肩こりや腰痛などに悩まされた時、鍼灸院ではり師の治療を受けた経験はあるでしょうか。実ははり師は国家資格で、有資格者でないと仕事に従事することができません。資格の取得方法や「きゅう師」「鍼灸師」との違いなど、紹介していきます。
はり師とは、どんな資格?
「はり」とは、0.14~0.3mmの鍼を使って体のツボ(経穴)に刺し、その刺激で自然治癒作用を盛んにする、東洋医学に基づく治療法です。神経痛や関節炎、腰痛、肩こりなどに効果があるとされ、この施術を行う専門職・国家資格を「はり師」といいます。
「鍼灸師(しんきゅうし)」と呼ばれることもありますが、実は鍼灸師という資格はなく、「はり師」と「きゅう師」という2つの資格に分かれています。鍼専門で治療を行う人のことを「はり師」、灸(よもぎなどの薬草から作られている「もぐさ」をツボに置いて火をつけ、熱の力で治療をする方法)専門で治療を行う人のことを「きゅう師」と呼びます。いずれもツボを刺激する治療法で、共通の技術も多いことから、両方の資格を取得して働く人がほとんどです。
学ぶ知識・技術
はり師の国家資格を取得するには、特定の大学・専門学校の卒業認定(卒業見込み)を受けたうえで、はり師国家試験に合格する必要があります。この試験(筆記試験)に向けて習得すべき知識は、以下の通りです。
- 医療概論(医学史を除く)
- 衛生学・公衆衛生学
- 関係法規
- 解剖学
- 生理学
- 病理学概論
- 臨床医学総論
- 臨床医学各論
- リハビリテーション医学
- 東洋医学概論
- 経絡経穴概論
- はり理論
- 東洋医学臨床論
はり師で目指せる職業、就職先は?
はり師の資格取得後は、鍼治療院に就職するのが一般的です。きゅう師の資格も併せて取得していれば、次のような職場での就職も見込めるようになります。また、最近は「美容鍼」のニーズが高まっていることから、美容業界での就職例も増えてきました。
- 鍼灸院・鍼灸サロン
- 美容クリニック
- エステサロン
- スポーツ施設(スポーツ鍼灸)
- 介護・福祉施設
はり師になるとどんな悩みが解決できる?
はり師になると、次のような悩み・問題が解決できるようになります。
- はり師が解決できること
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- 鍼治療を通じて、筋肉の凝りや痛みを緩和したり、血流を良くしたりする
- 薬を使わずに自然治癒力を引き出したり、免疫力を高めたりする効果が期待できる
はり師の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
はり師の資格を取得するには、はり師国家試験に合格する必要がありますが、この試験を受験できるのは下記の条件を満たした人です。
はり師国家試験の受験資格
- 高校卒業後、文部科学大臣・厚生労働大臣認定の学校・養成施設(大学・短大・専門学校など)で3年以上必要な知識と技能を修得し、卒業した人
取得にかかる費用
はり師国家試験の受験にかかる費用は、11,600円です。
はり師はどんな人におすすめの資格?
はり師は、次のような人に取得がおすすめの資格です。
- はり師の資格取得がおすすめな人
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- 医学に興味があり、勉強が苦にならない人
- ツボの位置を正確に見極め、刺激する手先の器用さがある人
- コミュニケーション能力が高い人
- きゅう師の資格を取得している人
- はり治療院の開業、スポーツトレーナーとして起業を目指す人
- 介護業界に興味があり、将来ケアマネージャーの取得を検討している人
- 柔道整復師の資格を取得している人(ダブルライセンスによって、就職先やできる業務の幅が広がる)
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
はり師の国家資格を管理しているのは厚生労働省で、資格試験を実施しているのは指定機関の「公益財団法人 東洋療法研修試験財団」です。その年の試験日程や会場などについては、下記の公式HPからご確認ください。
まとめ:はり師&きゅう師のダブルライセンスで就職先はぐんと広がる!
はり師は、きゅう師の資格と併せて取得しやすく、またダブルライセンスによって就職や活躍の場がぐんと広がります。経験を重ねて高い技術を身に付けていけば、独立開業も夢ではないので、東洋医学やサロン経営に興味のある方は資格取得に向けてぜひチャレンジを。
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