日本の伝統的な建築には再活用可能な自然素材が使われていることがあります。古民家や空き家の利活用に関心がある人は「伝統資財施工士」をご存知ですか?この記事では、伝統資財施工士の講習や試験の概要、公式テキスト、受講費用・受検費用などを解説します。
伝統資財施工士とは、どんな資格?
伝統資財とは、再活用可能な自然素材のことを指します。たとえば、解体された古民家などから取り出される木材などが伝統資材です。伝統資財施工士とは、伝統資財を再活用するための専門的な知識と技術を習得した者で、伝統資財施工士の名称において新民家の企画・施工を行うことができます。伝統資財施工士の有資格者は、財団法人職業技能振興会に備える伝統資財施工士名簿に登録を受けています。
- 伝統資財施工士ができること
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- 古民家に使用されている再利用可能な自然素材(伝統資財)を生かし、住宅の提案をする
- 新築住宅に伝統資財を活用し、地球環境に配慮した住宅づくりを提案する
- 伝統耐震診断士(伝統資財施工士取得後、伝統耐震診断士資格を取得)として活動する
学ぶ知識・技術
伝統資財施工士の資格を取得するには、全国で開催される「伝統資財施工士講習」を受講し、認定試験に合格する必要があります。資格取得までの流れは下記のようになります。
- 講習申込
- 資格講習の受講
- 認定試験の受験
- スキルアップ講習の受講
- 合否発表
伝統資財施工士講習と試験の概要
伝統資財施工士講習と試験は、下記のように構成されています。
- 講習時間
- 4時間
- 試験時間
- 60分(教本持込み可)
- 問題数
- 80問のマークシート式(一定基準以上をもって合格)
- 出題範囲
- 公式テキストから出題
公式テキスト『古民家の調査と再築』(B5判・並製本540ページ)
公式テキスト『古民家の調査と再築』では、下記の内容を学べます。
- 定価
- 8,000円(税抜)
- 発行所
- 一般社団法人住まい教育推進協会
- 発売所
- 株式会社 出版文化社
- 目次
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- Chapter-1:はじめに
- Chapter-2:環境問題
- Chapter-3:古民家について
- Chapter-4:伝統構法の各部位
- Chapter-5:在来工法について
- Chapter-6:構造材について
- Chapter-7:古民家の調査方法
- Chapter-8:再築・新民家について
スキルアップ講習について
伝統資財施工士のスキルアップ講習とは、ユーザーに対しての提案力をアップさせることを目的として実施されます。
- 講習時間
- 2時間
- 講習内容
- 公式テキストを使用します。パースの種類や描き方などの講習、スキルアップ内容として写真の撮影方法などの講習が実施されます。
正式な合格通知は約一ヶ月程度で財団法人職業技能振興会より郵便で届きます。
認定証は更に一ヶ月程度のお時間がかかりますのでご了承下さい。
伝統資財施工士で目指せる職業、就職先は?
伝統資財施工士の資格を取得すると、建築業界の企画・施工の仕事で役立つでしょう。特に伝統資材や自然素材を活用した建築現場において、その知識を活かすことが求められます。
伝統資財施工士を取得するとどんな悩みが解決できる?
伝統資財施工士の資格を取得すると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- 伝統資財施工士が解決できること
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- 古民家に使われている自然素材や伝統資材を有効活用する
- 日本建築の伝統や文化の継承に貢献できる
- 地球環境に配慮した建築をサポートする
伝統資財施工士の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
伝統資財施工士の講座の受講資格は、満20歳以上であることです。
取得にかかる費用
伝統資財施工士の講座の受講料と試験の受験料は下記の通りに定められています。
- 講習料:38,000円
- 試験料:16,000円
伝統資財施工士はどんな人におすすめの資格?
近年は地方を中心に空き家の利活用が推進されています。高齢化社会に伴い、空き家問題や古民家の改修へのニーズは今後も続くことが予想されます。伝統資財施工士が習得した知識や技術は、空き家や古民家の利活用に貢献できるでしょう。
また伝統資財施工士は、一般財団法人職業技能振興会が主催する「古民家鑑定士1級」を取得することで、知識をさらに磨くことができます。
- 伝統資財施工士の資格取得がおすすめな人
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- 建築業界で企画や施工に携わる人
- 空き家や古民家の利活用に関心がある人
- 古民家鑑定士1級とのダブルライセンスを考えている人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
伝統資財施工士は、財団法人職業技能振興会が主催しています。講座や試験の詳細・申込については下記URLから確認してください。
まとめ:空き家や古民家を利活用して日本の伝統を受け継ぐことを可能に
日本ならではの建築が近年、古民家カフェや町家ホテルなどで再生されています。こうした空き家や古民家の利活用に関心がある人は、伝統資財施工士の資格取得を検討してみてはいかがでしょう。
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