地域の図書館で本を借りたり、返却したりするとき、またリファレンスサービスを利用したりするときに接するのが「司書(司書補)」です。誰でもきっと一度は接したことがある身近な専門職ですが、具体的にはどんな仕事を行うのでしょうか。資格の取得方法などを紹介していきます。
司書・司書補とは、どんな資格?
司書とは、都道府県・市町村の公立図書館などで働く、図書資料を扱う専門職員です。何万冊にも及ぶ膨大な数の本を管理する職種で、具体的には以下のような仕事を担当します。
- 新しく図書館に入れる本の選択
- 本の分類や目録作成
- 貸出・返却業務などの利用者対応、返却本が痛んでいないかのチェック
- 図書館で行う読書イベントの企画・運営
- 本・資料や情報の提供を行うリファレンスサービス
図書館には、児童書から文学書、政治、経済、宗教、科学、歴史、新聞や雑誌など幅広いジャンルの本が置いてあります。さまざまな本がどこに分類され、どこに並んでいるか覚えておき、返却された本をテキパキと元の配置に戻す正確性が求められる仕事です。
また司書とは別に、司書補という資格も存在します。司書補は司書の見習いのような資格で、図書館で働く司書を補佐します。しかし実際に担当する業務は司書とほぼ同じで、本の貸出・返却業務や分類・整理を行います。
学ぶ知識・技術
司書・司書補には、司法試験のような国家試験はありません。大学や司書講習にて、文部科学省令が定めた内容を学んで修了すれば、試験を受けずに司書や司書補の資格を取得できます。司書講習・司書補講習で学ぶ知識・技術は、それぞれ以下の通りです。
司書講習
- 必修科目
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- 生涯学習概論
- 図書館概論
- 図書館制度・経営論
- 図書館情報技術論
- 図書館サービス概論
- 情報サービス論
- 児童サービス論
- 情報サービス演習
- レファレンスサービス演習
- 図書館情報資源概論
- 情報資源組織論
- 情報資源組織演習
- 選択科目(以下のうち2科目)
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- 図書館基礎特論
- 図書館サービス特論
- 図書館情報資源特論
- 図書・図書館史
- 図書館施設論
- 図書館総合演習
- 図書館実習
司書補講習
- 必修科目
-
- 生涯学習概論
- 図書館の基礎
- 図書館サービスの基礎
- レファレンスサービス
- レファレンス資料の解題
- 情報検索サービス
- 図書館の資料
- 資料の整理
- 資料の整理演習
- 児童サービスの基礎
- 図書館特講
司書・司書補で目指せる職業、就職先は?
司書・司書補の資格取得後に、目指せる就職先は私立図書館や県立図書館です。ただし、図書館は現在非正規労働化が進んでいるため、資格があっても正規職員として採用されることはまずありません。図書館業務を請け負っている派遣会社に所属したり、あるいはアルバイトとして図書館業務に携わるのが、現実的な就職例となるでしょう。
司書・司書補になるとどんな悩みが解決できる?
司書・司書補になると、下記のような悩み・問題が解決できるようになります。
- 司書・司書補が解決できること
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- 来館者が快適に図書館を利用できるようサポートする
- 膨大な数の本を整然と分類する
- 本が傷まないように保管する
司書・司書補の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
前述のように、司書・司書補の資格を取得する方法は、資格試験ではなく大学での司書・司書補講習です。それぞれ下記に該当する人が、この講習を受けることができます。
司書・司書補講習の受講資格
- 司書講習(下記のいずれかに該当する者)
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- 大学に2年以上在学(短大卒業者含む)し、62単位以上を修得している、または高等専門学校を卒業している者
- 2年以上司書補(国立国会図書館、または大学もしくは高等専門学校の附属図書館の職員で司書補に相当するものも含む)として勤務した経験がある者
- 司書補講習
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- 高等学校もしくは中等教育学校を卒業した者、または高等専門学校第3学年を修了した者
取得にかかる費用
司書・司書補講習の受講にかかる費用は、大学によって異なります。相場としては、司書講習で8〜10万円、司書補講習で約15万円です。
司書・司書補はどんな人におすすめの資格?
司書・司書補は、下記のような人に取得がおすすめの資格です。
- 司書・司書補の資格取得がおすすめな人
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- 本や読書が好きな人
- 地味で単調な仕事でもコツコツ続けられる人
- 読みたい本を探している利用者に適切なアドバイスを行える人
- 他の職員と円滑なチームワークが取れる人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
司書・司書補の資格を管理しているのは、「文部科学省」です。資格の取得方法などの不明点については、下記のHPからご確認ください。
▼ 文部科学省
まとめ:司書や司書補は、正規職員として働くのが厳しい…
司書や司書補は、大学で所定の講習を修了すれば誰でも資格を取得できますが、安定した収入を得たい人や正規職員として働きたい人にとっては、厳しい職種といえそうです。本が好きで図書館で働きたい人は、資格取得を検討してみてもいいかもしれません。
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