マンションや学校、病院といった多くの人が集まる建築物のメンテナンスとして欠かせないのが、排煙や排水、換気設備などの定期点検です。そうしたメンテナンスを行う専門職・国家資格である「建築設備検査員」について、仕事内容や資格取得方法を紹介していきます。
建築設備検査員とは、どんな資格?
建築基準法では、民間建築物のうち特定行政庁が指定する建築設備(換気設備、排煙設備、非常用照明、給水設備、排水設備)の検査を定期的に行い、特定行政庁へ報告しなければならないという決まりがあります。また公共建築物でも同様に、建築設備の定期点検が義務付けられています。この定期検査・定期点検を行う専門職・国家資格が、「建築設備検査員」です。
建築設備検査員の主な仕事内容は、以下の通りです。
- 建築設備の定期検査
- マンションや学校といった建築物に設置されている、換気設備や排煙設備、非常用の照明装置、給排水設備の作動点検を測定器を使って行う(1~2年に1回以上のペース)
- 特定建築物の定期調査
- 美術館や博物館、劇場、病院などの特定建築物の屋根や外壁にひび割れがないか、避難経路がきちんと確保されているかなどをチェックする
- 防火設備の定期検査
- 防火扉や防火シャッター、防煙スクリーンなどがきちんと作動するか、圧力計で検査する
- 報告書の作成
- 調査結果の報告書を作成し、行政に提出する
学ぶ知識・技術
建築設備検査員になるには、建築設備検査員講習を受講し、修了試験に合格する必要があります。この講習は4日間にわたって開催され、次の知識を習得していきます。
- 建築設備定期検査制度総論
- 建築設備に関する建築基準法令と消防法令
- 建築学概論
- 換気・空気調和設備
- 排煙設備
- 電気設備
- 給排水衛生設備
- 建築設備の耐震規制・設計指針
- 建築設備定期検査業務基準
- 建築設備に関する維持保全
建築設備検査員で目指せる職業、就職先は?
建築設備検査員の資格取得後に目指せる主な就職先は、建築設備会社です。
建築設備検査員になるとどんな悩みが解決できる?
建築設備検査員になると、次のような悩み・問題が解決できるようになります。
- 建築設備検査員が解決できること
-
- マンションや介護施設、学校など多くの人が利用する施設の設備点検をしっかり行うことで、火災などの事故を防ぎ、人命を守る
建築設備検査員の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受講資格)
建築設備検査員の国家資格を取得するには、特定建築物調査員講習を受講する必要があります。受講できるのは、下記の条件を満たした人です。
建築設備検査員講習の受講資格
- 大学において、正規の建築学、機械工学、電気工学またはこれらに相当する課程を修めて卒業した後、建築設備に関して2年以上の実務経験を有する者
- 短期大学において、正規の建築学、機械工学、電気工学またはこれらに相当する修業年限3年の課程(夜間において授業を行うものを除く)を修めて卒業した後、建築設備に関して3年以上の実務経験を有する者
- 短期大学か高等専門学校において、正規の建築学、機械工学、電気工学またはこれらに相当する課程を修めて卒業した後、建築設備に関して4年以上の実務経験を有する者
- 高等学校か中等教育学校において、正規の建築学、機械工学、電気工学またはこれらに相当する課程を修めて卒業した後、建築設備に関して7年以上の実務経験を有する者
- 建築設備に関して11年以上の実務経験を有する者
- 建築行政(建築設備に関するものに限る)に関して2年以上の実務経験を有する者
- 一級建築士または二級建築士、建築設備士の資格保有者
取得にかかる費用
建築設備検査員講習の受講にかかる費用は、52,800円です(テキスト代含む)。
建築設備検査員はどんな人におすすめの資格?
建築設備検査員は、次のような人に取得がおすすめの資格です。
- 建築設備検査員の資格取得がおすすめな人
-
- 建築関係の学校を卒業し、建築設備業界でのキャリアアップを目指している人
- コツコツした点検作業が苦にならない人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
建築設備検査員の資格を管理し、講習を開催しているのは「一般財団法人 日本建築設備・昇降機センター」です。その年の講習日程や会場などについては、下記の公式HPからご確認ください。
まとめ:建築設備検査員は、仕事依頼&求人数が安定しているのが魅力!
建築設備検査員はマイナーな国家資格ですが、様々な民間・公共施設は1~2年に1回以上の調査・点検が義務付けられているため、仕事の需要は安定しています。長く続けられる専門職に就きたいという方は、前向きに資格取得を!
コメント