船舶が非常事態に陥った際、人々を助け出すために活躍するのが「救命艇」ですが、その操作を行う専門職が「救命艇手」です。救命艇手とはどんな国家資格か、活躍の現場や取得の方法について紹介していきます。
救命艇手とは、どんな資格?
救命艇手とは、船舶の海難事故に備え、救命艇の整備や管理をする国家資格です。旅客船や航行中の船舶が非常事態に陥った際に、救命艇に食料や航海用具を積み込んで旅客・船員を誘導し、救命設備の操作を行います。
救命艇手は、搭乗員100人以上の船や旅客船で配置が義務付けられているポジションで、船舶に乗るべき救命艇手の人数は救命艇の数や乗員数に応じて決められています(船員の中から選任されます)。
なお、類似資格に「限定救命艇手」もありますが、国内外の船舶全てで業務を行える救命艇手とは異なり、限定救命艇手は国内を航行する膨張式救命いかだのみで業務が可能です。
学ぶ知識・技術
救命艇手になるには、救命艇手試験に合格する必要があります。この試験では、次のような知識・技術が問われます。
- 筆記試験
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- 救命艇、いかだ内の措置
- 衝突、火災、沈没等非常事態の知識
- 非常任務、消火知識
- 救命艇の種類等の知識
- 設備・構造知識
- 救命艇推進装置の知識
- 実地試験
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- 救命胴衣の知識
- 救命艇の起こし方
- 救命艇の表示・医療措置
救命艇手で目指せる職業、就職先は?
救命艇手としての主な就職先は、次の通りです。
- 海上保安庁
- 海上自衛隊
- 船舶関連企業
- 水産高校(教員としての就職)
救命艇手になるとどんな悩みが解決できる?
救命艇手になると、次のような悩み・問題を解決できるようになります。
- 救命艇手が解決できること
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- 船舶が海難事故に遭った際、救命艇を準備し乗客・船員を乗せ、的確に操作することで人々の命を守る
- 船舶の非常時、落ち着いて乗客を誘導することで、パニックや人災を防ぐ
救命艇手の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
救命艇手の資格を取得するには、救命艇手試験に合格する必要がありますが、この試験を受けられるのは、次の条件を満たした人のみです。
救命艇手試験の受験資格
- 18歳以上で健康証明書を持ち、一定の年数以上の船舶業務経験がある人
- 6ヵ月以上の船舶乗船経験がある人
なお、海技士の資格取得者や海技大学校、海員学校などの卒業者は、上記に該当していれば試験が全部免除されます。
取得にかかる費用
救命艇手試験の受験にかかる費用は5,000円です。
救命艇手はどんな人におすすめの資格?
救命艇手は、次のような人に取得がおすすめの資格です。
- 救命艇手の資格取得がおすすめな人
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- 緊急事態でも冷静な対処ができる人
- 乗客・乗員の命を守ることへの責任感が強い人
- 船舶関連で、ニーズの高い仕事に就きたい人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
救命艇手の資格を管理し、試験を実施しているのは、各地方運輸局です。資格を取得したい方は、お住まいの自治体の運輸局のHPから、試験日程や会場などをご確認ください。
まとめ:自然災害の多い日本では、救命艇手の社会的ニーズは高い!
日本は自然災害が起こりやすい国なので、海難事故の発生率は高く、救命艇手が必要とされる機会は多いといえます。人命を預かる責任の重いポジションですが、有資格者は海運業界での就職・転職が有利に進みやすいので、興味のある方はぜひ取得を。
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