空を飛ぶ飛行機やヘリコプターなどが、日々安全に運行できているのは「航空整備士」のメンテナンスのおかげです。今回はこの航空整備士とはどんな仕事をする資格か、取得の方法やメリットなどをお伝えしていきます。
航空整備士とは、どんな資格?
航空整備士とは、飛行機やヘリコプターの安全運航のために機体の整備・点検・修理を行うスペシャリストです。航空機トラブルは命に関わる事故に直結するため責任は重大で、国家試験に合格しなければ担当できない国家資格の一つでもあります。
航空整備士の主な仕事は、下記の通りです。
- ライン整備
- 駐機場にて、フライトの離陸前に行う整備・点検。航空機が空港に到着して次に出発するまでの短時間で、決められた部分の整備・点検を行うのでスピードと正確さが求められる。
- ドック整備
- 格納庫で定期的に行う大掛かりな整備・点検。一定のフライト時間が経過したら、1〜2ヶ月かけてエンジンや着陸装置、コックピットなどの整備・修理を行う。
また、航空整備士は「一等」「二等」の2種類に分けられ、それぞれで扱える機体が下記のように異なります。
- 一等航空整備士
- 大型機(旅客機や大型ヘリコプターなど)の整備全般に携わる
- 二等航空整備士
- 小~中型機(小型の飛行機やヘリコプターなど)の整備全般に携わる
学ぶ知識・技術
航空整備士の資格取得に向けて、習得すべき知識・技術は以下の通りです。
- 航空整備の知識
- 航空法規、機体構造などの知識。国家試験では学科試験として、マークシートで実施される。
- 航空整備の技術
- 機体整備の基本技術や検査知識、点検作業、整備技術など。学科試験に合格した後、実地試験としてスキルが審査される。
航空整備士で目指せる職業、就職先は?
航空整備士になった場合、下記のような職場での活躍が期待できます。
- 航空会社の系列の航空整備会社
- JAL、ANAなどのエアライン会社が委託する関連整備会社は、航空整備士の一般的な勤務先です。
- 航空機メーカーや航空機系エンジニアリング会社などの航空機系企業
- 新聞社やテレビ局
- 航空機やヘリコプターを保有するこれらの業種も、就職先候補の一つです。
- 警察、消防
航空整備士は40〜60代のベテラン層の割合が多く、今後この世代が定年退職を迎えることになるため、航空整備士を求める企業は多いです。同業種間でも転職しやすく、ある程度キャリアを積んでいれば売り手市場のままキャリア&給与アップが目指せるでしょう。
航空整備士になるとどんな悩みが解決できる?
航空整備士は、航空機の整備・点検・修理を行う専門職で、このポジションがあるからこそ私たちは日々安全に航空機に乗ることができています。つまり、航空整備士がいることで、下記のような悩み・問題を解決できているといえるでしょう。
- 航空整備士が解決できること
-
- 機体の整備や点検、修理を定期的に行うことで、航空事故を防ぎ、利用客の命を守る
- 航空事故を防ぐことによって、エアライン会社などの信頼性を保つ
航空整備士の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
航空整備士の国家資格を取るには、国家試験を受験する必要がありますが、「一等」「二等」航空整備士受験のためには、それぞれ下記の条件を満たす必要があります(航空整備士試験を受験するには年齢の下限制限があります。二等航空整備士は19歳以上、一等航空整備士は20歳以上でなければ受験できません)。
二等航空整備士の国家試験の受験資格
- 高校卒業後、国土交通大臣により大学・短期大学・専門学校で航空整備を学び、卒業する。その後、航空会社などの採用試験に合格し、実務経験を3年以上(航空局の整備訓練課程修了者は1年以上)積んだ者
- 中学卒業後、「日本航空高等学校」などの機械・工学・航空学を学べる高校に進学し、卒業後に航空会社で実務経験を3年以上積んだ者
なお、国土交通大臣が指定した航空従事者養成施設指定校を卒業すれば、実地試験が免除され、二等航空整備士の国家試験を優位に進めることができます。
一等航空整備士の国家試験の受験資格
- 高校卒業後、国土交通大臣により大学・短期大学・専門学校で航空整備を学び、卒業する。その後、航空会社などの採用試験に合格し、実務経験を4年以上積んだ者
- 二等航空整備士の資格を取得した後、実務経験を2年以上積んだ者
取得にかかる費用
航空整備士を目指せる学校の学費(初年度納入金)は、以下の通りです。
- 大学・短大の場合
- 約56〜357万円
- 専門学校の場合
- 約92〜132万円
また、国家試験にかかる受験料は下記の通りです。
- 一等航空整備士
- 学科試験:5,600円、実地試験:50,100円
- 二等航空整備士
- 学科試験:5,600円、実地試験:45,000円
航空整備士はどんな人におすすめの資格?
航空整備には完璧な仕事が求められ、整備ミスは許されません。また、業務内容的に下記の人に適性があると言えるでしょう。
- 航空整備士の資格取得がおすすめな人
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- 航空機や機械工学が好きな人
- 責任感の強い人
- 体力や持久力のある人(不規則勤務で、重い部品を運ぶ必要があるため)
- 手先が器用な人
- チーム業務が好きで協調性のある人(整備業務は、整備士同士で連携して行います)
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
航空整備士の資格を管理し、国家試験を実施しているのは「国土交通省」です。受験に必要な手続き、試験日程や会場などについては、下記の公式HPをご覧ください。
まとめ:航空整備士は就職や転職に有利なおすすめの国家資格!
航空整備士は今後定年退職者が増え、売り手市場が続くと想定される専門職です。40代の年収は約600万円と比較的高く、キャリアを積めば同業種間で条件の良いところに転職し、さらなる年収アップも見込めます。責任の重い仕事ですが、やりがいは十分あるので、興味のある方はぜひ資格取得を目指してみてください。
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