赤白青の縞模様の回転サインポールが特徴の散髪屋さん「理容師」。特に男性は髪をカットしに頻繁に訪れるお店ですが、この理容師になるには国家資格を取る必要があります。今回は、理容師の資格を取る方法や取るメリットなどをご紹介していきます。
理容師とは、どんな資格?
理容師とは、1947年に制定された理容師法に基づく国家資格です。似た国家資格で「美容師」もありますが、美容師は「パーマネントウェーブ、結髪、化粧などの方法により、容姿を美しくすることパーマネントウェーブ、結髪、化粧などの方法により、容姿を美しくすること」を仕事とする一方、理容師は「頭髪の刈込、顔そり等の方法により容姿を整えること」を仕事とします。
いずれもヘアカットやパーマを行うことができますが、理容師は美容師と異なり、顔そり(シェービング)を行える点が主な違いとなります。
理容師の資格を取るには、「理容師国家試験」に合格する必要があります。学科(筆記試験)は毎年3月と9月の2回、実技は2月と8月の2回それぞれ実施されます。学科・実技で習得すべき主な知識・技術は以下の通りです。
学ぶ知識・技術
- 学科試験(7課目から55問/解答時間100分)/dt>
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- 関係法規・制度
- 運営管理
- 衛生管理(公衆衛生・環境衛生、感染症、衛生管理技術)
- 保健(人体の構造及び機能、皮膚科学)
- 香粧品化学
- 文化論
- 理容技術理論
- 実技試験
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- カッティング(25分)
- シェービング及び顔面処置(15分)
- 散髪(5分)
- 衛生上の取り扱い
なお、合格条件は以下の通りです。
- 学科試験
- 正答率が55問中60%以上かつ全課目において無得点がない
- 実技試験
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- 衛生上の取り扱い試験での減点が20点以下
- 基礎的技術試験の減点が40点以下
試験内容や減点項目は実施回によって変更される場合があるので、詳細は「公益財団法人理容師美容師試験研修センター」のホームページ(http://www.sb.rbc.or.jp/index.html)を確認しましょう。
理容師の就職先は?
理容師の国家資格を取得すれば、理容師として就職できるようになります。
ただ、最近は女性に限らず、若い男性も美容室を利用する頻度が増えています。こうした男女のユニセックス化にともない、理容師よりも美容師数が多くなっているのが現状です。
「理容師の資格をとっても就職先に困るのでは…」と不安に思う人もいるでしょうが、OB会や業界全体のネットワークも強く、理容専門学校の講師の多くはその学校のOBで理容室を何軒も経営している人もいることもあり国内で働くOB達の理容室が就職先の受け皿となってくれる現状があり、就職率100%に近い実績を持つ利用専門学校も多数あります。
また、近年は高齢化社会の影響で、理容室に来店する高齢者・障害者へのサービスや、在宅・施設での訪問理容を行う「ケア理容師」のニーズも高まりつつあります。将来性を考えるなら「ケア理容師養成研修」も併せて受講しておいてもいいかもしれません。
理容師になるとどんな悩みが解決できる?
理容師になると、ヘアカットやシェービング技術を通じてお客様の身嗜みを整えることができます。月1回カットする場合が多い男性客はもちろん、最近は女性も顔そりで利用するケースが増えてきているので、美容師でなく理容師だからこそできるシェービングは、女性客にも喜ばれることでしょう。
理容師の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受講資格)
理容師試験を受けるためには、下記の用件を満たしていることが条件です。
- 高等学校を卒業した後、厚生労働大臣指定の養成施設(理容学校)を卒業・修了した者
多くの理容学校は「高等学校卒業以上」を入学資格としていますが、「高等課程」としての認可を受けている学校であれば、中卒者および中従者(中学校を卒業して、理容室で補助的な業務をしている人)でも、理容学校によっては入学することも可能です。
また、理容師試験の受験資格を得るには、厚生労働大臣指定の養成施設(理容学校)で「昼間課程(2年以上)」「通信課程(3年以上)」のいずれかを修了する必要があります。
既卒者や社会人から理容師資格にチャレンジしたい場合は、通信過程での資格取得も可能ですので、転職に興味のある方はぜひ覚えておきましょう。
理容師はどんな人におすすめの資格?
ヘアスタイルやファッションなど、オシャレやトレンドへの興味や関心がある人、また手先の器用な人は理容師向きといえるでしょう。
理容室は男性客が多いので、流行をチェックしてオーダーする人よりも「お任せで」と言う人が多い傾向にあります。そんなお客様に合ったヘアスタイルを提案したい人、「カッコいい髪型にしてあげたい」という気持ちが強い人は、きっと理容師の仕事を楽しんで行えるはずです。
また、理容師はお客様の髪や顔に直接触れる特別な仕事であり、薄毛など髪への悩みを抱えるお客様も来店します。そんなときに気持ちよいコミュニケーションがとれたり、相談に乗ってあげるのが好きだったりする人、何気ない会話も楽しめる人も理容師向きといえそうです。
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
理容師の国家試験を実施・管理しているのは、「公益財団法人理容師美容師試験研修センター」です。試験は春期・秋期の年2回実施され、春の実技試験は毎年2月頃、学科試験(筆記試験)は3月頃、秋の実技試験は8月頃、学科試験は9月頃に行われます。
筆記試験の会場は各都道府県の大学など、実技試験の会場は各都道府県の美容専門学校などです。その年の試験課目・試験時間・試験会場、また受験手続きの流れは「公益財団法人理容師美容師試験研修センター」の公式ホームページからご確認ください。
まとめ:「理容師」の資格は、高齢化社会でも役立つ職人スキル!
理容師の資格を取れば、業務経験を積んだ後で自分のお店を持って独立することはもちろん、高齢化社会の現代では、訪問利用サービスなどさまざまな方法で将来を確立することができます。ヘアスタイルやオシャレに関心がある人、コミュニケーションが好きな人は、ぜひ資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
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