商業施設や街角でよく見かける警備員になるのには、特別な資格は必要ありません。しかし、特定の警備業務に就く際は「警備業務検定」の国家資格を取得する必要があります。今回はこの警備業務検定とはどんな国家試験か、具体的な仕事内容や取得によるメリットなどをお伝えしていきます。
警備業務検定(警備員検定)とは、どんな資格?
警備業務検定(かつては警備員検定と呼ばれていました)は、警備業法で定められた日本の警備員の国家資格です。警備員になるのに資格は必要ありませんが、特定の種別での警備業務を行うには、この国家資格が必要です。
警備業務検定には下記の6種類があり、それぞれ1級・2級があります。
- 空港保安警備業務検定(1級・2級)
- 空港施設において、航空機の強奪などの事故の発生を警戒し、防止する業務(航空機に持ち込まれる物件の検査に関わるものに限る)を行う
- 施設警備業務検定(1級・2級)
- 警備業務(機械警備業務と空港保全検査業務を除く)のうち、警備業務対象施設の破壊といった事故の発生を警戒し、防止する業務を行う
- 雑踏警備業務検定(1級・2級)
- 人がたくさん集まる場所での事故の発生を警戒し、防止する業務(雑踏の整理に関わるものに限る)を行う
- 交通誘導警備業務検定(1級・2級)
- 工事現場や、人・車両の通行に危険のある場所での負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務(交通の誘導に関わるものに限る)を行う
- 核燃料物質等危険物運搬警備業務検定(1級・2級)
- 運搬中の核燃料物質等危険物に関わる盗難といった事故の発生を警戒し、防止する業務を行う
- 貴重品運搬警備業務検定(1級・2級)
- 運搬中の現金、貴金属、有価証券等の貴重品に関わる盗難といった事故の発生を警戒し、防止する業務を行う
学ぶ知識・技術
警備業務検定の資格を取得する方法は、公安委員会が行う検定を受験する方法と、登録講習機関が行う講習会を受講して修了考査に合格する方法の2つです。前者の検定試験を受験する場合は、検定の種別ごとに以下の知識を習得する必要があります。
空港保安警備業務検定
- 学科試験
-
- 警備業務に関する基本的な事項
- 法令に関すること
- 乗客等の接遇に関すること
- 手荷物等検査に関すること
- 空港に関すること
- 空港保安警備業務の管理に関すること(1級のみ)
- 航空の危険を生じさせるおそれのある物件及び不審者を発見した場合における応急の措置に関すること
- 実技試験
-
- 乗客等の接遇に関すること
- 手荷物等検査に関すること
- 空港保安警備業務の管理に関すること(1級のみ)
- 航空の危険を生じさせる恐れのある物件及び不審者を発見した場合における応急の措置に関すること
施設警備業務検定
- 学科試験
-
- 警備業務に関する基本的な事項
- 法令に関すること
- 警備業務対象施設における保安に関すること
- 施設警備業務の管理に関すること(1級のみ)
- 警備業務対象施設の破壊等の事故が発生した場合における応急の措置に関すること
- 実技試験
-
- 警備業務対象施設における保安に関すること
- 施設警備業務の管理に関すること(1級のみ)
- 警備業務対象施設の破壊等の事故が発生した場合における応急の措置に関すること
雑踏警備業務検定
- 学科試験
-
- 警備業務に関する基本的な事項
- 法令に関すること
- 雑踏の整理に関すること
- 雑踏警備業務の管理に関すること(1級のみ)
- 人の雑踏する場所における負傷等の事故が発生した場合における応急の措置に関すること
- 実技試験
-
- 雑踏の整理に関すること
- 雑踏警備業務の管理に関すること(1級のみ)
- 人の雑踏する場所における負傷等の事故が発生した場合における応急の措置に関すること
交通誘導警備業務検定
- 学科試験
-
- 警備業務に関する基本的な事項
- 法令に関すること
- 車両等の誘導に関すること
- 交通誘導警備業務の管理に関すること(1級のみ)
- 工事現場その他人又は車両の通行に危険のある場所における負傷等の事故が発生した場合における応急の措置に関すること
- 実技試験
-
- 車両等の誘導に関すること
- 交通誘導警備業務の管理に関すること(1級のみ)
- 工事現場その他人又は車両の通行に危険のある場所における負傷等の事故が発生した場合における応急の措置に関すること
核燃料物質等危険物運搬警備業務検定
- 学科試験
-
- 警備業務に関する基本的な事項
- 法令に関すること
- 核燃料物質等危険物に関すること
- 核燃料物質等危険物運搬警備業務の管理に関すること(1級のみ)
- 車両による伴走及び周囲の見張りに関すること
- 核燃料物質等危険物に係る盗難等の事故が発生した場合における応急の措置に関すること
- 実技試験
-
- 核燃料物質等危険物運搬警備業務の管理に関すること(1級のみ)
- 車両による伴走及び周囲の見張りに関すること
- 核燃料物質等危険物に係る盗難等の事故が発生した場合における応急の措置に関すること
貴重品運搬警備業務検定
- 学科試験
-
- 警備業務に関する基本的な事項
- 法令に関すること
- 貴重品運搬警備業務用車両並びに車両による伴走及び周囲の見張りに関すること
- 貴重品運搬警備業務の管理に関すること(1級のみ)
- 運搬中の現金、貴金属、有価証券等の貴重品に係る盗難等の事故が発生した場合における応急の措置に関すること
- 実技試験
-
- 貴重品運搬警備業務用車両並びに車両による伴走及び周囲の見張りに関すること
- 貴重品運搬警備業務の管理に関すること(1級のみ)
- 運搬中の現金、貴金属、有価証券等の貴重品に係る盗難等の事故が発生した場合における応急の措置に関すること
警備業務検定で目指せる職業、就職先は?
