銀行などの窓口で顧客と直接会話し、金融業務を執り行うのが「金融窓口サービス技能士」という仕事です。今回はこの金融窓口サービス技能士とはどんな資格か、取得に必要な知識や取得のメリットなどをお伝えしていきます。
金融窓口サービス技能士とは、どんな資格?
金融窓口サービス技能士とは、主に金融機関における窓口業務を行う職種です。銀行などの窓口では、預金の出し入れ、税金や公共料金の収納、金融商品の販売といった幅広い業務を取り扱うため、窓口業務の担当者には豊富な知識と技量が求められます。その知識・技能を問うのが「金融窓口サービス技能検定」です。
金融窓口サービス技能検定は、厚生労働省から指定認定期間に認められた「一般財団法人 金融財政事情研究会」が実施している検定です。1〜3級の3種類があり、1級が最も専門性・難易度の高い等級になります。
学ぶ知識・技術
金融窓口サービス技能検定に合格し、技能士の資格を取得するために必要な知識・技術は以下のとおりです。
1級金融窓口サービス技能士
- 学科試験(マークシート/約50問)
-
- 顧客対応・コンプライアンス等
- 関連法令・規制
- 金融経済知識・投資理論
- 金融商品知識
- 相談業務等に係る知識
- 実技試験(記述式/事例問題が4題程度、それぞれ3〜4問ずつ)
-
- 顧客対応・情報収集
- 商品知識・説明技能
- コンプライアンス
- 相談業務・提案技能
- 顧客フォロー
2級金融窓口サービス技能士
- 学科試験(マークシート/約40問)
-
- 顧客対応・コンプライアンス等
- 関連法令・規制
- 金融経済知識・投資理論
- 金融商品知識
- 相談業務等に係る知識
- 実技試験(マークシート/事例問題が5題程度、それぞれ約5問ずつ)
-
- 顧客対応集・情報収
- 商品知識・説明技能
- コンプライアンス
- 相談業務・提案技能
- 顧客フォロー
3級金融窓口サービス技能士
3級の実技試験は、「テラー業務」と「金融商品コンサルティング」いずれかの選択式です。
- 学科試験(マークシート/約40問)
-
- 顧客対応・コンプライアンス等
- 関連法令・規制
- 金融経済知識・投資理論
- 金融商品知識
- 相談業務等に係る知識
- 実技試験(テラー業務/マークシート/事例問題が5題程度、それぞれ約4問ずつ)
-
- 顧客対応
- 事務手続・実務知識
- コンプライアンス
- 商品知識
- 情報収集、提案・セールス
- 実技試験(金融商品コンサルティング業務/マークシート/事例問題が5題程度、それぞれ約4問ずつ)
-
- 投資型金融商品知識
- コンプライアンス
- 説明・提案技能
- 苦情対応力
金融窓口サービス技能士で目指せる職業、就職先は?
金融窓口サービス技能士の資格は、金融機関の窓口業務での就職・転職を目指す人には必須の資格です。具体的には下記のような企業が挙げられます。
- 銀行
- 証券会社
- 保険会社
ただ、3級は入門レベルの試験内容なので、学生が取得しても新卒での就職にはあまり役立ちません。取得するなら2級以上を目指しましょう。
金融窓口サービス技能士になるとどんな悩みが解決できる?
金融窓口サービス技能士の資格を取得し、知識やスキルを活かすことで、下記のような悩みを解決できます。
- 金融窓口サービス技能士が解決できること
- 金融機関での事務処理や為替業務、金融商品の販売の際に、正確な説明をすることで、顧客の安心感を得られる
金融窓口サービス技能士の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
金融窓口サービス技能士の資格を取得するには、金融窓口サービス技能検定に合格する必要がありますが、受験するには下記の条件を満たす必要があります。
金融窓口サービス技能検定の受験資格
- 1級金融窓口サービス技能士(下記のいずれか1つに該当する者)
-
- 4年以上の実務経験を有する者
- 2級技能検定の合格者
- 厚生労働省認定テラー技能審査2級合格者
- 2級金融窓口サービス技能士(下記のいずれか1つに該当する者)
-
- 2年以上の実務経験を有する者
- 3級技能検定の合格者
- 厚生労働省認定テラー技能審査3級合格者
- 3級金融窓口サービス技能士
- 金融機関関連業務に従事している者、または従事しようとする者
取得にかかる費用
金融窓口サービス技能検定の受験料は、1〜3級で以下のように異なります(下記はクレジットカード決済の場合の料金です)。
- 1級金融窓口サービス技能士
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- 学科試験:8,500円(+消費税分の事務手数料)
- 実技試験:15,000円(+消費税分の事務手数料)
- 学科試験+実技試験:23,500円(+消費税分の事務手数料)
- 2級金融窓口サービス技能士(下記のいずれか1つに該当する者)
-
- 学科試験:7,500円(+消費税分の事務手数料)
- 実技試験:7,000円(+消費税分の事務手数料)
- 学科試験+実技試験:13,500円(+消費税分の事務手数料)
- 3級金融窓口サービス技能士
- 学科試験:3,800円(+消費税分の事務手数料)
- 実技試験:4,000円(+消費税分の事務手数料)
- 学科試験+実技試験:7,800円(+消費税分の事務手数料)
金融窓口サービス技能士はどんな人におすすめの資格?
金融窓口サービス技能士は、金融機関の窓口で直接お客さまとやり取りをするため、話しやすさやコミュニケーション能力が欠かせません。また、ミスの許されないお金を取り扱う業務という点から、慎重に仕事ができる人、かつスピーディで的確な対応・説明ができる人に向いている仕事といえるでしょう。
また、下記の資格を持っている人は、金融窓口サービス技能士の資格を取得することで取り扱える業務の幅が広がり、キャリアアップも見込めるため、取得がおすすめです。
- 金融窓口サービス技能士の資格取得がおすすめな人
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- ファイナンシャルプランナー
- 年金アドバイザー
- 税理士や社会保険労務士(独立開業したい人向け)
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
金融窓口サービス技能検定の実施、技能士の資格管理を行なっているのは「一般財団法人 金融財政事情研究会」です。
1級の学科試験は例年5月下旬、実技試験は10月中旬頃、2・3級の学科試験は例年5月下旬、実技試験は翌年1月下旬頃にそれぞれ実施されますが、その年の試験日程や受験に必要な手続きなどについては、下記の公式HPからご確認ください。
まとめ:対面での金融業務を担当する「金融窓口サービス技能士」。金融関係の基礎&関連知識を習得したい人は資格にトライを!
IT化が進んだ現代では、銀行などの対面窓口の数は減少傾向にありますが、対面でしか取り扱えない業務に関しては、まだまだ金融窓口サービス技能士の役割が必要とされています。金融業界に就職したい人やキャリアアップを目指したい人は、ぜひ取得に向けてチャレンジを。
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