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技術士・技術士補の資格を取るとどんなメリットがある?

キャリアアップ

科学技術分野のスペシャリストである「技術士」の国家資格は難易度が高い試験です。今回は技術士・技術士補が専門とする分野の種類、試験合格のために必要な知識、就職・転職先などを詳しく解説していきます。

技術士と技術士補の違い、技術士補制度の廃止議論についても紹介しますので参考にしてください。

技術士・技術士補とは、どんな資格?

技術士とは国家資格の一つで、その品位は技術分野において最高位とされます。国家試験(二次)に合格し、技術士として登録を受けた人だけに与えられる名称独占資格です。技術士以外の人が技術士を名乗ることはできません。

技術士は、高等な科学技術に関する分野(下記の21部門)において、高度な専門知識を持つ者であると国に認められた技術者のことです。

  1. 機械部門
  2. 船舶・海洋部門
  3. 航空・宇宙部門
  4. 電気電子部門
  5. 化学部門
  6. 繊維部門
  7. 金属部門
  8. 資源工学部門
  9. 建設部門
  10. 上下水道部門
  11. 衛生工学部門
  12. 農業部門
  13. 森林部門
  14. 水産部門
  15. 経営工学部門
  16. 情報工学部門
  17. 応用理学部門
  18. 生物工学部門
  19. 環境部門
  20. 原子力・放射線部門
  21. 総合技術監理部門

なお、技術士は法律で明確に仕事内容が定められているわけではなく、技術士にしかできない独占業務はありません。ただし、「対処すべき問題を正しく認識し、分析や判断を行い、対応策を見つける技術コンサルタント能力がある」という証明になるため、社内・社外において技術コンサルタント・技術アドバイザーとして活躍できるようになります。その際に担当するのは、下記のような仕事です。

  • 技術コンサルティング業務
  • 研究・開発・設計・評価の指導、技術指導
  • 品質や効率の改善指導
  • プロジェクトの計画策定や監理 など

技術士補は廃止される?技術士補登録のメリットとは

技術士補は、将来技術士となる人材を育成することを目的とした国家資格で、技術士の指導の下で補佐業務を行います。技術士試験の一次試験に合格、あるいは特定の大学の課程を卒業した後、技術士補として登録した者は技術士補を名乗ることができます。

ただし、2022年の時点では技術士補の制度を廃止するか存続させるか議論されています。これは、技術士補登録のための指導技術士確保が困難であることから、技術士補を経て技術士になる人が少ないためです。

しかしながら、技術士補の制度についてはまだ議論の途中にあり、今後どのように技術士補が運用されていくかは決まっていません。

技術士補に登録するメリットは、技術士補に登録してから指導技術士の業務の補助を行った場合、二次試験の受験資格を4年に短縮できることです。技術士補に登録しない場合、7年超の実務経験が必要となります。

現行の受験資格のルールにおいても、技術士補に登録せずに資格取得できるルートがあります。こちらは実務経験が最短でも7年必要となりますが、所定の実務経験を積んでいる人であれば、若手からのスキルアップ・キャリアアップとして受験することができるでしょう。

学ぶ知識・技術

技術士になるには、「技術士試験」に合格しなければなりません(技術士補は第一次試験まで)。専門とする科学技術分野によって必要な知識は異なります。

技術士第一次試験

基礎科目
  1. 設計・計画に関するもの(設計理論、システム設計、品質管理等)
  2. 情報・論理に関するもの(アルゴリズム、情報ネットワーク等)
  3. 解析に関するもの(力学、電磁気学等)
  4. 材料・化学・バイオに関するもの(材料特性、バイオテクノロジー等)
  5. 環境・エネルギー・技術に関するもの(環境、エネルギー、技術史等)
適性科目
技術士法第四章(技術士等の義務)の規定の遵守に関する適性
専門科目(下記20技術部門の中から1部門を選択)
  1. 機械部門:材料力学/機械力学・制御/熱工学/流体工学
  2. 船舶・海洋部門:材料・構造力学/浮体の力学/計測・制御/機械及びシステム
  3. 航空・宇宙部門:機体システム/航行援助施設/宇宙環境利用
  4. 電気電子部門:発送配変電/電気応用/電子応用/情報通信/電気設備
  5. 化学部門:セラミックス及び無機化学製品/有機化学製品/燃料及び潤滑油/高分子製品/化学装置及び設備
  6. 繊維部門:繊維製品の製造及び評価
  7. 金属部門:鉄鋼生産システム/非鉄生産システム/金属材料/表面技術/金属加工
  8. 資源工学部門:資源の開発及び生産/資源循環及び環境
  9. 建設部門:土質及び基礎/鋼構造及びコンクリート/都市及び地方計画/河川、砂防及び海岸・海洋/港湾及び空港/電力土木/道路/鉄道/トンネル/施工計画、施工設備及び積算/建設環境
  10. 上下水道部門:上水道及び工業用水道/下水道/水道環境
  11. 衛生工学部門:大気管理/水質管理/環境衛生工学(廃棄物管理を含む)/建築衛生工学(空気調和施設及び建築環境施設を含む)
  12. 農業部門:畜産/農芸化学/農業土木/農業及び蚕糸/農村地域計画/農村環境/植物保護
  13. 森林部門:林業/森林土木/林産/森林環境
  14. 水産部門:漁業及び増養殖/水産加工/水産土木/水産水域環境
  15. 経営工学部門:経営管理/数理・情報
  16. 情報工学部門:コンピュータ科学/コンピュータ工学/ソフトウェア工学/情報システム・データ工学/情報ネットワーク
  17. 応用理学部門:物理及び化学/地球物理及び地球化学/地質
  18. 生物工学部門:細胞遺伝子工学/生物化学工学/生物環境工学
  19. 環境部門:大気、水、土壌等の環境の保全/地球環境の保全/廃棄物等の物質循環の管理/環境の状況の測定分析及び監視/自然生態系及び風景の保全/自然環境の再生・修復及び自然とのふれあい推進
  20. 原子力・放射線部門:原子力/放射線/エネルギー

