世の中にはたくさんの消費やサービスが流通していますが、消費者と企業・行政などの橋渡しとなるのが「消費生活アドバイザー」です。
この記事では、消費生活アドバイザーの資格について試験内容や受験資格、キャリアアップの方法などを紹介します。
消費生活アドバイザーとは、どんな資格?
消費生活アドバイザーは、企業や行政機関の消費者相談部門において消費者から届いた声を企業活動や行政に反映させたり、消費者からの相談に対して適切なアドバイスを行ったりする能力を有する人です。
消費生活アドバイザーの仕事内容には、下記があります。
- 消費者からの商品・サービスなどに関する苦情相談
- 商品・サービスなどの使い方の相談・助言
- 商品の性能、安全性など、使用目的に応じた買い物についての相談・助言
- 企業や行政などの商品開発・企画に関する、消費者目線での助言
- 消費者向けパンフレットや商品説明書、各種資料の作成チェック
- 商品テスト、モニター、市場調査、取材など、消費者の意向を反映する提言
- 正しい消費生活についての出張講座
消費生活アドバイザーは、企業や行政と消費者との橋渡し役として期待されています。消費生活アドバイザー制度は創設から41年の歴史があります。企業や行政には、消費者志向・消費者目線に立った商品・サービスの提供がますます求められるようになりました。消費者問題の発生とともに安心・安産な消費生活への関心も高まっています。
2020年度における試験合格者の累計は約18,000人にのぼり、企業、行政、団体など幅広い分野で消費生活アドバイザーが活躍しています。
学ぶ知識・技術
消費生活アドバイザーになるには、試験に合格する必要があります。試験は第1次試験と第2次試験が設けられています。
第1次試験
- 試験方式
- CBT方式(30問300点満点)
- 出題内容
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- 消費者問題
- 消費者のための行政・法律知識(1.行政知識、2.法律知識)
- 消費者のための経済知識(1.経済一般と経済統計の知識、2.企業経営一般知識、3.金融の知識、4.生活経済、5.地球環境問題・エネルギー需給)
- 生活基礎知識(1.医療と健康、2.社会保険と福祉、3.衣服と生活、4.食生活と健康、5.快適な住生活、6.商品・サービスの品質と安全性、7.広告と表示)
- 合格基準
- 正解率65%(195点)以上
第2次試験(論文試験)
- 試験方式
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- 論文:筆記試験(3題より1題を選択し論述)
- 面接:個人面接
- 出題内容(論文)
- 下記3題から1題を選択し、800字以内で論述する。
- 消費者問題
- 法律知識
- 企業経営一般知識
- 合格基準
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- 論述:5段階評価(A~E)のC以上である
- 面接:面接委員の総合評価が3段評価(A~C)のB以上である
試験対策として、公式テキスト(全5冊)が販売されています。
試験に合格し、消費生活アドバイザー資格を取得したとしても有効期限は5年と定められています。資格更新には、有効期限内に更新研修の受講などで4講座以上を取得し、更新の手続き行う必要があります。
- 消費生活アドバイザーの更新研修
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- 集合講座(1講座1単位)
- eラーニング講座(1講座1単位)
- CAP資格試験の合格(合格の申請により2単位付与)
消費生活アドバイザーで目指せる職業、就職先は?
消費生活アドバイザーになると、次の職種や業種への就職が見込めます。
- デパートやスーパーマーケット、メーカーなど企業の消費者関連部門
- 行政機関の消費者相談窓口
- 消費者関連団体等の消費者関連部門
こうした業種で消費者からの消費生活相談に応じたり、消費者動向を把握して商品・サービスの企画・開発・改善をしたり、活躍することが期待されます。
資格を取得した後には消費生活アドバイザー人材簿に記載されますので、採用を希望する企業が日本産業協会へ照会し、就職につながるという流れが一般的です。
そのほか、消費生活アドバイザーの資格を歓迎する求人に応募するなどの方法もあります。
消費生活アドバイザーになるとどんな悩みが解決できる?
