水難事故が起きた際、海や川に潜って人命救助を行う「潜水士」は国家資格。試験は実技試験がなく筆記のみが実施されますが、難易度や合格率はどの程度なのでしょう。この記事では潜水士の試験概要、仕事内容や就職先、活躍の場、国家資格の潜水士と民間のダイビングインストラクターができることの違いを紹介していきます。
潜水士とは、どんな資格?
潜水士とは、海や河川、湖などに長時間潜って様々な作業をするプロフェッショナルです。水中での継続的な仕事や作業全般は危険度が高いため、一定の知識、技能を持ったものしか業務に従事できません。そのため、国家資格である潜水士免許を取得した人だけが、潜水士として働くことができます。
潜水士の仕事内容は就職先の業種によって異なりますが、下記のような業務が代表的です。
- 海難事故での人命救助
- 沈没船の引き揚げ
- 海洋調査(水中撮影、資源調査など)
- 水産物の収穫
- 港湾での土木作業(岸壁や防波堤の基礎工事など)
このように潜水士はただ潜るだけでなく、潜った先で建設作業や船舶の修理、撮影、海底調査など様々な業務をこなさなくてはなりません。また人命に関わる業務でもあるため、一人前になるまでには約10年かかるともいわれています。先輩の潜水士に業務を教わりながら、継続的に技能を高めていくことが必要です。
学ぶ知識・技術
潜水士の国家資格を取得するには、潜水士試験に合格する必要がありますが、この試験は実技ではなく筆記のみです。試験では下記の知識が問われます。
- 潜水業務
- 送気、潜降及び浮上
- 高気圧障害
- 関係法令
潜水士で目指せる職業、就職先は?
潜水士の資格取得後は、下記のような現場での就職、活躍が見込めます。
- 海洋関連企業
- 水質調査や海底調査などを行います。
- サルベージ会社
- 沈没船の引き揚げ作業や、海難船舶の救助作業などを行います。
- 官庁
- 海上保安庁、海上自衛隊、警察、消防では、多くの潜水士が活躍しています。ただし、これらの官庁で働くには、海上自衛隊や警察などの採用試験に合格しなければなりません。
- 海洋・港湾などの建設会社
- ダイビングスクール
- インストラクターとして働く人も少なくありません。
潜水士とダイビングインストラクターの違い
潜水士の資格を取得すると、ダイビングスクールなどでダイビングインストラクターとして働くこともできます。ただし、ダイビングインストラクター関連の民間資格取得者が潜水士の仕事を担当できるとは限りません。
ダイビングインストラクターとは、ダイビングの正しい知識と技術を習得しており、ダイビングに関する教育指導を行うことができる人です。ダイビングのインストラクターは、日本では無資格者でもなることができます。ただし実際には複数の民間団体がダイビングインストラクターの資格を管理しており、有資格者が就職の面接などで優遇されるでしょう。
ダイビングインストラクターとして、ダイビングの知識や技術を人に伝えたい、ダイビングの魅力を伝えたいという人は民間のダイビングインストラクター資格の取得がおすすめです。
しかし、潜水技術を活かして水中の調査や海の安全を守る仕事などをしたい場合は、潜水士の資格取得を目指しましょう。
潜水士になるとどんな悩みが解決できる?
潜水士になると、下記のような悩みや問題点の解決に貢献できるようになります。
- 潜水士が解決できること
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- 海難事故の時の人命救助、沈没船の引き揚げ
- 津波の際のがれきの撤去、港湾の復旧工事
- 海の水質などの調査を発展させる
潜水士の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
潜水士の国家資格を取得するには、潜水士試験を受ける必要がありますが、この試験は学歴、年齢、性別、職歴、国籍関係なくどなたでも受験できます(ただし、合格後の免許交付対象は18歳以上)。
取得にかかる費用
潜水士試験の受験にかかる手数料は、6,800円です。
潜水士はどんな人におすすめの資格?
潜水士の資格試験の合格率は75%~80%と高めの水準です。ただし受験者の多くは警察学校や海上保安学校の生徒のため、知識をすでに習得している受験生が多いことが要因だと考えられます。合格を目指すには、しっかりと試験対策をしておく必要があります。
潜水士は、下記のような人に取得がおすすめの資格です。
- 潜水士の資格取得がおすすめな人
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- 体力がある人
- スキューバダイビングが好きな人
- コツコツ訓練を続けられる人(資格取得後、すぐに活躍できる仕事ではないため)
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
潜水士の資格を管理し、試験を実施しているのは「公益財団法人 安全衛生技術試験協会」です。その年の試験日程や試験会場、申請に必要な手続きについては、下記の公式HPからご確認ください。
まとめ:様々な現場で活躍する潜水士。やりがいの大きな専門職に就きたい人はぜひ
潜水士は水難事故の際の人命救助だけでなく、港湾での土木作業や海洋調査など、幅広い現場で活躍します。具体的な業務内容は就職先によって異なり、また資格取得から第一線で働くまで数年もの下積みが必要ではありますが、やりがいの大きい仕事です。興味のある人はぜひチャレンジを。
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