国内旅行や海外旅行のツアーでは、添乗員であるツアーコンダクターがスケジュールの管理や食事の手配、トラブル対応をしてくれます。
この記事では、ツアーコンダクターならば取得しておきたい資格「旅程管理主任者」について研修内容や受験資格、受験費用などを紹介します。
旅程管理主任者とは、どんな資格?
旅程管理主任者は、ツアーコンダクター(添乗員)が取得すべき資格のひとつです。ツアーの参加者が安心して旅行ができるようにツアーのスケジュールを管理するための知識やスキルを習得していることを証明します。旅程管理主任者の資格を管理しているのは、一般社団法人 日本添乗サービス協会です。
企画旅行(募集型・受注型)に同行する主任添乗員は、旅程管理主任者の資格取得が義務付けられていますので、ツアーコンダクターとしてツアーを管理したい場合は資格取得が必要になります。
旅程管理主任者の主な仕事は下記となります。
- ツアースケジュールの案内
- 現地スタッフとの打ち合わせ
- 宿泊や食事の手配
- ツアー日程の確認や調整
- ツアー参加中の急病や盗難といったトラブル対応 など
旅程管理主任者は、2つの資格コースが用意されています。
- 国内旅程管理主任者
- 国内旅行のみに添乗できるツアーコンダクター
- 総合旅程管理主任者
- 国内旅行と海外旅行の添乗ができるツアーコンダクター
国内のツアーコンダクター業務のみを希望する場合は、国内旅程管理主任者の資格取得で問題ありません。しかし海外のツアーコンダクターもやりたい人、今のところは国内のみだとしても将来的には海外のツアーコンダクターにチャレンジしたい人は総合旅程管理主任者の資格を取得しましょう。
学ぶ知識・技術
総合旅程管理主任者の資格を取得するまでの流れは下記のようになります。
- 添乗員派遣会社に登録する
- 基礎添乗業務研修を受講する
- 「国内旅程管理研修」または「総合旅程管理研修」を受講する
- 修了者は修了証書が交付される
- 添乗実務を経験する
- 資格取得
基礎添乗業務研修(eラーニング)
添乗員派遣会社に所属する専門添乗員に課せられた研修です。ただし、JATA(一般社団法人 日本旅行業協会)、ANTA(一般社団法人 全国旅行業協会)等の会員である旅行会社に所属する社員の場合は、基礎添乗業務研修が免除されます。
TCSA(一般社団法人 日本添乗サービス協会)では、旅程管理研修の講義内容及び修了テストの内容を、基礎添乗業務受講を前提としています。旅程管理研修申込み時に、受講者には基礎教本が配布されますので事前学習をしてください。
旅程管理実務研修
国内資格コース(国内旅程管理研修)の内容は、下記のように構成されています。研修は2日間で実施されます。
- 旅行業法令と約款
-
- 旅行業法令
- 標準旅行業約款
- 国内添乗業務
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- ツアー開始前
- バス利用の添乗(受付~自由行動)
- バス利用の添乗(宿泊~朝の出発)
- ツアー終了
- ツアー終了後(精算・報告)
- 航空機利用の添乗
- 国内航空運送約款
- 列車の添乗 ・事故トラブル処理
総合資格コース(総合旅程管理研修)の内容は、下記のように構成されています。研修は3日間で実施されます。
- 旅行業法令と約款
-
- 旅行業法令
- 標準旅行業約款
- 国内添乗業務
-
- ツアー開始前
- バス利用の添乗(受付~自由行動)
- バス利用の添乗(宿泊~朝の出発)
- ツアー終了
- ツアー終了後(精算・報告)
- 航空機利用の添乗
- 国内航空運送約款
- 列車の添乗 ・事故トラブル処理
- 海外添乗業務
-
- ツアー開始前
- 出発
- 到着
- トランスファー
- ホテル ・観光
- 食事
- 帰国
- 専門用語
- 添乗業務に関する英会話
- 英語文書
全ての受験科目で60点以上得点した場合、研修修了と認められます。60点未満の科目がある場合は未修了です。未修了の科目は、次回以降に再受講できます。ただし、再受講の有効期限は初回受講から1年以内かつ2回までと限りがあります。2回以内の再受講で修了できなかった場合、再度全科目の受講をしなくてはいけません。
実務経験
旅程管理研修を修了後、実務を経験することで旅程管理主任者資格を取得できます。実務経験とは、企画旅行の補助添乗、旅程管理業務を行う主任者によって引率された研修または手配旅行添乗の経験です。旅行業法で定められた下記いずれかの業務経験が必要となります。
- 企画旅行の補助添乗
- 実務研修
- 手配旅行の添乗
実務経験の期限は、下記のいずれかを満たすことが法律で定められています。
- 旅程管理研修の課程を修了した日の前後1年以内に1回以上
- 研修を修了した日から3年以内に2回以上
総合旅程管理主任者の資格取得では、海外旅行の実務経験が必須です。
旅程管理主任者で目指せる職業、就職先は?
