2021年にリニューアルされた新スペイン語技能検定(西検)。この記事では試験概要やDELE(デレ)との違い、級ごとのレベル目安、就職や勉強への活かし方を紹介します。
英語や中国語の学習者は多いものですが、グローバル化の世界においてスペイン語を使える人も重宝されますので、ぜひチェックしてくださいね。
新スペイン語技能検定(西検)とは、どんな資格?
新スペイン語技能検定(西検)は、2021年度春季にリニューアルされたスペイン語技能検定です。西検は1973年から開始され、多くの受検者が資格を取得してきました。文部科学省の認定を後援を受けた西検は、スペイン語の能力を有していることの証明として使用できます。
スペイン語は世界中で活用される主要言語のひとつです。スペイン語を公用語としている国と地域は20以上で、約5.8億人が使用しています。
西検では、1級から6級までレベル分けがされています。
- 1級
- 社会生活のあらゆる場面でスペイン語を使うことができ、仕事では専門的業務にも携わることができる。
- 2級
- 社会生活のあらゆる場面でスペイン語を使うことができ、仕事では一般的業務においてスペイン語を活用できる。
- 3級
- スペイン語の読む、書く、聞く、話すの4つの技能を活用し、スペイン語圏で生活するために必要な適切なやりとりができる。
- 4級
- スペイン語の読む、書く、聞く、話すの4つの技能を活用し、日常生活において状況に即したやりとりをスペイン語でできる。
- 5級
- スペイン語の読む、書く、聞く、話すの4つの技能の基本を理解し、日常生活における平易なやりとりができる。
- 6級
- スペイン語の読む、書く、聞く、話すの4つの技能の基本を理解し、日常生活における最低限のやりとりができる。
旧西検からのリニューアルで、各級のレベルがより明確になりました。過去に旧西検で合格した級については、リニューアル後もその証明は有効とされます。
学ぶ知識・技術
新スペイン語技能検定を取得するためには、試験に合格する必要があります。試験では「読む、書く、聞く、話す」の4つの技能を中心に、スペイン語力が問われます。
リニューアルの変更点は、リスニング問題とマークシートの導入です。旧試験ではリスニング試験は4級と5級のみでしたが、すべての級で実施されるようになりました。また、3級~6級の試験の解答用紙に、マークシートが導入されました。
各級に求められるスペイン語力の目安と試験概要は下記の通りです。なお、1級と2級の二次試験は、一次試験の合格者のみが受検できます。
1級
- スペイン語力の目安
-
- スペイン語の学習継続期間が5年以上
- 翻訳や通訳などができる
- 試験概要
-
- 一次試験(90分):記述問題と記号選択問題の筆記・リスニング試験(配点120点)
- 二次試験(約10分):面接官との質疑応答の口述試験
2級
- スペイン語力の目安
-
- 語彙数は約3,500語
- スペイン語の学習継続期間が4年以上
- スペイン語圏への1年程度の留学経験がある
- 上記に相当するスペイン語運用能力を有する
- 試験概要
-
- 一次試験(90分):記述問題と記号選択問題の筆記・リスニング試験(配点120点)
- 二次試験(約8分):面接官との質疑応答の口述試験
3級
- スペイン語力の目安
-
- 語彙数は約2,500語
- 文法の過去未来完了、接続法現在完了、接続法過去、接続法過去完了を理解している
- スペイン語の授業を約300時間以上受講している、またはこれに相当する学習経験がある
- スペイン語には、スペイン語圏各地で語彙や用法に多様性があることを理解している
- 試験概要
-
- 一次試験(90分):マークシート形式の記号選択試験(配点120点)
4級
- スペイン語力の目安
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- 語彙数は約1,500語
- 数字は100万までを習得
- 文法の過去完了、未来、未来完了、過去未来、接続法現在、命令、受け身を理解している
- スペイン語の授業を約200時間以上受講している、またはこれに相当する学習経験がある
- 試験概要
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- 一次試験(60分):マークシート形式の記号選択試験(配点100点)
5級
- スペイン語力の目安
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- 語彙数は約1,000語
- 数字は1万までを習得
- 文法は直説法現在不規則、直説法過去(点過去・線過去)、直説法現在完了、過去分詞、現在分詞、再帰動詞、gustar型動詞を理解している
- スペイン語の授業を約100時間以上受講している、またはこれに相当する学習経験がある
- 試験概要
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- 一次試験(50分):マークシート形式の記号選択試験(配点100点)
6級
- スペイン語力の目安
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- 語彙数は約500語
- 数字は100までを習得
- 文法は直説法現在(ser、estar、haber [hay]、最頻出の規則動詞と不規則動詞)、所有詞(前置形)、指示詞を理解している
- スペイン語の授業を約50時間以上受講している、またはこれに相当する学習経験がある
- 試験概要
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- 一次試験(50分):マークシート形式の記号選択試験(配点100点)
新スペイン語技能検定とDELE(デレ)の違い
スペイン語力の証明となる代表的な試験は、日本では新スペイン語技能検定とDELE(デレ)の2つです。
- DELEスペイン語検定とは
- DELE(Diploma de Español como Lengua Extranjeraの略)は、スペイン語を母国語としない人を対象とした試験。国際的なスペイン語力の証明として活用される。
- 管理団体
- DELEスペイン語検定は、スペイン教育・職業訓練省が公認・発行する。スペイン国外ではインスティトゥト・セルバンテス東京が運営を実施している。
- 試験概要
- DELEスペイン語検定では、A1(入門)、A2(初級)、B1(中級)、B2(中上級)、C1(上級)C2(最上級)の各級が設けられている。試験では、受験者はすべてスペイン語で解答する。
西検とDELEの大きな違いは、受験対象者と試験内容です。
西検はスペイン語を母語をしている人でも母語としていない人でも誰でも受験できます。試験の問題は日本語で出題されますので、日本語を理解している必要があります。DELEではスペイン語で回答しなくてはいけませんので、書く力と話す力がより求められます。
また日本国外でスペイン語の語学力をアピールしたい場合は、DELEの方が知名度が高いでしょう。
新スペイン語技能検定(西検)で目指せる職業、就職先は?
