者の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受講資格)
船内荷役作業主任者の資格を取得するには、技能講習を受講する必要がありますが、この講習を受けられるのは下記の条件を満たした人です。
船内荷役作業主任者技能講習の受講資格
- 揚貨装置運転士免許、クレーン・デリック運転士免許、移動式クレーン運転士免許を受けており、その後4年以上船内荷役作業の経験がある人
取得にかかる費用
船内荷役作業主任者技能講習の受講にかかる費用は、講習地によって異なりますが、おおよそ以下の通りです。
- 受講料
- 15,400円
- テキスト代
- 5,100円
船内荷役作業主任者はどんな人におすすめの資格?
船内荷役作業主任者は、次のような人に取得がおすすめの資格です。
- 船内荷役作業主任者の資格取得がおすすめな人
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- 体力に自信がある人(重い荷物を扱うことが多いため)
- 健康管理がきちんとできる人(深夜作業のシフトや長時間残業もあるため)
- 比較的年収の高い仕事に就きたい人(平均年収は500万円前後)
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
船内荷役作業主任者の資格を管理し、技能講習を開催しているのは、各都道府県の「港湾貨物運送事業労働災害防止協会」です。講習の日程や会場などについては、下記のHPからご確認ください。
まとめ:船内荷役作業主任者は、体力に自信がある人におすすめの専門資格
船内荷役作業主任者はハードな仕事を任される分、貰える給与も高めな傾向にあります。体力に自信があり、関連資格を保有している人は、ぜひ船内荷役作業主任者の資格取得に向けてキャリア形成を。
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