小学校に入学する前の子供たちを幼稚園で預かり、教育を行う国家資格「幼稚園教諭」は、皆さんにとって非常に身近な存在ではないでしょうか。今回はこの幼稚園教諭とはどんな役割を担う職種か、具体的な業務内容や資格取得の方法、取得のメリットなどをお伝えしていきます。
幼稚園教諭とは、どんな資格?
幼稚園教諭とは、幼稚園に在学する満3歳〜小学校に入学するまでの幼児に教育を行う職種です。国家資格である「幼稚園教諭免許状」を取得し、採用試験に合格した人がなることができます。
幼稚園教諭は、幼稚園教育要領に基づくカリキュラムに沿った保育を行うほか、下記のような仕事を担います。
- 子供一人ひとりの個性を把握し、楽しみながら成長できるよう可能性を引き出す
- 子供の健康チェック
- 集団生活の中で生活習慣を身につけさせる
- 英語教育
- 保護者とのコミュニケーション
- 保育計画の立案
- 行事の準備
- 保護者向けの書類作成
学ぶ知識・技術
幼稚園教諭になるには、「幼稚園教諭免許状」を取得する必要があります。免許状は、下記の3種類に分けられます。
- 幼稚園教諭一種免許状
- 幼稚園教諭養成課程のある4年制大学で必要な科目を履修すると、取得できます。
- 幼稚園教諭二種免許状
- 幼稚園教諭養成課程のある短大や専門学校で必要な科目を履修すると、取得できます。
- 幼稚園教諭専修免許状
- 幼稚園教諭養成課程のある大学院を修了すると、取得できます。
幼稚園教諭養成課程で学んでいく科目は、下記の通りです。
- 一般教養
- 日本国憲法や体育、外国語コミュニケーションなど
- 教科に関する科目
- 国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育など(専修と一種は6教科、二種は4教科)
- 教職に関する科目
- 幼児教育学や幼児心理学、教育実習など(専修と一種は35教科、二種は27教科)
ただし幼稚園教諭免許状を取得した後は、採用試験に合格しなければ幼稚園教諭として働くことはできません。採用試験では、下記の知識や技術が問われます。
- 一般教養や専門科目(筆記試験)
- 面接
- ピアノや保育実習、模擬授業(実技試験)
- 作文、論文
幼稚園教諭で目指せる職業、就職先は?
幼稚園教諭免許状の取得後に目指せる主な就職先は、下記の通りです。
- 公立幼稚園
- 自治体が運営している幼稚園で、全体の幼稚園数の約4割程度を占めます。公立幼稚園に採用された教諭は、公務員扱いとなります。文部科学省の幼稚園教育要領を基本にするため、園によって教育方針が異なるということはあまりありません。
- 私立幼稚園
- 学校法人や社会福祉法人などが運営する幼稚園です。キリスト教会や仏教寺院などの宗教法人が母体の私立幼稚園もあり、文部科学省の幼稚園教育要領を基本にしながらも、それぞれの園によって特色や教育方針が異なります。
- 国立幼稚園
- 全国で約50園しかない幼稚園で、附属の国立大学の学生が教育実習を行うなど、幼稚園教育について研究をするための機関としての役割もあります。
- 認定こども園
- 幼稚園と保育所の長所を生かし、就学前の子供に幼児教育と保育を行い、地域における子育て支援も行うのが「認定こども園」です。認定こども園で働くには、幼稚園教諭免許状だけでなく保育士資格の取得も必要です。
幼稚園教諭になるとどんな悩みが解決できる?
幼稚園教諭になると、下記のような悩み・問題を解決できるようになります。
- 幼稚園教諭が解決できること
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- 保護者以外で「初めて身近に接する大人」として、子供と信頼関係を築き、安心できる時間・空間を提供する
- 小学生になる前の準備として、集団生活に必要な力を身につけさせる
- 教育を通じて、子供たち一人ひとりの個性を引き出す
- 子供一人ひとりの性格や普段の様子を観察することで、体調不良などの異変にいち早く気付く
幼稚園教諭の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
幼稚園教諭の資格(幼稚園教諭免許状)を取得するには、下記の条件を満たす必要があります。
幼稚園教諭免許状の取得条件(下記のいずれか)
- 高校を卒業後、幼稚園教諭の教職課程のある大学院、大学、短大、専門学校、通信制大学のいずれかで学び、所定の課程を修了した者
- 高校を卒業後、保育士養成学校を卒業した後に3年以上の保育士実務経験を経て、「幼稚園教員資格認定試験」に合格した者
幼稚園教諭採用試験の受験資格
幼稚園教諭になるには、幼稚園教諭免許状を取得後、採用試験に合格する必要があります。試験を受験できるのは、「幼稚園教諭免許状を取得済み(あるいは取得見込み)の者」のみです。
取得にかかる費用
幼稚園教諭採用試験の受験料は無料です。
幼稚園教諭はどんな人におすすめの資格?
幼稚園教諭は、下記のような人におすすめの国家資格です。
- 幼稚園教諭の資格取得がおすすめな人
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- 子供が好きな人
- 面倒見の良い人
- 手先の器用な人(お遊戯会や運動会の小道具を工作する機会が多いため)
- 「子供を守る」という責任感や使命感が強い人
- 保育士の資格を持っており、認定こども園での就職を目指している人
- 幼児教室の開業を目指している人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
幼稚園教諭免許状の資格を管理しているのは「文部科学省」で、免許を付与するのは各都道府県知事です。公立・国立幼稚園の教員になりたい場合は、各都道府県ごとに実施される採用試験を、私立幼稚園の場合はそこでの教員採用試験をクリアする必要があります。
資格についての詳しい情報は、文部科学省のHPからご確認ください。
まとめ:少子化社会でも、幼稚園教諭の社会的ニーズは根強い!
近年は共働き家庭の増加に伴い、幼稚園より保育園を利用する保護者が増加傾向にありますが、2006年新たに創設された「認定こども園」の登場によって、幼稚園教諭の資格を活かせる場も増えつつあります。幼い子供の面倒を見るのが好きな人は、資格取得に向けてぜひチャレンジを!
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