語学能力の試験では級数でレベル分けされるタイプのほか、TOEICのように合否ではなくスコアでレベル分けがされる試験もあります。「中国語コミュニケーション能力検定(TECC)」も、スコアに応じて中国語のレベルがわかる試験です。
この記事では、TECCの出題範囲や受験費用、HSK・中国語検定との比較を紹介します。
中国語コミュニケーション能力検定(TECC)とは、どんな資格?
中国語コミュニケーション能力検定(TECC:Test of Communicative Chinese)は、中国語による実用的なコミュニケーション能力を測定する検定です。実用的な中国語能力を測ることが目的ですので、日常生活やビジネスシーンでよく使われる中国語が出題されます。
中国語能力を測定する試験には、HSKや中国語検定などもあります。HSKや中国語検定は、級でレベル分けがされます。TECCは、日本で初めて1000点満点のスコア表示方式による中国語検定を開始しました。英語能力を測定するTOEICのように、級数ではなくスコアによって能力のレベルがわかります。
TECCのスコアがHSKと中国語検定ではどのレベルに相当するかは、下記のように考えられています。
- HSK6級
- TECC中級:650~799点
- HSK5級
- TECC中級:550~649点
- HSK4級
- TECC初級:450~549点
- HSK3級
- TECC初級:380~449点
- HSK2級
- TECC基礎:280~379点
- HSK1級
- TECC基礎:200~279点
- 中国語検定1級
- TECC上級:900~1000点
- 中国語検定準1級
- TECC上級:750~899点
- 中国語検定2級
- TECC中級:550~749点
- 中国語検定3級
- TECC初級:401~549点
- 中国語検定4級
- TECC初級:301~400点
- 中国語検定準4級
- TECC~300点
TECCには、初学者~初級者向けに「ベーシックTECC」という試験もあります。
- ベーシックTECCとは
- 中国語の学習を始めて間もない学習者(学習時間が200時間以内)向けの試験。初級レベルの習得を目指す中国語学習者がまずチャレンジするのにぴったりの出題内容。中検の4級・3級、HSKの2級・3級レベルに相当する
学ぶ知識・技術
TECCは、1000点満点のスコア表示方式で評価される中国語試験です。問題はリスニングとリーディングで構成されます。
リスニング(70問、最大35分)
- 第1部:基本数量問題(10問)
- 日付や時間、電話番号など会話でよく使われる数字を聞いて正解を選ぶ問題。数字・お金・重さ・時間などに関する単位 など
- 第2部:図画写真問題(20問)
- 絵や写真に対する4つの説明文が読まれ、その中で最も適切な説明を選ぶ問題
- 第3部:会話形成問題(20問)
- 甲乙2人の会話が展開され、次に続く言葉を選ぶ問題。相づち言葉、話し手や関係性の推測・理解、会話の流れの推測・理解 など
- 第4部:会話散文問題(20問)
- 会話や散文をまず聞き、それに関する問いに対して適切な答えを選ぶ問題。ニュースや案内放送など、長文のリスニング
リーディング(70問、最大45分)
- 第5部:語順問題(10問)
- 与えられた語句を文中のどの位置に挿入すべきか、最も適切な位置を選ぶ問題。副詞・前置詞・助動詞などの機能語の働き など
- 第6部:補充問題(20問)
- 文中の( )内に挿入する語句として最も適切なものを選ぶ問題。前半は単文、後半は文章。文の骨組みをとらえること、語彙力、四字成語・定型呼応形式 など
- 第7部:語釈問題(20問)
- 文中の下線部の語句とほぼ同じ意味になるよう語句を選ぶ問題。類義語、微妙な意味の違い など
- 第8部:読解問題(20問)
- 長文を読み、それに関する設問に対して最も適切な答えを選ぶ問題。300字~500字の文章読解、語彙力 など
中国語コミュニケーション能力検定(TECC)で目指せる職業、就職先は?
中国語コミュニケーション能力検定(TECC)は、就職や転職で中国語の能力を証明することができる資格です。ビジネスで使える中国語能力をアピールするには、550以上のスコアが目安です。また、経験や学習に応じて、スコアは下記のように対応していると公式HPで発表されています。
- TECCスコア598点以上
- 海外赴任経験者
- TECCスコア600点以上
- 国内での中国関連業務に従事
- TECCスコア614点以上
- 現在、業務で中国語を使用
- TECCスコア700点以上
- 海外赴任者
- TECCスコア712点以上
- 海外赴任経験者
ただし、HSKや中国語検定はより知名度が高く、中国語能力の証明をしたい場合はHSKや中国語検定がおすすめです。TECCで中国語能力をアピールしたいときは、HSKまたは中国語検定とのダブルライセンスを取得していると説得力がさらに増します。
中国語コミュニケーション能力検定(TECC)を取得するとどんな悩みが解決できる?
TECCを取得すると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- 中国語コミュニケーション能力検定(TECC)が解決できること
-
- 中国語の日常会話を聞き取ったり、自分の気持ちを表現できる
- ビジネスシーンでの実用的な中国語能力を身につける
中国語コミュニケーション能力検定(TECC)の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
TECCの受験資格に、年齢や学歴などの制限はありません。中国語学習者は誰でも受験可能です。
取得にかかる費用
TECCの受験料は、7,590円(税込)です。受験料には認定証(PDF)の発行料金が含まれます。
中国語コミュニケーション能力検定(TECC)試験の日程
TECCは、年に2回試験が開催されています。2021年6月からは、オンラインテストに移行しました。
ただし団体受験制度を利用した場合、公開会場での受験が可能です。団体受験の申込は5名以上からとなります。申込人数に応じて受験料金の割引が受けられます。
受験会場は公開会場となり、団体の定める場所、または受験者の自宅等で受験します。
中国語コミュニケーション能力検定(TECC)はどんな人におすすめの資格?
TECCは、ほかの中国語の検定試験と異なり、合格や不合格がありません。成績がスコアで出ますので、そのスコアに応じてレベル分けがされます。合否によらず、中国語能力のレベルチェックをしたい人は、TECCの結果で目安がわかるでしょう。
TECCの平均スコアは約500点です。初級レベルを習得し、中国で普通に生活できるレベルの目安は550点とされています。学生はまずは500点を目指し、留学や仕事で中国語を活かしたい人はさらなるレベルアップを目指してください。
また、TECCは実用的に中国語を使いこなせているかを測定する試験です。HSKや中国語検定の受験者が、TECCを受験して総合的な中国語のレベルを把握するのもおすすめです。
企業によっては、採用や昇進、海外赴任の選考や社員教育・研修などにTECCを活用しています。
- 中国語コミュニケーション能力検定(TECC)の資格取得がおすすめな人
-
- 実用的な中国語能力のスキルアップをしたい人
- HSKや中国語検定の有資格者
- 自分の中国語レベルを確認したい人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
TECCの試験をTECCを実施・運営しているのは、株式会社 空間概念研究所です。管理しているのは、中国語コミュニケーション能力検定 TECC検定事務局です。試験の申込や詳細については、下記HPから確認してください。
まとめ:TECCならTOEICのようにスコアで中国語のレベルを測定できる
中国語コミュニケーション能力検定(TECC)は、試験による語学能力が合否ではなくスコアで測定されるのが特徴です。また、実用的なコミュニケーションのための中国語能力に関する問題が出題されます。ビジネスシーンや日常会話で使える中国語能力が身に付いているかを測定するのにおすすめの試験ですよ。
コメント