システム運用や保守に関わるシステムエンジニア(SE)が、キャリアアップのために目指す上級資格が「ITサービスマネージャ」です。このITサービスマネージャとはどんな仕事を担当する職種か、資格の取得方法や取得によるメリットなどを紹介していきます。
ITサービスマネージャとは、どんな資格?
ITサービスマネージャとは、顧客ニーズを踏まえ、日々の継続的改善を通じて高品質なITサービスを最適なコストで提供するプロフェッショナルです。IT系の国家資格の一つ、かつ難関の上級資格であり、下記のような役割を担います。
- サービスマネジメントシステムの計画、運用、評価及び改善
- サービス運用チームのリーダとして、安全性と信頼性の高いサービスを顧客に提供する
- 新規ITサービスまたはサービス変更の管理をし、サービスの設計・構築及び移行を行う
- 顧客関係を管理し、サービスの改善を行う
- 顧客の設備要件に合致したハードウェア・ソフトウェアの導入、カスタマイズ、保守及び修理を実施する。また、データセンタ施設のファシリティマネジメントを行う
ITサービス全体の計画・設計・統制業務や運用状況を把握して、インフラの開発、および業務やプロジェクト活動、スタッフの配置・指導に関する計画など効率的な運用管理を行う仕事になります。
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学ぶ知識・技術
ITサービスマネージャの国家資格を取るには、ITサービスマネージャ試験に合格する必要があり、そのためには下記の知識を習得しなければなりません。
テクノロジ系
- 基礎理論
- コンピュータシステム
-
- プロセッサ
- メモリ
- バス
- 入出力デバイス
- 入出力装置
- システムの構成
- システムの評価指標
- オペレーティングシステム
- ミドルウェア
- ファイルシステム
- 開発ツール
- オープンソースソフトウェア
- ハードウェア
- 技術要素
-
- ヒューマンインターフェース技術
- インターフェース設計
- マルチメディア技術
- マルチメディア応用
- データベース方式
- データベース設計
- データ操作
- トランザクション処理
- データベース応用
- ネットワーク方式
- データ通信と制御
- 通信プロトコル
- ネットワーク管理
- ネットワーク応用
- 情報セキュリティ
- 情報セキュリティ管理
- セキュリティ技術評価
- 情報セキュリティ対策
- セキュリティ実装技術
- 開発技術
-
- システム要件定義
- システム方式設計
- ソフトウェア要件定義
- ソフトウェア方式設計・ソフトウェア詳細設計
- ソフトウェアコード作成及びテスト
- ソフトウェア結合・ソフトウェア適格性確認テスト
- システム結合・システム適格性確認テスト
- ソフトウェア導入
- ソフトウェア受け入れ
- ソフトウェア保守
- 開発プロセス
- 知的財産適用管理
- 開発環境管理
- 構成管理・変更管理
マネジメント系
- プロジェクトマネジメント
-
- プロジェクト統合マネジメント
- プロジェクト・スコープ・マネジメント
- プロジェクト・タイム・マネジメント
- プロジェクト・コスト・マネジメント
- プロジェクト品質マネジメント
- プロジェクト人的資源マネジメント
- プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント
- プロジェクト・リスク・マネジメント
- プロジェクト調達マネジメント
- サービスマネジメント
-
- サービスマネジメント
- 運用設計・ツール
- サービスサポート
- サービスデリバリ
- サービスマネジメント構築
- ファシリティマネジメント
- システム監査
- 内部統制
ストラテジ系
- システム戦略
-
- 情報システム戦略
- 業務プロセス
- ソリューションビジネス
- システム活用促進・評価
- システム化計画
- 要件定義
- 調達計画・実施
- 経営戦略
-
- 経営戦略手法
- マーケティング
- ビジネス戦略と目標・評価
- 経営管理システム
- 技術開発戦略の立案
- 技術開発計画
- ビジネスシステム
- エンジニアリングシステム
- e-ビジネス
- 民生機器
- 産業機器
- 企業と法務
-
- 経営・組織論
- OR・IE
- 会計・財務
- 知的財産権
- セキュリティ関連法規
- 労働関連・取引関連法規
- その他の法律ガイドライン・技術者論理
- 標準化関連
テクノロジ系
- コンピュータシステム
-
- コンピュータ構成要素
- システム構成要素
- 技術要素
-
- データベース
- ネットワーク
- セキュリティ
マネジメント系
- プロジェクトマネジメント
-
- プロジェクトマネジメント
- サービスマネジメント
-
- サービスマネジメント
- システム監査
ストラテジ系
- 企業と法務
-
- 法務
- 記述式・論述式試験
-
- サービスサポート及びサービスデリバリに関すること
- システムの運用管理に関すること
- ITサービスの継続的改善とITサービスマネジメントの報告に関すること
- 情報セキュリティの運用・管理に関すること
- カスタマーサービスに関すること
ITサービスマネージャで目指せる職業、就職先は?
ITサービスマネージャの資格取得後に活躍できる就職・転職先は、主に以下の通りです。
- 情報システム系企業
- ネットワーク関連企業
ITサービスマネージャになるとどんな悩みが解決できる?
ITサービスマネージャになると、自らの知識を活かして下記のような悩み・問題の解決に貢献できます。
- ITサービスマネージャが解決できること
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- 情報システム全体の稼働管理・品質改善を通して、安全で信頼性の高いサービスを提供する
- 顧客に対し、コスト・品質の両方に優れたITサービスを提供し、顧客満足度を最大化する
- 下流工程に携わるエンジニアなどをまとめ上げ、システム運用を円滑にする
ITサービスマネージャの資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
ITサービスマネージャの国家資格を取得するには、ITサービスマネージャ試験に合格する必要がありますが、この試験は年齢や学歴、職歴を問わずどなたでも受験可能です。
取得にかかる費用
ITサービスマネージャ試験の受験料は5,700円です。
ITサービスマネージャはどんな人におすすめの資格?
ITサービスマネージャは、下記のような人におすすめの資格です。資格を取得することで顧客の信頼を得やすくなったり、顧客の要望に適したシステム開発につなげられたりする見込みが高まります。
- ITサービスマネージャの資格取得がおすすめな人
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- システムの運用・保守を担当するシステムエンジニア
- システムの開発・管理部門に携わるシステムエンジニア
- ITコンサルタントの人
- プロジェクトマネージャーの人
また、ヘルプデスクやコールセンターのリーダー職を目指す人も、ITサービスマネージャの資格取得で昇進・昇給しやすくなる可能性があります。
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
ITサービスマネージャの国家資格を管理し、試験を実施しているのは、「独立行政法人 IPA(情報処理推進機構)」です。試験の日程や会場、受験に必要な申請手続きなどについては、下記の公式HPからご確認ください。
まとめ:高年収が狙えるITサービスマネージャ。難関資格だが、SEならぜひ試験にトライを!
ITサービスマネージャの平均年収は450〜800万円ほどとされ、IT系の国家資格かつ上級資格なだけあり、かなりの高収入が見込めます。試験の合格率は約14%の難関資格ですが、システムエンジニアとしてキャリアを形成していきたい人はぜひ取得を目指してください。
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