ビル管理のスペシャリストを目指す人におすすめなのが、「ビル経営管理士」の資格です。スキルアップと年収アップを叶える資格で、性別や年齢を問わずチャレンジできます。
この記事では、ビル経営管理士資格取得に関する試験概要や受験資格などを解説していきます。
ビル経営管理士とは、どんな資格?
ビル経営管理士とは、ビル経営に関する企画・立案、賃貸営業、管理・運営などを行う能力と経験を有し、ビル経営管理に必要な知識を習得したスペシャリストであることを照明する資格です。
日本ビルヂング経営センターが管理士、国土交通大臣登録証明事業として行われていおり、公的資格に分類されます。
ビル経営管理士になると、下記の業務を行うことができます。
- ビル建設のための計画立案
- テナントの募集
- 管理・運営業務
- 警備・防犯体制の整備
- 共用施設の掃除
- ビルメンテナンスの手配
ビル経営管理士は、不動産特定共同事業法の「業務管理者」の要件として位置付けられています。総合不動産投資顧問業登録の人的要件にも指定されていおり、金融商品取引法の「不動産関連特定投資運用業」の登録の要件でもあります。
ビル経営管理士とビル管理士の違いとは
ビルの管理に関する資格は、ビル経営管理士とビル管理士が広く知られています。ビル管理士は国土交通大臣登録証明事業の公的資格ですが、ビル管理士は正式名称を建築物環境衛生管理技術者とし、厚生労働省所轄の国家資格です。
また、法律で面積3000㎡以上(学校については8000㎡以上)の特定建築物においては、ビル管理士を必ず選任することが定められています。ビル経営管理士が管理できる建築物は面積1000㎡以上となりますので、より大きな建築物の管理を目指す場合はビル管理士の資格が必要となります。
学ぶ知識・技術
ビル経営管理士になるには、要件を満たす実務経験を有し、かつ試験に合格する必要があります。
試験の出題内容は下記の通りです。
- 1.賃貸ビルの企画・立案に関する知識
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- 事業企画(市場調査、敷地選定)
- ビルの商品企画(テナント構成、建築意図)
- ビル建設と法規制
- 不動産投資理論
- 不動産事業の税務と会計および事業分析
- 不動産の証券化に関する仕組みと法制および税制
- 長期事業収支計画・長期維持管理計画(ポートフォリオ)
- 不動産特定共同事業、業務管理者実務
- 不動産投資顧問業登録制度
- デューデリジェンスの調査項目と結果分析
- 不動産投資市場および不動産流通市場の知識および分析
- 金融市場の動向に関する知識および分析
- 遵法性の確保、アカウンタビリティー、プレゼンテーション、リスクマネジメント
- 2.賃貸ビルの賃貸営業に関する知識
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- 賃貸条件の設定
- テナントの募集
- テナントとの契約手続
- テナントの入退去時の対応
- テナント契約管理(退室・増室・同居・転貸・滞納等)
- 賃料・共益費の改定
- テナントニーズの把握
- その他(催事企画など)
- リーシングマネジメント
- 3.賃貸ビルの管理・運営に関する知識
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- プロパティマネジメント体制・管理企画業務
- 資産管理業務
- ビル運営管理コスト、エネルギーコスト管理
- 館内規則の策定
- 管理委託契約締結、委託管理業者管理、業務品質評価、業務品質管理
- ビルメンテナンス(日常管理業務:施設・設備・警備・防災・環境衛生等)の管理
- 建物維持保全業務(点検、修繕、モダナイゼーション等)の管理
- 各種許可・届出などの手続き、立入検査対応管理等
- 日常管理業務に関するテナントなどへの対応管理
- コンストラクションマネジメント
- デューデリジェンス(エンジニアリングレポート)
- ライフサイクルコストマネジメント
- 複合用途のプロパティマネジメント
- 4.総合問題
- 1~3の科目の総合問題(記述問題)
1~3の 3 科目については正誤選択式・用語選択式・用語穴埋め式などで出題されます。
ビル経営管理士で目指せる職業、就職先は?
ビル経営管理士になると、下記の業種への就職・転職が見込めます。
- 不動産会社
- ビル管理会社
- 金融業界の不動産管理・運営担当者
- 投資運営コンサルタント
ビル経営管理士になるとどんな悩みが解決できる?