西検を取得すると、下記の業界や業種への就職・転職での自己アピールに役立ちます。
- 商社
- 貿易業
- 航空業界
- 旅行業界
- 翻訳家
- 通訳案内士
ただし就活でスペイン語力の証明とするには、最低でも4級または5級以上が必要です。問題なく仕事をこなすレベルは2級以上、専門職となると1級以上の力があると安心でしょう。
新スペイン語技能検定を取得するとどんな悩みが解決できる?
西検を取得すると、高校や大学の入試や単位取得、留学資格取得、奨学金の選考で役立てることができます。
また、就職を希望している会社が応募要件として西検の取得者を設けている場合は、西検の取得が必要になります。
- 西検を取得すると解決できること
-
- 高校や大学の入試や単位取得に活用できることがある
- スペイン語圏への留学の資格取得条件を満たすことがある
- スペイン語力を必須とする会社への就職を目指せる
新スペイン語技能検定の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
西検の受検資格の制限はありません。国籍や年齢などを問わず、受験可能です。
また、過去に受験した級や合否に関係なく、どの級からでも受験できます。旧西検で受けた級を、リニューアル後の試験で再度受けることも可能です。
西検では、連続した2つの級を併願して受験できます。ただし、検定料の併願割引きはありません。
西検では、1級と2級の一次試験合格者に免除が適用されます。次回または次々回のどちらか一回に限り、一次試験が免除されます。ただし、免除を希望する場合でも検定料は同額となることに注意してください。
取得にかかる費用
西検の受験料は、申込がオンライン申込か郵送・書店または生協申込かで金額が変わります。
受験級 | オンライン申込 | 郵送申込または書店・生協申込 |
---|---|---|
1級 | 12,000円 | 12,300円 |
2級 | 10,000円 | 10,300円 |
3級 | 8,000円 | 8,300円 |
4級 | 6,000円 | 6,300円 |
5級 | 5,000円 | 5,300円 |
6級 | 4,000円 | 4,300円 |
上記はすべて税込みの金額です。郵送申込または書店・生協申込の金額には、願書のデータ化手数料300円が加算されています。
試験の日程
2021年度の西検の出願期間と試験実施期間は下記の通りでした。
- 出願期間(春季)
-
- オンライン申込:4/19(月)~5/23(日)
- 郵送または書店・生協申込:4/19(月)~5/10(月)
- 出願期間(秋季)
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- オンライン申込:8/23(月)~9/26(日)
- 郵送または書店・生協申込:8/23(月)~9/13(月)
- 試験日(春季)
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- 一次試験(2級~6級):6月20日(日)
- 二次試験(2級):8月1日(日)
- 試験日(秋季)
-
- 一次試験(1級~6級):10月24日(日)
- 二次試験(1級・2級):12月5日(日
新スペイン語技能検定はどんな人におすすめの資格?
西検は、スペイン語の語学力を客観的に測ることができます。スペイン語の学習者で、現在の自分のレベルを知りたい人は是非チャレンジしてみてください。各級を目標に学習を進めるのもおすすめです。
スペイン語圏への留学を目指す人やスペインと取引がある会社への就職を希望する人は、4級以上の取得を目指しましょう。西検1級合格者は、全国通訳案内士試験筆記試験語学科目が免除されます。
また、スペイン文化は歴史や食事、スポーツ、ダンス、音楽、芸術、建築などさまざまな魅力があります。趣味の充実のためにスペイン語を学習することも楽しいでしょう。スペイン語検定の勉強を通して、より深くスペインを知るきっかけになるかもしれません。
- 西検の資格取得がおすすめな人
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- スペイン語学習者で、自分の語学レベルを確認したい人
- スペイン語圏への留学を目指す人
- スペインと取引がある会社への就職を希望する人
- 全国通訳案内士の取得を目指す人
- 趣味としてスペイン語を学習したい人
新スペイン語技能検定は他の語学系の資格とのダブルライセンスがおすすめ
スペイン語の語学力を持っていることは、ユニークな自己アピールになります。しかし、日本国内でスペイン語を活用できる状況は限定されますので、就職においては企業が求める能力にスペイン語が含まれていないことも少なくありません。
そうした状況を踏まえても国際的にはスペイン語を話す人は多く、スペイン語の力を伸ばすことで将来的に活躍できる可能性が広がります。
そのため、スペイン語だけでなく他の言語の能力も磨くのがおすすめです。英検やTOEIC、TOEFL、中検などを取得すると語学力に長けている人物であるとアピールできます。
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
西検は、公益財団法人 日本スペイン協会が管理・運営し、文部科学省の認定と後援を受けています。試験の申込や問題例は下記HPから確認してください。
まとめ:スペイン語は他言語と合わせてスキルアップするのもおすすめ
スペイン語は世界的に多くの人が活用している言語です。スペイン文化の魅力も豊富で、勉強や仕事など実用のために学習する人もいれば、趣味として学習する人もいます。就活の自己アピールとして西検取得を考えている場合、英語や中国語など他の言語のスキルも磨いておくと評価アップにつながるでしょう。他言語を使いこなす人は重宝されますので、興味がある人はチャレンジしてみてくださいね。
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