現代のビジネスではメンタルヘルスや職場環境改善が重要ですよね。この記事では「産業カウンセラー」の民間資格について、資格取得の流れや「産業カウンセラー養成講座」のコースの種類、受講資格、資格試験の受験資格などを解説します。
産業カウンセラーとは、どんな資格?
産業カウンセラーの資格試験は、1971年に始まりました。これまでに約75,000人の人が試験にチャレンジし、産業カウンセラーの資格を取得しています。産業カウンセラーになるには「産業カウンセラー養成講座」を受講します。
産業カウンセラーの養成講座では、メンタルヘルスの推進やキャリア・カウンセリング、人間関係開発などの専門的知識と技能を学びます。特に「傾聴」の態度・技法の習得が重要だと位置付けられています。
学ぶ知識・技術
産業カウンセラーの資格を取得するには、「産業カウンセラー養成講座」を修了し、産業カウンセラー試験に合格する必要があります。
- 産業カウンセラー資格取得の流れ
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- 面接の体験学習104時間(15~16日間)
- 面接の体験学習に関する課題学習6課題(28時間相当 ホームワーク)
- 講義動画視聴(44時間相当 e-Learning)
- 理解度確認テスト(13時間相当 e-Learning)
- 講座の理論科目
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- カウンセリングとは何か
- 傾聴の意義と技法
- カウンセリングのプロセスとトレーニング
- 産業カウンセラーと産業カウンセリングの歩み
- カウンセリング理論の源流とその発展
- カウンセリングのさまざまな理論と方法
- こころとからだのメカニズム
- パーソナリティ心理学と心理アセスメント
- 精神医学の基本
- 産業組織の心理学
- コミュニケーションの基本
- 職場におけるメンタルヘルス対策への支援
- 産業社会の動向と働く意識の変化
- 人事労務管理の基礎知識と人材マネジメントの現状
- 労働法規の基本
- 社会福祉関連法
- 職場における人間関係開発・職場環境改善への支援
- キャリア形成への支援
- コンプライアンスと倫理
- 講座の修了条件
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- 面接の体験学習計104時間中90時間以上出席すること
- 面接の体験学習に関する課題学習6課題を提出し、このうち4課題についてはABCD4段階評価において、AまたはBの評価を受けること(2課題は評価対象外)
- 講義動画視聴後、指定された科目(6科目、12時間分)について「ふりかえり」を提出すること
- 理解度確認テスト各科目において6割以上正答すること(6割未満の場合は再実施)
講座の受講コースは3つの種類があります。
- 通学コース
- 面接の体験学習104時間すべてを対面で行うコース。体験学習は、実際の対面カウンセリング場面に近い条件で行われます。
- オンラインコース
- スクーリングで28時間、オンライン(ZOOM)で76時間のコース。対面カウンセリング場面はスクーリングで経験します。
- フルオンラインコース
- 面接の体験学習104時間すべてをオンライン(ZOOM)で行うコース。
産業カウンセラーで目指せる職業、就職先は?
産業カウンセラーの資格を活かして、企業などのカウンセラーを目指すことはできますが、精神科医や公認心理士、保健師などが企業の心理カウンセラーとして勤務していることが多いです。これらの国家資格と比較すると、産業カウンセラーの資格で優遇される労働条件は高いとはいえません。
産業カウンセラーを取得するとどんな悩みが解決できる?
産業カウンセラーの資格を取得すると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- 産業カウンセラーが解決できること
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- 職場のハラスメント問題で悩む人の相談相手になる
- 仕事で発生したメンタルの不調の相談相手になる
- 職場の人間環境や労働環境の改善のサポートをできる
産業カウンセラーの資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
産業カウンセラー養成講座の受講資格は、受講開始時点で成人年齢に達していることです。講座を修了した場合、産業カウンセラー試験の受験資格を得られます。
産業カウンセラー試験の受験資格
産業カウンセラー試験の受験資格は。下記の①または②または③のいずれかに該当している場合です 。
- ①講座の修了者
- 協会が行う産業カウンセリングの学識及び技能を修得するための講座を修了した者
- ②学歴と職業経験
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- 大学院研究科において心理学又は心理学隣接諸科学、人間科学、人間関係学のいずれかの名称を冠する専攻(課程)の修了者であって、A群からG群までの科目において、1科目を2単位以内として10科目以上、20単位以上を取得していることを要する。ただし、D群からG群の科目による取得単位は6単位以内とする
- 社会人として週3日以上の職業経験を通算3年以上有し、大学院研究科において心理学又は心理学隣接諸科学、人間科学、人間関係学のいずれかの名称を冠する専攻(課程)の修了者であって、第3条第4号に定めるA群からG群までの科目において、1科目を2単位以内として4科目以上、8単位以上を取得していることを要する。ただし、D群からG群の科目による取得単位は2単位以内とする。本号に記載の職業経験とは、雇用形態を問わずすべての職業経験をいう。
- ③学歴と所定の単位の取得
- 4年制大学学部の卒業者であって、公認心理師法 別添「公認心理師法第7条第1号及び第2号に規定する公認心理師となるために必要な科目の確認について」の別表「大学における必要な科目」のうち、協会が指定する17科目について、所定の単位を取得した者。ただし、当該大学が公認心理師コースを開始した年度以降に履修した単位に限る。
取得にかかる費用
産業カウンセラーの養成講座の受講費用は、297,000円(教材費含む・税込)です。講座の説明会に参加した場合、受講料に5,500円の割引が適用されます(2023年時点)。
産業カウンセラー試験の日程
産業カウンセラーの養成講座は、春開講講座と飽き開講講座の6か月コース、10か月コースが設けられています。
産業カウンセラーはどんな人におすすめの資格?
カウンセラーとして働くことを目指す場合、精神科医や公認心理士の資格を取得することをおすすめします。これらの国家資格と比較すると、産業カウンセラーの資格は取得しやすい民間資格です。
産業カウンセラーの資格は、人事部や人材派遣会社の業務に役立つことがあります。人の悩みに寄り添い、適切な知識や傾聴力を活かして悩みの改善やメンタルヘルスケアをサポートしたい人は、産業カウンセラーの資格取得を目指してみてはいかがでしょう。
- 産業カウンセラーの資格取得がおすすめな人
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- 企業の人事部に勤める人
- 人材派遣業界に勤める人
- 心理学や人間科学を学んでいる人
- メンタルヘルスに関心がある人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
産業カウンセラーの資格講座を主催しているのは、一般社団法人 日本産業カウンセラー協会です。講座の受講・試験の受験に関する詳細は下記URLから確認してください。
まとめ:メンタルヘルスに貢献したい人におすすめの民間資格
産業カウンセラーの資格は、国家資格と比較すると就職や転職におけるメリットは小さいのが現状です。ただしメンタルヘルスや労働環境の改善に貢献したい人、人事部や人材派遣業界で働く人は、産業カウンセラーの資格取得を通して役立つ知識を得られるでしょう。
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