ワインのテイスティングやアドバイスの専門家であるソムリエ。飲食業界や酒類を扱う職種の場合は資格取得を目指す人もいますよね。この記事ではソムリエの呼称資格認定試験の概要や受験費用、ワインエキスパートやソムリエ・エクセレンスとの違いなどについて解説します。
ソムリエ、ワインエキスパートとは、どんな資格?
ソムリエやワインエキスパートは、ワインに関する知識を習得したことを証明する資格です。J.S.A.(一般社団法人 日本ソムリエ協会)が定義した呼称資格であり、それぞれが下記の内容について認定されています。
- ソムリエ
- 飲厚生労働省の職業分類で認定されている職種のひとつ。食、酒類・飲料の仕入れ、管理、輸出入、流通、販売、教育機関、酒類製造のいずれかの分類に属し、酒類、飲料、食全般の専門的知識・テイスティング能力を有するプロフェッショナル。ソムリエの仕事は、飲食店や酒類・飲料を販売する施設でワイン類の提供や紹介、ワインに関する専門的なアドバイスなど。
- ワインエキスパート
- 酒類、飲料、食全般の専門的知識・テイスティング能力を習得した者を指す。ただしプロフェッショナルな資格ではなく、主にワイン愛好家を指す資格として位置づけられている
ソムリエ、ワインエキスパートの名称の変更
2016年以前は、J.S.A.は「ワインアドバイザー」「シニアワインアドバイザー」の資格の認定を行っていました。ただし現在はこれらの資格試験は実施されていません。資格取得を目指す場合、2022年度以降は次のように呼称が変更されています。
- 「ワインアドバイザー」→「ソムリエ」
- 「シニアワインアドバイザー」→「ソムリエ・エクセレンス」
なお、2013年から2018年の間に「シニアソムリエ」「シニアワインエキスパート」を取得した人は、エクセレンス呼称を使用できるようになっています。
学ぶ知識・技術
ソムリエとワインエキスパートの資格を取得するには、呼称資格認定試験に合格する必要があります。ソムリエ、ワインエキスパート、J.S.A.ソムリエ・エクセレンス、J.S.A.ワインエキスパート・エクセレンスそれぞれで試験内容が異なります。
ソムリエ、ワインエキスパートの試験内容は下記のように構成されています。
- 第一次試験
- CBT試験:2022年度日本ソムリエ協会教本より出題
- 第二次試験
-
- テイスティング試験
- ソムリエのみ:論述試験(三次試験の内容として審査)
- 第三次試験(ソムリエのみ)
- サービス実技試験:ワインの開栓およびデカンタージュ
- 書類審査(ソムリエのみ)
- 第三次試験通過者対象
J.S.A.ソムリエ・エクセレンス、J.S.A.ワインエキスパート・エクセレンスの試験内容は下記のように構成されています。
- 第一日程(筆記試験)
- 教本を中心とした(記載事項に限らない)、シェフソムリエ、チーフ(販売、バイヤーなど)、教育、啓蒙に携わるプロフェッショナルおよび上位エキスパートに求められる基礎知識および周辺知識
- 第二日程(テイスティング)
- 第二日程(実技試験(ソムリエ・エクセレンスのみ))
-
- サービス:シェフソムリエ業務、プレゼンテーション、接客
- 口頭試問:基礎知識(教本記載事項に限らない)、販売、接客、プレゼンテーション
- 論述試験(ワインエキスパート・エクセレンスのみ)
- ワインおよび産地に対する理解力、伝達能力について
- 書類審査(ソムリエ・エクセレンスのみ)
- 実技試験通過者対象
ソムリエ、ワインエキスパートで目指せる職業、就職先は?
ソムリエ、ワインエキスパートの資格を取得すると、レストランやバーなどの飲食業界、酒類の小売販売店、酒類の製造会社などへの就職に役立つでしょう。
ソムリエ、ワインエキスパートを取得するとどんな悩みが解決できる?