旅程管理主任者になると、旅行会社の国内ツアーまたは海外ツアーに同行し、ツアーコンダクターとして働くことができます。海外ツアーの添乗業務をするには、総合旅程管理主任者の資格が必要です。
会社に就職・転職して仕事をすることのほか、独立・開業して添乗業務を行うこともできるでしょう。
旅程管理主任者を取得するとどんな悩みが解決できる?
旅程管理主任者になると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- 旅程管理主任者が解決できること
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- 国内ツアーまたは海外ツアーで、適切なスケジュールで案内できる
- ツアー中のトラブルに対応し、旅行者の不安を解消する
旅程管理主任者の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
旅程管理主任者の資格を取得できるのは、下記のいずれかを満たす人です。
- 現に旅行業(旅行会社など)に従事している
- 全国または地域限定通訳案内士
旅程管理主任者の研修受講では、所属する会社の在籍証明書の提出が必要です。通訳案内士で受講を希望する場合、都道府県で発行される登録証の写しを提出します。
取得にかかる費用
旅程管理主任者の研修受講料は、下記のように定められています。受講料には教材費(税込)が含まれます。
- 国内旅程管理研修
- 26,500円
- 総合旅程管理研修
- 36,700円
- 総合旅程管理研修で、国内旅程管理研修の科目免除の場合
- 20,400円
教材費(受講料に含まれる)は、添乗英語テキスト2,500円、添乗英語テキストCD2,600円です。
旅程管理主任者研修の日程
旅程管理主任者の研修の日程は、一般社団法人 日本添乗サービス協会のHP上で「年間研修計画」が公表されています。年に複数実施されますので、参加可能な日程で調整しましょう。年間研修計画で定めた旅程管理研修日程以外に、出張研修を申し込むこともできます。
- 出張研修とは
- 講師が指定箇所に出向き、旅程管理研修を実施する。出張研修は日本添乗サービス協会の研修日程以外のスケジュール、会場で受講可能
- 出張研修実施の条件
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- 受講予定人数が10名以上であること(10名に満たない場合は要相談)
- 会場を確保(自社研修室可)できること
- 会場費を負担できる(有料貸会議室の場合も含む)こと
- 実施が年間計画で定めている実施日以外であること
- 旅程管理主任者の資格取得がおすすめな人
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- ツアーコンダクターとしてスキルアップしたい人
- 旅行に携わる仕事で専門性を高めたい人
- ツアーコンダクターとして独立・開業を考えている人
ただし、出張研修を依頼するには下記の条件を満たす必要があります。
出張研修の場合も、受講料は通常の旅程管理研修と同じ金額です。
旅程管理主任者はどんな人におすすめの資格?
旅程管理主任者は、ツアーコンダクターとして働きたい人におすすめの資格です。これまでは補助的な仕事をしていた人も、旅程管理主任者の資格を取得することでツアーコンダクターとしてスキルアップができます。海外のツアーの添乗業務を行いたい場合、総合旅程管理主任者の資格を取得しましょう。
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
旅程管理主任者の資格は、 一般社団法人 日本添乗サービス協会が管理しています。研修の詳細や申込については下記HPから確認してください。
まとめ:ツアーコンダクターとしてスキルアップや独立を目指す人におすすめ
旅程管理主任者は、ツアーコンダクターとして働きたい人は是非取得したい資格です。資格取得までには、研修参加や実務経験などが必要です。将来的には独立や開業を目指すツアーコンダクターの人もチャレンジしてみましょう。
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