警備業務検定の資格を取得すると、それぞれの種別ごとに下記の現場での就職が目指せます。
- 空港保安警備業務検定
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- 警備会社(就職後、空港関連の施設に派遣される)
- 航空会社(エックス線透視装置を設置している現場では、空港保安警備業務検定の1級・2級の有資格者を1人以上配置するよう義務付けられている)
- 施設警備業務検定
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- 警備会社(就職後、ビルや官公庁施設、病院などのさまざまな施設に派遣される)
- 一般企業(百貨店や一般企業、ホテル、医療機関など。定期的な巡回や、駐車場などの関連施設の警備を行う)
- 雑踏警備業務検定
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- 警備会社(就職後、イベント会場など人が集まる場所に派遣される)
- 交通誘導警備業務検定
-
- 警備会社(就職後、道路の工事現場などに派遣される。交通誘導警備業務を行う場所では、1人以上有資格者の配置が義務付けられている)
- 核燃料物質等危険物運搬警備業務検定
-
- 警備会社
- 核燃料物質などの危険物を運搬する業者(運搬車両には、資格保有者の配置が義務付けられている)
- 貴重品運搬警備業務検定
-
- 警備会社
- 銀行や金融機関などの企業(現金や有価証券などの貴重品を現金輸送車で運搬する業務)
警備業務検定を取得できるとどんな悩みが解決できる?
警備業務検定の知識や技術があると、下記のような悩み・問題の解決に役立ちます。
- 警備業務検定が解決できること
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- 施設などの現場に常駐・巡回をすることで、盗難事故やテロなどのトラブルを未然に防ぎ、人命を守る
- 不特定多数の人が集まる場所で、的確な誘導を行うことで事故の発生を防ぐ
警備業務検定の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
先ほどもお伝えしたように、警備業務検定の資格を取得するには、
- 公安委員会が行う検定(直接検定)を受験する
- 登録講習機関が行う講習会を受講して修了考査に合格する
の2つの方法があります。
公安委員会の行う警備業務検定(直接検定)の受験資格
各都道府県により若干異なります。東京都の場合、次の受験資格1、2を満たす者に受験資格が与えられます。
- 受験資格1
-
- 申請者の住所地が東京都内にある者。あるいは現在警備員で、所属する営業所の所在地が東京都内の者
- 受験資格2
-
- 1級:検定を受けようとする同一検定種別の新2級検定合格証明書の交付を受けており、合格証明書の交付を受けた後、当該種別に関わる警備業務に1年以上従事した者(あるいは、公安委員会が同等以上の知識及び能力を有すると認めた者)
- 2級:年齢や学歴等の制限なし
警備業務検定の講習会の受講資格
- 1級
- 受けようとする種別の2級の合格証明書の交付を受けた後、当該種別の警備業務に1年以上従事した者
- 2級
- 年齢や学歴等の制限なし
取得にかかる費用
警備業務検定の取得にかかる費用は、直接検定・講習会、また種別ごとで下記のように異なります。
直接検定の受験料
- 空港保安警備業務検定(1級・2級)
- 16,000円
- 施設警備業務検定(1級・2級)
- 16,000円
- 雑踏警備業務検定(1級・2級)
- 13,000円
- 交通誘導警備業務検定(1級・2級)
- 14,000円
- 核燃料物質等危険物運搬警備業務検定(1級・2級)
- 16,000円
- 貴重品運搬警備業務検定(1級・2級)
- 16,000円
講習会の受講料
- 空港保安警備業務検定(1級・2級)
- 54,000円
- 施設警備業務検定(1級・2級)
- 32,400円
- 雑踏警備業務検定(1級・2級)
- 32,400円
- 交通誘導警備業務検定(1級・2級)
- 32,400円
- 核燃料物質等危険物運搬警備業務検定(1級・2級)
- 32,400円
- 貴重品運搬警備業務検定(1級・2級)
- 32,400円
警備業務検定はどんな人におすすめの資格?
警備業務に向いているのは、仕事や安全を守る責任感や使命感が強く、万が一のトラブルが起こったときに臨機応変に、的確に対処できる人です。
基本的に警備員は資格がなくてもなれる職業ですが、空港保安警備や貴重品運搬警備など、警備員としての業務の幅を広げたい人は資格の取得がおすすめです。
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
警備業務検定の特別講習を行い、資格を管理しているのは、「一般社団法人 警備員特別講習事業センター」です。受講に必要な手続き、また公安委員会の直接検定の受験等の情報については、下記の公式HPからご確認ください。
まとめ:警備のプロフェッショナルを目指すなら、警備業務検定の取得を!
現金輸送車の運送や航空機関など、特別な警戒が必要な現場で活かせる資格が「警備業務検定」です。この資格があることで、より専門的で待遇の良い警備業務につきやすくなると考えられるので、警備のプロフェッショナルを目指す人は是非取得を!
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