コンクリートに関する資格の中でも近年注目されているのが「コンクリート診断士」です。キャリアアップや収入アップを見込める資格としても人気ですが、コンクリート診断士になるにはどんな準備が必要なのでしょう。
この記事ではコンクリート診断士の試験概要や受験資格、コンクリート診断士eラーニング講習などについて解説します。
コンクリート診断士とは、どんな資格?
コンクリート診断士とは、コンクリート構造物の診断・維持管理に関する幅広い知識を有する技術者であることを証明する民間資格です。コンクリート診断士は比較的新しい民間資格ですが、公的機関でもその重要性が認められており、工事発注の要件としてコンクリート診断士が求められることもあります。
コンクリート診断士は、コンクリート構造物の診断や維持管理など下記の業務に携わります。
- コンクリート構造物の点検・調査
- コンクリート構造物の安全性の診断
- コンクリート構造物の補修・補強の判断
- コンクリート構造物の取壊しの判断
- 国土交通省の業務発注
- 都道府県の業務発注
コンクリート診断士に対する評価は高く、下記のように位置づけられています。
- 2012年制定土木学会コンクリート標準示方書
- コンクリート診断士は、「コンクリート技術者」として位置づけられています
- 国土交通省の技術者資格登録制度
- 施設分野が橋梁(鋼橋)、橋梁(コンクリート橋)、トンネルおよび道路土工構造物(シェッド・大型カルバート等)の点検・診断業務(計8区分)において、コンクリート診断士は担当技術者として登録されています
学ぶ知識・技術
コンクリート診断士の資格を取得するには、試験の受験要件を満たし、講習を受講する必要があります。資格取得までの流れは下記の通りです。
- コンクリート診断士eラーニング講習の申込
- コンクリート診断士eラーニング講習の受講
- コンクリート診断士試験の申込(受験資格の要件を満たす者)
- コンクリート診断士試験受験
- 試験合格
- コンクリート診断士として登録
コンクリート診断士eラーニング講習
コンクリート診断士になるためには、eラーニング講習を受講する必要があります。以前は全国での講習会が実施されていましたが、2020年度からeラーニングでの開催へ変更されました。
- 受講時間
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- 全編合計約9時間(基礎編:約5時間、応用編:約4時間)
- 章・節ごとに区切っての受講が可能
コンクリート診断士試験
eラーニングを受講し、要件を満たした人はコンクリート診断士試験を受験できます。
- 筆記試験(四肢択一問題・記述式問題)の出題範囲
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- 変状の種類と原因
- 劣化の機構
- 調査手法
- 劣化予測、評価および判定基準
- 対策の種類、補修・補強工法
- 建築物および土木構造物の診断の考え方・調査項目
- 技術および基準類の変遷
コンクリート診断士試験の合格者は、登録を完了することで「コンクリート診断士」の資格が付与されます。合格後は、4年ごとの研修を受講することで資格の更新登録を受けられます。
コンクリート診断士で目指せる職業、就職先は?
コンクリート診断士になると、下記の職種への就職・転職が見込めます。
- コンクリート試験業務の従事者
- 土木関係の管理者
コンクリート診断士を取得するとどんな悩みが解決できる?
コンクリート診断士の資格を取得すると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- コンクリート診断士が解決できること
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- コンクリート構造物の寿命を延ばす
- コンクリート構造物のひび割れや倒壊の危険を発見し、事故を未然に防ぐ
- コンクリート構造に関する業務の受注要件を満たす場合がある
コンクリート診断士の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
コンクリート診断士試験の受験資格は、下記の通りに定められています。また、試験受験のためには、コンクリート診断士eラーニングを受講する必要があります。
コンクリート診断士の受験資格
- A1~A8
- コンクリート主任技士、コンクリート技士、一級建築士、技術士(建設部門)、技術士(農業部門-農業土木)、(特別上級・上級・1 級)土木技術者(土木学会)、RCCM(鋼構造及びコンクリート)(建設コンサルタンツ協会)、コンクリート構造診断士(プレストレストコンクリート工学会)いずれかの有資格者
- A9
- 1級土木施工管理技士または1級建築施工管理技士(監理技術者資格者証を有すること)
- B1、B2
- 大学、高専(専攻科)で、コンクリート技術に関する科目を履修して卒業した者で、コンクリートの技術関係業務の実務経験4年以上を有する者
- B3、B4
- 短大または高専で、コンクリート技術に関する科目を履修して卒業した者で、コンクリートの技術関係業務の実務経験6年以上を有する者
- B6
- 高校で、コンクリート技術に関する科目を履修して卒業した者で、コンクリートの技術関係業務の実務経験8年以上を有する者
コンクリート診断士講習
試験の受験には、コンクリート診断士講習eラーニングの受講が必須です。講習受講修了証は2 年間有効です。受講修了証は、受験願書の提出時に必要となります。
取得にかかる費用
コンクリート診断士の資格取得までにかかる費用は下記の通りです。
- eラーニング受講料
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- 受講料:22,000円(税・テキスト代含む)
- 願書代:1,000円(税込)
- 受験願書
- 1部1,000円(税・送料込)
- 試験受験料
- 11,000円(税込)
- 登録料
- 7,000円(税込)
- 4年ごとの研修受講費用
- 8,800円(税込)
コンクリート診断士試験の日程
コンクリート診断士試験は、年に一回開催されます。開催地は、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、沖縄です。
コンクリート診断士はどんな人におすすめの資格?
コンクリート診断士の仕事は、コンクリート構造物の建築がある限り需要が発生します。コンクリート構造物は現代の建築の主流であり、今後も建築が進められることが予想されますので、コンクリート診断士の職は安定性が高いといえるでしょう。
ただしコンクリート診断士試験の合格率は10~15%前後です。難易度が高い分、コンクリート診断士の有資格者は重宝され、比較的高収入が見込めます。企業によってはコンクリート診断士の資格が、昇格や昇給の要件とされています。
- コンクリート診断士の資格取得がおすすめな人
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- 安定した業界で働きたい人
- 資格取得を通して収入アップを目指す人
- 高収入の職種への就職・転職を目指す人
- 建物の安全性確保に関心があり、責任感が強い人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
コンクリート診断士の資格を管理しているのは、公益社団法人 日本コンクリート工学会です。試験の詳細や申込については、下記HPから確認してください。
まとめ:コンクリートに関する専門スキルを身に付けて重宝される人材になろう
コンクリート診断士は比較的新しくできた資格ですが、すでにその専門性は高く評価されており、有資格者は就職・転職や昇進で優遇されることがあります。難易度が高い試験ですので、しっかりと準備をして合格を目指しましょう。
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