技術士第二次試験(21技術部門の中から、あらかじめ選択する1技術部門に対応する「必須科目」、各技術部門に設定された「選択科目」)

筆記試験(機械部門から原子力・放射線部門までの20技術部門)
  • 必須科目:技術部門全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの
  • 選択科目:選択科目についての専門知識及び応用能力に関するもの
  • 選択科目:選択科目についての問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの
筆記試験(総合技術監理部門)
  • 必須科目:総合技術監理部門に関する課題解決能力及び応用能力(安全管理/社会環境との調和/経済性(品質、コスト及び生産性)/情報管理/人的資源管理)
  • 選択科目:選択科目についての専門知識及び応用能力に関するもの
  • 口述試験(筆記試験の合格者にのみ実施)
    技術士としての適格性を判定する

    技術士・技術士補で目指せる職業、就職先は?

    技術士や技術士補の資格を取得すると、専門分野でのコンサルタント業界での就職が有利になるでしょう。また、技術コンサルタント業務をある程度積んだ後、独立開業するのも一つの選択肢です。

    技術士・技術士補になるとどんな悩みが解決できる?

    技術士・技術士補になると、下記のような悩み・問題を解決できるようになります。

    技術士・技術士補が解決できること
    • 技術コンサルタントとして、専門分野に関する研究・開発・設計・評価・技術を指導し、品質や効率を向上させる

    技術士・技術士補の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)

    技術士・技術士補の資格を取得できるのは、それぞれ下記の条件を満たす人です。

    技術士補になるために必要な資格
    • 技術士第一次試験に合格し、「公益社団法人 日本技術士会」に登録した者
    • 指定された教育課程(当該課程の修了が技術士第一次試験の合格と同等であるものとして、文部科学大臣が指定したもの)を修了し、「公益社団法人 日本技術士会」に登録した者
    技術士になるために必要な資格
    • 技術士試験第二次試験に合格し、「公益社団法人 日本技術士会」に登録した者

    技術士試験第一次試験・第二次試験の受験資格

    技術士・技術士補になるには、基本的に技術士試験を受験し、合格する必要があります。第一次試験は特に受験資格はなく、どなたでも受験できますが、第二次試験を受験するには下記の条件を満たさなければなりません。

    1.技術士補となる資格を有していること
    2.下記の1~3のうち、いずれかの業務経歴(科学技術に関する実務経験)を有していること
    • 技術士補として、技術士の指導の下で、4年(総合技術監理部門は7年)を超える実務経験がある人
    • 職務上の監督者の指導の下で、4年(総合技術監理部門は7年)を超える実務経験がある人
    • 指導者や監督者の有無・要件を問わず、7年(総合技術監理部門は10年)を超える期間の実務経験がある人

    技術士第二次試験受験で求められる実務経験とは、「科学技術(人文科学のみに係るものを除く)に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価(補助的業務を除く)、またはこれらに関する指導の業務」を指します。

    取得にかかる費用

    技術士・技術士補になるには、試験の受験、登録に向けて下記の費用が必要になります。

    技術士第一次試験の受験料
    11,000円
    技術士第二次試験の受験料
    14,000円
    技術士の登録免許税
    30,000円
    技術士補の登録免許税
    15,000円
    技術士・技術士補の登録手数料
    6,500円

    技術士・技術士補はどんな人におすすめの資格?

    技術士・技術士補は、次のような人に取得がおすすめの資格です。

    技術士・技術士補の資格取得がおすすめな人
    • 工学分野・理系の分野で、コンサルタント業務を専門的に行いたい人
    • 建設業界でのキャリアアップを目指している人(建設コンサルタント企業、環境コンサルタント企業は技術士が必須なため)
    • 中小企業診断士の資格を取得している人(ダブルライセンス時の相性が良く、幅広い業務で活躍できる)

    どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)

    技術士・技術士補の国家資格を管理し、試験を実施しているのは、「公益社団法人 日本技術士会」です。その年の試験日程や会場、受験資格や登録手続きなどについては、下記のHPからご確認ください。

    公益社団法人 日本技術士会

    まとめ:技術士・技術士補は、工学・理系分野でキャリア形成したい人におすすめの資格!

    技術士・技術士補は資格を取得しても、独占的に特定の業務ができるわけではありませんが、工学分野や理系の分野では資格保有者という点で信頼を得られやすくなったり、昇進しやすくなったりするメリットがあります。興味のある方は、ぜひ取得に向けてトライを。

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