学校で書道の授業を受けたり、書道教室に通っていた経験のある人は少なくありません。身近な日本の伝統文化である書道の腕前を証明する資格が「毛筆書写技能検定」です。
この記事では、毛筆書写技能検定について等級の違いや試験概要を解説します。
毛筆書写技能検定とは、どんな資格?
毛筆書写技能検定は、文部科学省が後援する検定試験です。筆を使って文字や文章を書く能力や知識を問われます。
毛筆書写技能検定は、日本書写技能検定協会が定める「毛筆書写技能審査基準」に従い、6級・5級・4級・3級・準2級・2級・準1級・1級の8つの等級に分けられます。
- 6級
- 小学校1年生から3年生くらいまでの低学年程度のレベル。毛筆書写の最も初歩的技術と知識をもって、書くことができる。
- 5級
- 小学校3年生以上程度のレベル。毛筆書写の初歩的な技術及び知識をもって書くことができる。
- 4級
- 中学生・高校生程度のレベル。毛筆書写の基礎的技術及び知識をもって書くことができる。
- 3級
- 中学生・高校生程度のレベル。毛筆書写一般の技術及び知識をもって書くことができる。
- 準2級
- 高校生・大学生・一般社会人程度のレベル。毛筆書写のやや専門的な技術及び知識をもって書くことができる。
- 2級
- 高校生・大学生・一般社会人程度のレベル。毛筆書写の専門的技術及び知識をもって書くことができる。
- 準1級
- 高校生・大学生・一般社会人程度のレベル。毛筆書写のより専門的な技術及び知識をもって書くことができる。
- 1級
- 大学生・一般社会人程度のレベル。毛筆書写の高度な専門技術及び知識をもって書くことができる。
学ぶ知識・技術
毛筆書写技能検定の試験は、各等級によって下記の内容が出題されます。
- 6級(試験時間40分)
-
- 漢字1字を書く
- ひらがな1字を書く
- かたかな2字を書く
- 漢字かな交じりのことば2字を書く
- 5級(試験時間50分)
-
- 漢字1字を書く(楷書)
- ひらがな2字を書く
- かたかな2字を書く
- 漢字かな交じりのことば4字を書く
- 4級(試験時間80分)
-
- 漢字2字を書く(楷書)
- ひらがな3字を書く
- かたかな3字を書く
- 掲示文(1行)
- 3級(試験時間80分)
-
- 漢字4字を書く(楷書)
- 漢字4字を書く(行書)
- ひらがな4字を書く
- かたかな4字を書く
- 漢字かな交じり文約20字を書く
- 掲示文(2行)
- 準2級(試験120分)
-
- 漢字4字を書く(楷書)
- 漢字4字を書く(行書)
- 漢字かな交じり文を書く
- 漢字の臨書
- 俳句を自由な書体で書く
- 掲示文(6~7行)
- 2級(試験時間120分)
-
- 漢字3字を書く(楷書・行書)
- 漢字かな交じり文約30字を書く
- 漢字の臨書
- かなの臨書
- 俳句を自由な書体で書く
- 掲示文(6~7行)
- 準1級(試験時間130分)
-
- 漢字4字を書く(楷書・行書)
- 漢字かな交じり文約50字を書く
- 漢字の臨書
- かなの臨書
- はがきの表書き
- 掲示文(6~8行)
- 1級(試験時間150分)
-
- 漢字5字を書く(楷行草三体)
- 漢字かな交じり文約50字を書く
- 漢字の臨書
- かなの臨書
- 自由作品(漢詩、漢字5字、和歌、現代詩から一つ選択)
- 賞状を書く
毛筆書写技能検定各級の合格点は、下記の通りです。
- 6級
- 実技400点満点中235点以上
- 5級
- 実技・理論合わせて500点満点中295点以上
- 4級
- 実技・理論合わせて600点満点中400点以上
- 3級
- 実技600点満点中415点以上、理論400点満点中275点以上
- 準2級
- 実技600点満点中445点以上、理論400点満点中285点以上
- 2級
- 実技600点満点中475点以上、理論400点満点中295点以上
- 準1級
- 実技600点満点中515点以上、理論400点満点中305点以上
- 1級
- 実技600点満点中535点以上、400点満点中理論315点以上
毛筆書写技能検定で目指せる職業、就職先は?
毛筆書写技能検定を取得したことで就職や転職に有利になることは難しいです。ただし、就職や転職の資格欄に毛筆書写技能検定の資格者であることは記載できます。
書道教室の先生になるには、資格が必須というわけではありません。しかし高い等級に合格している有資格者であれば、生徒やその保護者からの信頼が高まり、集客につながるでしょう。硬筆の指導もしたい場合は、硬筆書写技能検定も取得しておくと安心です。
年賀状などの手書き部分の文字を書く「筆耕」という仕事もあります。
書道家という職業はさらに厳しい道ですが、感性や美的センスを磨きながら書道家も目指す人もいるでしょう。
毛筆書写技能検定の資格を取得するとどんな悩みが解決できる?
毛筆書写技能検定の資格を取得すると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- 毛筆書写技能検定が解決できること
-
- 受験を控えた中学生が、合格級を高校進学時の内申に記入できる
- 特定の特定の大学、短大、高校、各種・専修学校の入試優遇・評価に活用できる
- 特定の大学、短大、高校、各種・専修学校の書道の増加単位認定される
- 年賀状や挨拶状などで綺麗な手書きの文字で気持ちを伝えられる
- 書道という日本の伝統文化を担うことができる
毛筆書写技能検定の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
毛筆書写技能検定の受験資格には、学歴や年齢、性別などの制限はありません。受験では、等級の併願受験はできません。
取得にかかる費用
毛筆書写技能検定の試験受験費用は、各等級ごとに下記のように定められています。
- 6級:1,000円(税込)
- 5級:1,400円(税込)
- 4級:1,700円(税込)
- 3級:3,100円(税込)
- 準2級:3,400円(税込)
- 2級:4,000円(税込)
- 準1級:5,500円(税込)
- 1級:7,000円(税込)
毛筆書写技能検定試験の日程
年に3回実施されます。全国的な規模で実施されますので、試験地も選びやすいのが特徴です。
毛筆書写技能検定はどんな人におすすめの資格?
書道は小学校の授業で取り組むように、親しみのある技術・文化といえます。美しく読みやすい文字を書く技術力のほか、文字を書き始めるまでの準備や後片付け、姿勢などの一連の流れから学ぶことも多いです。
毛筆で綺麗な文字を書くことができる人は多くはなく、入試や就職活動などにおいて有資格者は特技としてアピールできるでしょう。
仕事で毛筆書写技能検定を活かすには、書道教室の先生や筆耕などの仕事があります。
- 毛筆書写技能検定の資格取得がおすすめな人
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- 資格取得によって高校などの入試で優遇措置を受けられる人
- 資格取得によって高校などで書道の増加単位の認定を受けられる人
- 書道教室を開きたい人
- 筆耕の仕事に就きたい人
- 日本の伝統文化を支えたい人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
毛筆書写技能検定は日本書写技能検定協会が実施し、文部科学省が後援しています。試験の詳細や申込については、下記HPから確認してください。
まとめ:毛筆で綺麗な文字を書けることは特技になる
近年はパソコンやスマホによるメッセージのやり取りが増え、手書きで文字をしたためる機会は減ってきました。しかしながら書道を習う人がいるように、毛筆には需要があります。書道教室の先生や筆耕など専門職を目指すこともできますし、趣味として資格にチャレンジするのもやりがいがあるでしょう。
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