私たちの生活に密接している知識や技能を取得できる資格に、「色彩検定」があります。街並みや広告、ファッションなどには実に多くの色が使われています。色選びのセンスを上げたい人は、色彩検定を通して分類などの理論、色彩の調和などを習得するのがおすすめです。
この記事では色彩検定について級の違い、役立つ職種などを紹介します。
色彩検定とは、どんな資格?
色彩検定とは、色彩に関する知識や色彩を効果的に使用する技能を問う検定試験です。文部科学省後援の公的資格として広く知られ、2020年度は約35,000人が受検しました。学生の受検者が多いとされますが、社会人が仕事のスキルアップ個人のセンス磨きのために取得することも多いです。
色彩検定では、色の基礎から応用まで幅広い知識や技能が問われます。習得している知識や技能によって、1級、2級、3級、UC級にレベル分けされています。
- 1級
- プロフェッショナル向けのレベルです。色彩と文化、色彩調和論、測色、色彩とビジネス、ファッションビジネス、景観計画における色彩基準などに関する知識と技能を有しています。
- 2級
- 色彩スキルを仕事など実務で使って行きたい人に向いています。色のUD、照明、表色系、色彩調和、配色イメージ、ビジュアル、ファッション、インテリア、景観色彩などに関する知識と技能を有しています。
- 3級
- 色彩についての学習初心者におすすめのレベルです。光と色、色の分類と三属性、色彩心理、色彩調和、配色イメージ、ファッション、インテリアなど色彩に関する基本的な知識を有しています。
- UC級
- 公共や福祉に関わる仕事をしている人や設計者におすすめです。色が見えるしくみ、ユニバーサルデザイン、色覚の多様性、高齢者の見え方などに関する知識と技能を有しています。
UC(色のユニバーサルデザイン)は新しく創設されたレベル
UC級は、2018年の冬期に新設された新しいレベルです。UCとは「色覚の多様性に配慮した、誰もが見やすい色使い」とされています。色の見え方は、誰でも同じというわけではありません。先天的に特定の色の組み合わせが判別しにくい人、加齢で色の認識能力が衰えた人などはたくさんいます。こうした違いを理解し、誰もが安全に安心して暮らせるように配慮した色使いをするUCのニーズが高まっているのです。
学ぶ知識・技術
色彩検定は、級ごとに検定試験が設けられています。各級で習得したい知識や技能は下記の通りです。
3級
- 知識・技能
-
- 色のはたらき
- 光と色
- 色の表示
- 色彩心理
- インテリア
- 色彩調和
- 配色イメージ
- ファッション
- 慣用色名
- 試験時間
- 70分
- 試験方法
- マークシート方式
2級
- 知識・技能
-
- 色のユニバーサルデザイン
- 光と色
- 色の表示
- 色彩心理
- 色彩調和
- 配色イメージ
- ビジュアル
- ファッション
- インテリア
- 景観色彩
- 慣用色名
- 試験時間
- 80分
- 試験方法
- マークシート方式(一部記述式)
1級
- 知識・技能
-
- 色彩と文化
- 色彩調和論
- 光と色
- 色の表示
- 測色
- 色彩心理
- 色彩とビジネス
- ファッション
- 景観色彩
- 試験時間
- 1次試験:90分、2次試験:90分
- 試験方法
- 1次試験:マークシート方式(一部記述式)、2次試験:記述式(一部実技)
UC級
- 知識・技能
-
- 色が見えるしくみ
- ユニバーサルデザイン
- 色覚の多様性
- 高齢者の見え方 など
- 試験時間
- 60分
- 試験方法
- マークシート方式(一部記述式)
合格基準はどの級も、満点の70%前後です。ただし問題の難易度によって多少変動があります。色彩検定は併願が可能です。また、どの級から受検しても構いません。
色彩検定で目指せる職業、就職先は?
色彩検定に合格しただけでは就職や転職に有利になるとは限りません。しかし色に関する知識が求められる職種は多く、幅広い業界でのスキルアップや自己アピールにつながります。
下記の業種や職種では色彩に関する知識や技能、クリエイティブな色彩感覚が発揮しやすいでしょう。
- ファッション業界
- 出版業界
- 印刷業界
- 広告業界
- インテリア関連職
- 企画職
- デザイナー
- カラーコーディネーター
- ファッションコーディネーター
- メイクアップアーティスト
- ネイリスト
- フラワーデザイナー
- アパレル販売
- 建築・景観開発 など
色彩検定の資格を取得するとどんな悩みが解決できる?
色彩検定に合格すると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- 色彩検定合格で貢献できること
-
- 消費者やユーザーが視認しやすい色の選定ができる
- 色が持つ効果を理解し、ニーズや環境に合ったカラーコーディネートを行う
- 色の効果を考慮し、ビジネス資料を見やすく整える
- 自身のファッションやインテリアの色選びに自信を持てる
色彩検定の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受検資格)
色彩検定の受検資格に制限はありません。どなたでも受検でき、何級からでもチャレンジ可能です。
また、色彩検定1級では対象者には2次試験の免除が認められています。1次試験に合格した人で、2次試験が不合格または2次試験を欠席した場合は、その後2年間(2回)に限り1次試験が免除されます。
取得にかかる費用
色彩検定の検定試験受験料は、級ごとに異なります。
- 3級 7,000円
- 2級 10,000円
- 1級 15,000円
- UC級 6,000円
色彩検定はどんな人におすすめの資格?
色彩検定は、仕事でのスキルアップや個人のセンス磨きにおすすめの資格です。
ファッションや美容、デザインなどに関する職種では、色の違いや効果に対する深い理解が顧客満足やクリエイティブな価値創造に役立ちます。また、個人としても色彩感覚を磨くことで、ファッションやインテリア、メイクの楽しみが広がります。
学生の検定受検者のメリットには、就職を希望する業界や職種によっては色彩感覚のスキルアップがその後のキャリア形成につながっていくでしょう。
- 色彩検定の資格取得がおすすめな人
-
- 色彩感覚を使う仕事でスキルアップを目指す人
- 色彩感覚が求められる業界や職種への就職を希望する学生
- ファッションやインテリアのセンスを磨きたい人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
色彩検定の管理をしているのは、公益社団法人 色彩検定協会です。検定試験のスケジュールや申込については下記のHPを確認してください。
まとめ:色彩感覚は仕事にもプライベートにも活かせるスキル
色彩検定へのチャレンジを通して、色に関する基礎的な知識やシーンに合った色選びのスキルを伸ばすことができます。色彩感覚を磨くとさまざまな職種のスキルアップにつながるほか、日常生活でのファッションやインテリア選びでの満足度も上がるでしょう。検定試験は併願もできますので、興味がある人は受検を検討してみてくださいね。
コメント