海での遠洋漁業の際には大型船舶が運航されますが、大型船舶の船舶職員になるために必要な国家資格が「海技士」です。この海技士の資格は複数の職域に分けられていますが、今回は通信・電子通信を専門とする海技士について、仕事内容や資格の取得方法などを紹介していきます。
海技士(通信・電子通信)とは、どんな資格?
海技士とは、20t以上の大型船舶に職員として乗り組むのに必要な免許です。乗組員の人命と海の環境を守り、安全な航海をするために不可欠な国家資格で、職域は「航海」「機関」「通信」「電子通信」の4種類に分かれています。このうち、海技士(通信・電子通信)は、船舶のスムーズな運航を通信技術でサポートをする専門職で、次の2種類で構成されています。
- 海技士(通信)
- 無線によって、船舶の安全運航のために必要な情報収集を行う。1級から3級に分けられ、無線従事者免許証および船舶局無線従事者証明書が必要。
- 海技士(電子通信)
- インマルサット無線設備を通して、他の船舶や陸地との連絡をスムーズに行い、安全運航のための情報を集める。1級から4級に分けられ、無線従事者免許証および船舶局無線従事者証明書が必要。
学ぶ知識・技術
海技士(通信・電子通信)になるには、国家試験に合格して、免許講習を受講する必要があります。学科試験に合格するために必要な知識は、下記の通りです。
- 船舶およびその設備
- 気象および海象
- 航海および停泊
- 船内編成および職務分掌
- 海上衝突予防法、海上交通安全法、船員法、海難審判法、船舶安全法および海洋汚染と海上災害の防止に関する法律ならびにこれらに基づく命令と国際条約 など(通信3・2級と電子通信4級は国際条約を除く)
なお、国家試験に合格するには、身体検査にて視力、色覚、聴力、視覚機能検査などの項目もクリアしなければなりません。合格後の免許講習では、救命講習と消火講習を実施します。
海技士(通信・電子通信)で目指せる職業、就職先は?
海技士(通信・電子通信)の資格取得後、目指せる主な就職先・職業は以下の通りです。
- 船員
- 海上保安庁
- 水産庁の行政職員
- 水産高校教員 など
海技士(通信・電子通信)になるとどんな悩みが解決できる?
海技士(通信・電子通信)になると、次のような悩み・問題の解決に貢献できます。
- 海技士(通信・電子通信)が解決できること
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- 通信技術を駆使して船舶の安全な運航をサポートし、海難事故を防いで乗組員の命を守る
- 無線を通じて他の船舶と交信するなど、安全運航に必要な情報を収集する
海技士(通信・電子通信)の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
海技士(通信・電子通信)の資格を取得するには、海技士国家試験に合格する必要があり、受験するには下記の条件を満たさなければなりません。
海技士国家試験(通信・電子通信)の受験資格
- 6ヶ月以上の乗船経験のある17歳9ヶ月以上の者
- 無線従事者免許、および船舶局無線従事者証明書の所持者
取得にかかる費用
海技士国家試験の受験にかかる費用は、通信・電子通信の種別や級によって下記のように異なります。
- 学科試験
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- 通信1級・電子通信1~3級:5,000円
- 通信2級: 3,400円
- 通信3級・電子通信4級:2,700円
- 身体検査
- 870円
海技士(通信・電子通信)はどんな人におすすめの資格?
海技士(通信・電子通信)は、次のような人に取得がおすすめの資格です。
- 海技士(通信・電子通信)の資格取得がおすすめな人
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- 大型船舶の乗組員になりたい人
- 船舶の通信士になりたい人
- 収入が安定した職種に就きたい人(平均年収は550~580万円)
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
海技士の資格を管理しているのは国土交通省で、国家試験を実施しているのは各地方運輸局です。試験は例年2月、4月、7月、10月に実施されますが、その年の試験日程や試験会場などについては、お住まいのエリアの地方運輸局のHPからご確認ください。
まとめ:海技士(通信・電子通信)は、船と乗組員の命を守るために重要な職種!
船舶が安全な運航をするには、無線を駆使して、船を取り巻く情報を収集・分析することが必要不可欠です。通信・電子通信を専門とする海技士は、船と乗組員の命を守る重要な職種なので、やりがいのある専門職に就きたい人はぜひ取得に向けてトライを。
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