マンションの住民トラブルや老朽化、修繕費の積み立てなど問題が起きたとき、解決するための国家資格保持者が「マンション管理士」です。この記事では、マンション管理士の仕事内容、難易度が高く難しいとされる試験内容、取得後のメリット、年収の目安などをお伝えしていきます。
マンション管理士とは、どんな資格?
マンション管理士とは、マンション運営に関する専門知識を持って、管理組合の運営やマンション管理といった様々な問題に対応するコンサルタントです。2000年に「マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)」の制定によって誕生した、比較的新しい国家資格になります。
日本国内では約10人に1人がマンションに住んでいるとされ、戸建て住宅にはないたくさんのメリットがありますが、どんなマンションもいずれは劣化し、老朽化します。さらに幅広い年齢層や家族構成、生活様式の人たちが集まって暮らす建物なので、様々なトラブルも発生します。そういった問題に対応するプロフェッショナルがマンション管理士であり、具体的には次のような仕事を担当します。
- 管理組合の運営サポート、会計管理サポート
- 管理組合とは、分譲マンションを購入した人たち(区分所有者)で構成されている組織です。ただ、マンション管理に関する法律や組合の運営に精通しているわけではないため、マンション管理士が管理組合の運営や会計管理に関するサポートをする必要があります。具体的には、マンション管理費や修繕積立金の会計監査、管理組合の総会や理事会の運営、管理コストの見直し・削減に関してのアドバイスを行います。
- 管理規約の作成・更新業務
- マンションには様々な人が住んでいるので、住民同士が快適に安心して暮らしていけるよう、守るべきルール「管理規約」を定めておく必要があります。管理規約には、共有部分の範囲・使用方法・理事会の権限や義務、ペットの飼い方、災害時や非常時の対応など、管理組合の運営に必要なことが書かれています。更新や作成には区分所有者及び議決権数の4/3以上の決議が必要なため、マンション管理士の知識・経験に基づくアドバイスが求められます。
- 修繕工事に向けての準備、対応
- マンションは建物や関連設備が年々劣化していくため、定期的に修繕を行わないと、外壁塗装のひび割れや剥がれ、内部の鉄筋・鉄骨の錆び、配管トラブルなどが起こり得ます。その予防や対処のために、マンション管理士は大規模修繕に備えた修繕積立金の取り扱い、修繕工事を依頼する施工会社選びや各種手続きを担います。
- 住民トラブルの解決
- マンションには住民トラブルが付き物で、騒音やペット問題、喫煙マナー、駐車場(駐輪場)マナー、ゴミ出しルールを巡って住民同士、あるいは住民と管理会社の間で揉め事が起こる場合があります。そんな時にはマンション管理士が第三者として仲介・対応します。
- 管理会社の監督
- マンション管理は専門知識がないと解決しにくい問題も多いため、多くの管理組合は管理会社に業務を委託しています。そこで管理会社は「マンション管理適正化法」を遵守して業務を遂行する必要がありますが、実際には法律をきちんと遵守しない会社も存在します。そのため、住民と管理会社の間に立ち、公平な立場で管理会社の仕事ぶりを監督することも、マンション管理士の仕事の一環です。
学ぶ知識・技術
マンション管理士になるには、国家試験である「マンション管理士試験」に合格する必要があります。この試験に向けて習得すべき知識は次の通りです。
- マンション管理に関する法令及び実務に関すること
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- 建物の区分所有等に関する法律
- 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法
- マンションの建替え等の円滑化に関する法律
- 民法(取引、契約等マンション管理に関するもの)
- 不動産登記法
- マンション標準管理規約
- マンション標準管理委託契約書
- マンションの管理に関するその他の法律(建築基準法、都市計画法、消防法、住宅の品質確保の促進等に関する法律等) など
- 管理組合の運営の円滑化に関すること
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- 管理組合の組織と運営(集会の運営等)
- 管理組合の業務と役割(役員、理事会の役割等)
- 管理組合の苦情対応と対策
- 管理組合の訴訟と判例
- 管理組合の会計 など
- マンションの建物及び付属施設の構造及び設備に関すること
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- マンションの構造・設備
- 長期修繕計画
- 建物・設備の診断
- 大規模修繕 など
- マンション管理適正化の推進に関する法律について
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- マンションの管理の適正化の推進に関する法律
- マンション管理適正化指針 など
マンション管理士で目指せる職業、就職先は?
マンション管理士の資格があると、次のような職場での就職が目指せるようになります。
- マンション管理会社
- 不動産会社
- ビル管理会社
- 施工管理会社
就職先として最も一般的なのはマンション管理会社で、会社によっては資格手当や昇給する際の必須資格になっていることもあります。
マンション管理士になるとどんな悩みが解決できる?
マンション管理士になると、次のような悩み・問題が解決できるようになります。
- マンション管理士が解決できること
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- 法律や知識を持つ専門家として、老朽化したマンションの建て替えや大規模修繕費の不足、マンション住民の高齢化とそれに伴うバリアフリー化の必要性といった、様々な問題を解決する
- しっかりマンション管理を行うことで、マンションとしての財産的価値を守り、住民がいつまでも安全・快適に住めるようにする
マンション管理士の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
マンション管理士の資格を取得するには、マンション管理士試験に合格し、指定登録機関である公益財団法人マンション管理センターに登録する必要があります。この試験は特に受験資格はなく、年齢や学歴、職歴を問わずどなたでも受験可能です。
取得にかかる費用
マンション管理士試験の受験にかかる費用は9,400円です。また、登録免許税として9,000円、登録手数料として4,250円が別途かかります。
マンション管理士はどんな人におすすめの資格?
マンション管理士は、次のような人に取得がおすすめの資格です。
- マンション管理士の資格取得がおすすめな人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
マンション管理士の資格を管轄しているのは国土交通省で、資格の付与や資格試験の実施は、国土交通大臣指定の団体「公益財団法人 マンション管理センター」が行っています。試験は毎年1回実施されますが、その年の試験日程や会場などについては下記のHPからご確認ください。
まとめ:マンション管理士は将来性があり、ダブルライセンスで高年収も目指せる国家資格!
マンション管理士の平均年収は400万円前後とされていますが、管理業務主任者、宅地建物取引士、行政書士などのダブルライセンスによって600~800万円の収入を得ることも夢ではありません。今後は高齢化社会に伴い、マンションのバリアフリー化など新たな課題も出てきやすくなり、ニーズが高まることも予測されるため、不動産業界で活躍したい人はぜひ資格取得に向けてトライを。
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