島国の日本では、錆による建物の腐食や摩耗が課題ですよね。錆の被害は、建築や土木、インフラ、プラントなどさまざまな産業に影響を与えることも。この記事では防錆・防食の専門家である「防錆管理士」について、養成講座での学習内容や資格取得のメリットを解説します。
防錆管理士とは、どんな資格?
防錆管理士とは、さまざまな産業分野の設計、製造、施工、検査、管理における防錆防食技術スペシャリストです。これまで防錆管理士として認定された有資格者は、約1万5千836人となりました(2022年)。
民間資格ではありますが、経済産業省と国土交通省が後援している資格であり、その必要性の高さが伺えます。日本は島国で海に囲まれており、梅雨の時期もあるため、湿気による錆は産業界において課題となることが多いのが特徴です。防錆管理士は、錆による腐食などへの対処法を熟知したスペシャリストとして、業務の安全・安心を守ることができます。
学ぶ知識・技術
防錆管理士の資格を取得するためには、まず防錆技術学校(通信制)の防錆管理士養成講座を受講し、共通課程、専門課程の全科目において防錆管理士認定基準に達することを目指します。認定基準に達した受講者は、面接講義の全日程に出席し、筆記試験と防錆管理士認定論文審査に合格する必要があります。
- 防錆技術学校で防錆管理士養成講座の受講
- 全科目で防錆管理士認定基準に達する
- 面接講義の全日程に出席
- 筆記試験と防錆管理士認定論文審査に合格
- 資格取得
防錆技術学校の共通課程と専門課程は、下記のように定められています。
- 防錆技術学校の共通課程
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- 腐食の理論
- 環境による影響
- 現存する基本技術
- 専攻課程
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- 施設防食科
- 防錆塗装科
- 防錆塗装別科
- めっき科
- 防錆包装科
共通課程は、参考資料として化学講座がCDに収録されており、必要な情報を何度も見直すことが可能です。
専攻課程は、15の専門科目が開催されます。教科書と通信指導で学習を勧めますが、各設問にはレポート提出が課されます。
防錆管理士で目指せる職業、就職先は?
防錆管理士の資格を取得すると、下記の業界への就職や転職に役立ちます。
- 建築
- 土木
- 電力
- 通信
- ガス
- 機械
- 化学
- 自動車
- プラント
- 電気
- 電子
- 運輸
- 物流
防錆管理士を取得するとどんな悩みが解決できる?
防錆管理士の資格を取得すると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- 防錆管理士が解決できること
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- 建物などの錆、老朽化による事故を未然に防ぐ
- 新技術の普及促進によって、インフラの品質向上に貢献する
- 宇宙技術など最新技術の安心・安全を支える
防錆管理士の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
防錆管理士養成講座の受講資格は、高等学校卒業程度の学力を有することです。
取得にかかる費用
防錆管理士養成講座の受講費は、下記のように定められています。正会員とは、日本防錆技術協会の社員です。受講費には副教材である「防錆管理」誌などが含まれますが、旅費交通費、宿泊費、郵送費などは各自の負担となります。
- 新規受講者
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- 一般:214,500円(税込)
- 正会員:193,600円(税込)
- 追加受講・既修了者の受講
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- 一般:113,300円(税込)
- 正会員:99,000円(税込)
防錆管理士試験の日程
防錆管理士の防錆管理士養成講座は、4月~翌年3月で約一年かかります。
防錆管理士はどんな人におすすめの資格?
防錆管理士は、日本の産業の安心・安全を支えるプロフェッショナルです。建物などの腐食による事故は、品質管理や従業員の安全に関わります。そのため、専門知識とスキルを身に付けた防錆管理士は、さまざまな業界で重宝されます。収入がやや高い水準であることも少なくありません。
工業系の分野で手に職を付けて安定的に働きたい人は、防錆管理士の資格取得を検討してみましょう。資格取得までに約一年がかかりますので、計画的に資格取得を考えると安心ですよ。
- 防錆管理士の資格取得がおすすめな人
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- 日本の産業の安心・安全を守りたい人
- 工業系の分野で手に職を付けたい人
- 安定的に収入を得たい人
- 資格取得に約一年間の時間を確保できる人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
防錆管理士の資格を認定しているのは、一般社団法人 日本防錆技術協会です。経済産業省、国土交通省などが後援しています。
資格取得の詳細や申込については、下記URLから確認してください。
まとめ:防錆管理士は日本の産業の安心・安全を支える専門家!
防錆管理士の資格は高等学校卒業程度の学力を有する人ならば試験を受験可能で、仕事に役立つ民間資格。工業系の資格取得を目指す人はチャレンジを検討してはいかがでしょう。
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