介護職はやりがいある仕事ですが、力仕事やシフト制勤務など体力も求められます。長期的に介護職に携わりたい人におすすめな資格が「介護支援専門員」です。
この記事では介護支援専門員の資格取得に必要な実務経験、試験概要、仕事内容などを解説していきます。
介護支援専門員(ケアマネジャー)とは、どんな資格?
介護支援専門員はケアマネジャーとも呼ばれる、介護保険法に位置づけられた専門職です。居宅介護支援事業所や介護保険施設で必要とされ、ケアマネジメントの仕事を担当します。
介護保険法では介護支援専門員のことを、「要介護者または要支援者(以下「要介護者等」)からの相談に応じ、要介護者等がその心身の状況等に応じ適切なサービスを利用できるよう、市区町村、サービス事業者等との連絡調整等を行う者であって、要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識および技術を有するものとして介護支援専門員証の交付を受けたもの」と定義しています。
介護支援専門員の仕事は
- 市区町村から委託された要介護認定の調査
- 利用者とサービス事業者との連絡・調整
- 介護保険サービスの利用者からの相談対応
- 在宅や施設におけるケアプラン(介護サービス計画)の立案
- 要介護認定に関する申請代行
が中心になります。
学ぶ知識・技術
介護支援専門員の資格を取得するためには、試験に合格し、介護支援専門員実務研修を受ける必要があります。
- 問題形式
- マークシート
- 問題数
- 60問
- 出題内容
-
- 介護支援分野(25問)
- 保健医療福祉サービス分野:基礎(15問)
- 保健医療福祉サービス分野:総合(5問)
- 保健医療福祉サービス分野:福祉サービスの知識など(15問)
- 試験時間
- 120分
試験の合格後は、「介護支援専門員実務研修」(87時間の研修)を全日程受講します。
研修修了後は、各都道府県に登録申請します。登録された後は、5年ごとに更新の手続きが必要です。
介護支援専門員(ケアマネジャー)で目指せる職業、就職先は?
介護支援専門員の資格を取得すると、下記の業種などへの就職が見込まれます。
- 居宅介護支援事業所
- 介護保険施設
- 地域包括支援センター(自治体の介護相談窓口)
- 地域密着型サービス
- 介護用具のレンタル事業者
介護支援専門員(ケアマネジャー)になるとどんな悩みが解決できる?
介護支援専門員になると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- 介護支援専門員(ケアマネジャー)が解決できること
-
- 高齢者のQOLの維持・向上をサポートできる
- 介護を通して、地域共生型社会の実現を担う
- 介護職の人たちの仕事の計画性を促進させる
介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
介護支援専門員の試験を受験するためには、下記の要件を満たさなくてはなりません。
- 該当の国家資格等に基づく業務に、5年以上かつ900日以上従事した者
- 生活相談員・支援相談員・相談支援員・主任相談支援の業務に、5年以上かつ900日以上従事した者
- ①に該当する資格
- 医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士)、精神保健福祉士
- ②に該当する生活相談員
- 特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人福祉施設、介護予防特定施設入居者生活介護などにおける生活相談員としての経験を持つ人が対象
- ②に該当する支援相談員
- 介護老人保健施設における支援相談員としての経験を持つ人が対象
- ②に該当する相談支援専門員
- 計画相談支援、障害児相談支援における相談支援専門員としての経験を持つ人が対象
- ②に該当する主任相談支援員
- 生活困窮者自立相談支援事業などにおける主任相談支援員としての経験を持つ人が対象
介護支援専門員(ケアマネジャー)試験の受験資格から除外された介護職の資格
2017年までの介護支援専門員試験では、介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級)の資格所有者または無資格者も、介護業務の経験年数の定めを満たしていれば受験資格を得られました。
2018年以降の試験では、介護福祉士以外の介護職の資格要件が除外されています。
取得にかかる費用
介護支援専門員(ケアマネジャー)の受験費用は、試験を実施する都道府県によって異なりますが、10,000円〜13,000円が目安です。
介護支援専門員(ケアマネジャー)試験の日程
介護支援専門員の試験は、例年10月に実施されます。試験は年に1回のみ実施されます。
介護支援専門員(ケアマネジャー)はどんな人におすすめの資格?
介護支援専門員は国家資格ではありませんが、介護に関する知識と経験を有する専門職としての信頼性が高い資格です。介護支援専門員として立案したケアプランによって、サービス利用者の自立した日常生活を支援することには大きなやりがいが感じられるでしょう。
資格取得には5年以上かつ900日以上の実務経験が求められます。試験の合格率も15〜20%が目安で、簡単に取得できる資格ではありません。難易度はやさしくありませんが、介護に携わるキャリアプランを描く人にはおすすめの資格です。
介護支援専門員は日勤で事務仕事が中心のため、長く働き続けやすいでしょう。体力仕事が少ない仕事ですので、介護業界で長期的に働いていきたい人のキャリアを支える資格になります。介護支援専門員に合格した後は、主任介護支援専門員を目指して知識習得や経験を積んでいく人もいます。
介護支援専門員の給与は、平均400〜450万程です。介護職の中ではケアマネジャー介護支援専門員の給与は比較的高いといえます。
- 介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格取得がおすすめな人
-
- 介護職としてキャリアアップを目指す人
- 長期的に介護業界で働きたい人
- 介護を必要とする人やその家族の生活の課題改善に役立ちたい人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
介護支援専門員は、都道府県知事の認可を受けて資格が付与されます。
試験の詳細や申込については、各都道府県の保健福祉課など担当窓口に確認してください。
まとめ:介護支援専門員は長期的に介護職でキャリアを積みたい人におすすめ
介護職は体力的につらい仕事ですが、介護支援専門員は日勤の事務仕事が中心です。体力低下を感じる人や夜勤を控えたい人、長期的に介護職として働きたい人におすすめの資格といえます。キャリアアップも目指せますので、キャリアプランを考えながら資格取得を検討してみてくださいね。
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