消費生活アドバイザーの資格を取得すると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- 消費生活アドバイザーができること
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- 消費者からの苦情に適切に対応し、改善点を発見する
- 消費者目線に立った商品・サービス開発を助言を行い、ニーズに応える
- 消費者への誠実な対応を支え、企業の社会的信頼を上げる
- 消費者リテラシーの向上をサポートする
消費生活アドバイザーの資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
消費生活アドバイザーの試験の受検資格に、年齢、学歴、経験などの制限はありません。
取得にかかる費用
消費生活アドバイザーの試験の受検費用は下記の通りです。
- 通常受験:16,500円
- 第1次試験免除:13,200円(「第1次試験免除番号」発行のための事務手数料374円が別途発生)
試験合格後、消費生活アドバイザー資格保有者として登録するための登録管理手数料11,000円が別途かかります。
資格の有効期限は5年と定められており、更新手数料として11,000円、システム利用料110円を支払います。
消費生活アドバイザー試験の日程
消費生活アドバイザー試験は、2021年は第1次試験が10月上旬~中旬、第2次試験が11月に実施されました。
マスター消費生活アドバイザーで目指すキャリアアップ
2019年9月から、一般財団法人 日本産業協会が「マスター消費生活アドバイザー」の資格を創設しました。
- マスター消費生活アドバイザーとは
- 消費生活アドバイザーを対象とし、指定大学院において所定のコースを修了した場合に取得できる資格。
- 資格の認定要件(以下のすべてを満たすこと)
-
- 消費生活アドバイザー資格保有者
- 5年以上の社会人経験(うち、顧客関連業務(営業・商品開発等を含む)に1年以上従事していること)があること
- 指定大学院において所定の科目を履修し、当該大学院を修了していること
マスター消費生活アドバイザーを通して、消費者政策や消費者志向経営を本格的に学ぶことができるようになります。この制度に対しては、消費者庁による就労支援も提言されていますので、消費生活アドバイザーのスキルアップとキャリアアップにつながることが期待されます。
消費生活アドバイザーと消費生活相談員のダブルライセンス
消費生活アドバイザー試験の合格者は、国家資格「消費生活相談員」を取得することができます。
- 消費生活相談員資格試験のみなし合格者
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- 内閣府令で定める、事務に通算して1年以上従事した経験を有する消費生活アドバイザー資格の保有者は、消費生活相談員資格試験に合格した者とみなされる
- 法の施行前5年間以前に、事務に通算して1年以上従事した消費生活アドバイザー資格の保有者は、指定講習会の課程を修了することにより、消費生活相談員資格試験に合格した者とみなされる
- 内閣府令で定める、事務に従事した経験を有しない消費生活アドバイザー資格の保有者は、指定講習会の課程を修了することにより、景表法改正等法附則の規定の施行後5年間に限り、消費生活相談員に合格した者とみなされる(消費生活アドバイザー資格等の保有者とは、平成28年4月1日に資格者であることが要件)
消費生活アドバイザーはどんな人におすすめの資格?
日々、新商品や新サービスが生み出されていますので、消費生活アドバイザーは時代の流れを敏感に感じ取ることが求められます。消費者の苦情や意見に寄り添いながらも、何が必要か的確に助言する判断力も必要でしょう。
消費生活アドバイザーの資格はさまざまな業種で活かすことができます。勤務先の企業や自治体の規模、所属部署などによって収入は変わります。
将来性としては企業も行政も消費者対応のスキルを習得した人材をしていますので、今後もニーズが高い職種といえるでしょう。
年齢や性別を問わずチャレンジできる資格の中でも、生活者・消費者としての経験が活かせるため、出産や育児でキャリアブランクがある女性の活躍のチャンスも期待できます。
キャリアプランとしては、経験を積んだ消費生活アドバイザーは講師やフリーランスとして活躍することもあります。
- 消費生活アドバイザーの資格取得がおすすめな人
-
- 商品やサービスの品質向上に関心がある人
- 消費者の悩みに寄り添うことができる人
- 苦情に冷静に対応できる精神力のある人
- 企業や行政の商品・サービス企画をサポートしたい人
- 専門的な知識を習得し、スキルアップ・キャリアアップを目指す人
- ニーズの高い職種で安定的に働きたい人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
消費生活アドバイザーは、一般財団法人 日本産業協会が試験を実施しています。また、内閣総理大臣及び経済産業大臣の認定事業です。
試験の詳細や申込については下記HPから確認してください。
まとめ:消費生活アドバイザーはさらなるキャリアアップも目指せる資格
消費生活アドバイザーは、消費者の困りごとを助けたり、企業や行政の商品・サービスの企画開発にアドバイスをしたり、幅広い仕事を行えます。国家資格の消費生活相談員資格やマスター消費生活アドバイザーの資格も取得すればさらに活躍の幅は広がるでしょう。
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