医療事務の資格は複数ありますが、最も信頼性や知名度が高いといわれているのが「診療報酬請求事務能力認定試験」です。難易度も高いとされる診療報酬請求事務能力認定試験について、試験内容や受験資格などを解説します。
診療報酬請求事務能力認定試験とは、どんな資格?
診療報酬請求事務能力認定試験は、診療報酬請求事務に関する知識やスキルを測定する試験です。医療事務の資格の中で難易度が高く、また知名度も高いのが特徴です。
診療報酬請求事務能力認定試験は公的資格ですが、医療事務に関する資格の中では厚生労働省が唯一認定する資格です。そのため高い信頼性があり、就職や転職に活用できる資格といえます。
学ぶ知識・技術
診療報酬請求事務能力認定試験は、全国一斉統一試験です。試験は「診療報酬請求事務能力認定試験ガイドライン」に基づき、下記の項目について出題されます。
- 1.医療保険制度等
-
- 被用者保険、国民健康保険、退職者医療及び後期高齢者医療等について、それぞれの保険者、加入者、給付、給付率等制度の概要についての知識
- 給付の内容すなわち現物給付及び療養費についての知識と、給付の対象外とされるもの、給付が制限されるものについての知識
- 2.公費負担医療制度
- 生活保護法、精神保健福祉法、障害者総合支援法、感染症法等の法律に基づく公費負担医療制度及び特定疾患治療研究事業等によって患者の医療費負担が軽減される制度についての知識
- 3.保険医療機関等
-
- 保険医療機関(保険薬局)の指定及び保険医(保険薬剤師)の登録についての知識
- 特定機能病院、地域医療支援病院、療養病床等の規定と保険医療の取扱いについての知識
- 4.療養担当規則等
- 「保険医療機関(保険薬局)及び保険医(保険薬剤師)療養担当規則」及び「高齢者の医療の確保に関する法律の規定による療養の給付等の取扱い及び担当に関する基準」は保険医療又は後期高齢者医療を担当する場合に守るべきルールを規定しているが、その内容についての知識
- 5.診療報酬等
-
- (1)診療報酬点数表(医科、歯科、調剤)は保険医療における医療行為の料金表であり、診療報酬の算定にあたり種々の取決めがあるが、その算定方法についての知識
- (注)ア)基本診療料の施設基準等(平成20年3月厚生労働省告示第62号)
- イ)特掲診療料の施設基準等(平成20年3月厚生労働省告示第63号)
- ウ)厚生労働大臣の定める入院患者数の基準及び医師等の員数の基準並びに入院基本料の算定方法(平成18年3月厚生労働省告示第104号)等
- (2)入院時食事療養及び入院時生活療養の費用の額を算定するための知識
- 6.薬価基準、材料価格基準
- 保険医療で使用される医薬品及び医療材料の価格とその請求方法についての知識
- 7.診療報酬請求事務
- 診療報酬請求書及び診療報酬明細書を作成するために必要な知識とその実技
- 8.医療用語
- 診療報酬請求事務を行うために必要な病名、検査法、医薬品等の用語及びその略語の主なものの知識
- 9.医学の基礎知識
- 主要な身体の部位、臓器等の位置及び名称(解剖)、それぞれの機能(生理)、病的状態(病理)及び治療方法についての基礎知識
- 10.薬学の基礎知識
- 医薬品の種類、名称、規格、剤形、単位等についての基礎知識
- 11.医療関係法規
- 医療法による医療施設(病院、診療所等)の規定及び医師法、歯科医師法等の医療関係者に関する法律による医療機関の従事者の種類とその業務についての基礎知識
- 12.介護保険制度
- 保険者及び被保険者、給付の内容等制度の概要についての知識
試験は医科と歯科に分けられ、それぞれ学科試験と実技試験が実施されます。試験場には診療報酬点数表、その他の資料の持ち込みができます。
出題範囲は「診療報酬請求事務能力認定試験ガイドライン」に基づき、下記の科目が出題されます。
- 1.学科試験
-
- 医療保険制度等・公費負担医療制度の概要
- 保険医療機関等・療養担当規則等の基礎知識
- 診療報酬等・薬価基準・材料価格基準の基礎知識
- 医療用語及び医学・薬学の基礎知識
- 医療関係法規の基礎知識
- 介護保険制度の概要
- 2.実技試験
- 診療報酬請求事務の実技
診療報酬請求事務能力認定試験で目指せる職業、就職先は?
診療報酬請求事務能力認定試験に合格すると、病院やクリニックの医療事務への就職・転職が見込めます。医療事務の仕事は資格必須ではありませんが、資格を取得すると専門知識やスキルの証明として役立てられます。
診療報酬請求事務能力認定試験を取得するとどんな悩みが解決できる?
診療報酬請求事務能力認定試験に合格すると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- 診療報酬請求事務能力認定試験が解決できること
-
- 職場によっては資格手当が支給される
- 就職や転職で優遇されることがある
診療報酬請求事務能力認定試験の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
診療報酬請求事務能力認定試験の受験資格に制限はありません。
取得にかかる費用
診療報酬請求事務能力認定試験の受験料は、9,000円(税込)です。
診療報酬請求事務能力認定試験の日程
診療報酬請求事務能力認定試験は、年2回(7月、12月)の日曜日または祝日に開催されます。
診療報酬請求事務能力認定試験はどんな人におすすめの資格?
診療報酬請求事務能力認定試験の受験者のうち、約7割が実務未経験者です。合格率は30~40%ですので、試験に向けた対策が必須でしょう。
16歳から50歳以上まで、幅広い年齢層の受験者がいますが、16~20歳の受験者が約4割を占めています。
- 診療報酬請求事務能力認定試験の資格取得がおすすめな人
-
- 病院やクリニックの医療事務として働きたい学生
- 医療事務に関する信頼性の高い資格取得を目指す人
- 資格手当による収入アップを目指す人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
診療報酬請求事務能力認定試験の資格を管理しているのは、公益財団法人 日本医療保険事務協会です。厚生労働省は、診療報酬請求事務能力認定試験を認定しています。
試験の詳細や申込については、下記URLから確認してください。
まとめ:厚生労働省が認定する医療事務の資格で信頼を勝ち取ろう
診療報酬請求事務能力認定試験は厚生労働省が認定する資格ということもあり、知名度や信頼性が高いのが特徴です。ただし難易度は難しめですので、資格取得を目指す人はしっかりと対策しましょう。
コメント