ソムリエ、ワインエキスパートの資格を取得すると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- ソムリエ、ワインエキスパートが解決できること
-
- ワインの保存法や提供法などサービスの質が向上する
- ワインの魅力や文化が幅広く認知される
- ワインに関する正しい知識が社会に提供される
ソムリエ、ワインエキスパートの資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
ソムリエ、ワインエキスパートの呼称資格認定試験の受験資格は、それぞれ下記のように定められています。また、既に保有している資格については、試験を受験することはできません。
ソムリエ
ソムリエの呼称資格認定試験の受験資格は、一般受験と会員受験で要件が異なります。
- 一般
- 以下のいずれかの職務を通算3年以上経験し、開催年度の基準日においても従事し、月90時間以上勤務していること
- 会員
- 会員歴が2年以上あり、以下のいずれかの職務を通算2年以上経験し、開催年度の基準日においても従事し、月90時間以上勤務しているJ.S.A.正会員および賛助会員在籍者
- 職務の条件
-
- 酒類・飲料を提供する飲食サービス
- 酒類・飲料の仕入れ、管理、輸出入、流通、販売、製造、教育機関講師
- 酒類・飲料を取り扱うコンサルタント業務
なお、賛助会員に在籍されている人にも会員条件が適用されます。
ワインエキスパート
ワインエキスパートの呼称資格認定試験の受験資格は、下記を満たす必要があります。ソムリエの職種に就いており、受験に必要な経験年数に満たない人もワインエキスパートの呼称資格認定試験を受験できます。
- ワインエキスパートの呼称資格認定試験受験資格
-
- 開催年度の基準日に満20歳以上であること
- 国籍、職種、経験は不問
ソムリエ・エクセレンス
ソムリエ・エクセレンスの呼称資格認定試験の受験資格は、下記を満たす必要があります。
- ソムリエ・エクセレンスの呼称資格認定試験受験資格
-
- 協会認定のJ.S.A.ソムリエおよびJ.S.A.ワインアドバイザーであること
- ソムリエおよびワインアドバイザー資格認定後3年目以降であること
- 以下のいずれかの職務を通算10年以上経験し、第一日程においても従事し、月90時間以上勤務していること
- 職務の条件
-
- 酒類・飲料を提供する飲食サービス
- 酒類・飲料の仕入れ、管理、輸出入、流通、販売、製造、教育機関講師
- 酒類・飲料を取り扱うコンサルタント業務
ワインエキスパート・エクセレンス
ワインエキスパート・エクセレンスの呼称資格認定試験の受験資格は、下記を満たす必要があります。
- ワインエキスパート・エクセレンスの呼称資格認定試験受験資格
-
- 当協会認定のJ.S.A.ワインエキスパート
- ワインエキスパート資格認定後5年目以降であること
- 第一日程において年齢30歳以上であること
取得にかかる費用
ソムリエ、ワインエキスパートの資格取得には、入会金や会費、受験料が必要です。
- 入会金
- 10,000円(次年度以降は年会費15,000円)。ただし認定試験申込と同時入会の場合は5,000円
- 会費
- 入会月により会費の金額は異なります(3月:12,500円、4月:11,250円、5月:10,000円、6月:8,750円、7月:7,500円)
入会金・会費については、入会年の4月1日現在で27歳以下の場合は無料になります。さらに受験費用を加えると、入会の時期ごとに下記のように費用が異なります。
- 一次試験から受験(入会金半額・会費・受験料)
- 一回受験(3月:37,880円、4月:36,630円、5月:35,380円、6月:34,130円、7月:32,880円)
- 二回受験(3月:42,720円、4月:41,470円、5月:40,220円、6月:38,970円、7月:37,720円)
- 二次試験から受験(入会金半額・会費・受験料)
- 3月:24,800円、4月:23,550円、5月:22,300円、6月:21,050円、7月:19,800円
- 三次試験から受験(入会金半額・会費・受験料)
- 3月:21,150円、4月:19,900円、5月:18,650円、6月:17,400円、7月:16,150円
ソムリエ、ワインエキスパートはどんな人におすすめの資格?
ソムリエ、ワインエキスパートの資格は、ワインが好きな人やワインの魅力を伝えたい人におすすめの資格です。ソムリエの呼称資格認定試験については受験資格を満たす必要がありますので、酒類や飲料を扱う仕事に携わる人などが受験可能です。
一般のワイン愛好家であれば、ワインエキスパートの資格取得にチャレンジしてみてはいかがでしょう。ワインに関する知識を深めることができるでしょう。
- ソムリエ、ワインエキスパートの資格取得がおすすめな人
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- 酒類・飲料を扱う仕事に携わる人
- 仕事のスキルアップを目指す人
- ワインが好きな人
- ワインを通して生産者や文化に貢献したい人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
ソムリエ、ワインエキスパートの呼称資格認定試験は、 一般社団法人 日本ソムリエ協会が主催しています。試験の詳細や申込については下記URLから確認してください。
まとめ:ワインのプロフェッショナルを目指す人、ワイン愛好家におすすめの資格
ワインは食事を彩るお酒でもあり、生産地域の文化や歴史を知ることのできるものでもあります。ワインソムリエやワインエキスパートの資格取得を通して、奥深いワインの世界をより深く味わってみてくださいね。
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