ビル経営管理士の資格を取得すると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- ビル経営管理士が解決できること
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- 不動産の運営・経営を適切に行う
- テナント募集や契約など、ビルの有効活用をサポートする
- ビルのメンテナンスを行い、人命を守る措置を取る
ビル経営管理士の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
ビル経営管理士の資格の取得には、ビル経営管理士試験を受験し、合格する必要があります。試験はどなたでも受験可能ですが、合格しても実務経験要件を満たしていなければビル経営管理士として登録申請は行えません。
- ビル経営管理士登録の実務経験の要件
- 賃貸ビル(階数が5以上で、延べ面積が1,000㎡を超えるもの)経営管理の業務に現に従事している者、過去に従事していた者、または今後従事しようとする者であって、次のいずれかに該当する者
- 賃貸ビル経営管理に関し3年以上の実務経験を有する者
- 賃貸ビル経営管理に関し2年以上の実務経験を有する者であって、センターのビル経営管理講座を修了した者
- 不動産経営管理に関し5年以上の実務経験を有する者であって、賃貸ビル経営管理に関し2年以上の実務経験を有する者
- 不動産経営管理に関し5年以上の実務経験を有する者であって、センターのビル経営管理講座を修了した者
- 不動産特定共同事業に係る業務に関し2年以上の実務経験を有する者
- 不動産投資顧問業登録規程に基づく登録を受けた総合不動産投資顧問業に係る業務に関し3年以上の実務経験を有する者
実務経験要件を満たす試験合格者は、登録申請を行いましょう。登録が完了すると、ビル経営管理士の称号が付与されます。登録有効期間は5年間で、5年ごとに更新登録が必要となります。
ビル経営管理士試験の科目免除
日本ビルヂング経営センターによる「ビル経営管理講座」を受講すると、試験受験の際に下記の免除を受けられます。
- ビル経営管理士試験の「総合問題」科目が免除され、 一律30点が加算される
- ビル経営管理士の資格登録における実務経験要件が短縮される
ビル経営管理講座の受講料は、132,000円(税込)です。ただし、電子ブック版テキストのみで受講擦る場合は、割引対象となり99,000 円(税込)となります。
再受講者割引として、2007(平成19)年度以降に講座を受講し、再度受講される場合は下記の割引の対象となります。
- 製本版と電子ブック版テキストで受講:99,000 円(税込)
- 電子ブック版テキストのみで受講:66,000 円(税込)
取得にかかる費用
ビル経営管理士試験の受験費用は33,000円(税込)です。合格後は登録手数料として22,000円(税込)がかかります。更新登録申請にかかる登録手数料は、11,000円(税込)です。更新登録を行わないと、登録は抹消されます。
ビル経営管理士試験の日程
ビル経営管理士の試験は夏季と冬季の年2回実施されます。夏季と冬季で実施される級が異なりますので、受験を希望する級の試験が実施されるかよく確認しましょう。
ビル経営管理士はどんな人におすすめの資格?
賃貸やテナント経営のほか不動産業は多様化しており、ビル経営管理士のように適切なビル管理を行る人材のニーズは高まっています。
ビル経営管理士試験の合格率は70%前後と比較的易しめでありながら、高収入も期待できます。ビル経営管理士の年収は300万〜700万と言われています。しかしながら年収1,000万以上の高収入のビル経営管理士もいる資格です。管理するビルの数や管理能力によって、年収は大きく変化します。
ビル経営管理士が活躍できる金融業界などは収入が高い傾向にありますので、資格を活かした就職や転職での収入アップも期待できるでしょう。
また、その他の不動産関連の資格を取得するとさらに幅広い専門知識を習得することができ、キャリアアップにつなげられます。
- ビル経営管理士の資格取得がおすすめな人
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- 不動産の管理や経営に関心がある人
- 資格を活かして収入アップを目指す人
- 金融業界に携わっており、不動産関連でキャリアアップしたい人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
ビル経営管理士の試験は、一般財団法人 日本ビルヂング経営センターが管理しています。試験の詳細や申込は下記HPから確認してください。
まとめ:ビルの管理・運営のスペシャリストになり、キャリアアップを目指そう
ビル経営管理士は比較的難易度が易しい資格ですが、収入アップやキャリアアップが期待できます。ビルを適切に管理・運営できる知識や経験を有している人材は、今後も重宝されます。資格取得には試験合格だけでなく実務経験も必要ですので、計画的にチャレンジしましょう。
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