こころの不調によって、休職や退職を余儀なくされる人は少なくありません。職場や労働環境の改善に取り組む会社も増え、特にメンタルヘルスケアに関する関心が高まっています。
この記事では、経営者や人事総務、管理職から一般社員にもおすすめしたい「メンタルヘルス・マネジメント検定について紹介します。検定を通して習得できることや資格取得のメリットをみていきましょう。
メンタルヘルス・マネジメント検定試験とは、どんな資格?
メンタルヘルス・マネジメント検定試験とは、働く人たちの心の不調を未然に防ぎ、モチベーションの高い職場づくりのために必要なメンタルヘルスケアに関する検定試験です。
仕事や職場に悩みやストレスを抱える人は増加傾向にあります。心の不調が原因と考えられる休職や離職も発生しており、従業員の暮らしへの影響や会社の人材損失が問題視されているのが現状です。働く人が心地よい職場で能力を発揮して活躍するためにも、会社が貴重な人材を活用するためにも、心の健康管理であるメンタルヘルス・マネジメントの重要性が高まっています。
メンタルヘルスケア・マネジメント検定に合格すると、下記のようなメンタルヘルスケアを行うことができます。
- 職場環境の改善を行う
- 産業保健スタッフや他の専門機関との連携を行う
- メンタルヘルスケアに関する研修などの企画立案や実施を行う
- こころの不調が見られるチームメンバーに対し、安全配慮義務に則った対応をする
- こころの不調への早期の気づきを得て、適切なケアで対処する
- 自分自身や周囲のストレスの状況や状態を把握する
心の健康や不調に関する対処だけでなく、会社に必要な研修やチームマネジメントに関する対策もできるようになるのが特徴です。
学ぶ知識・技術
メンタルヘルスケア・マネジメント検定は、目的によって3種類に分かれます。種類は、Ⅰ種(マスターコース)、Ⅱ種(ラインケアコース)、Ⅲ種(セルフケアコース)です。
Ⅰ種(マスターコース)
- 対象
- 人事労務管理スタッフ、経営幹部
- 目的
- 社内のメンタルヘルス対策の推進
- 出題範囲
-
- 企業経営におけるメンタルヘルス対策の意義と重要性
- メンタルヘルスケアの活動領域と人事労務部門の役割
- ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
- 人事労務管理スタッフに求められる能力
- メンタルヘルスケアに関する方針と計画
- 産業保健スタッフ等の活用による心の健康管理の推進
- 相談体制の確立
- 教育研修
- 職場環境等の改善
- 問題構成・時間
-
- 選択問題(100点):2時間
- 論述問題(50点):1時間
- 合格基準
- 選択問題と論述問題の合計が105点以上。但し、論述問題の得点が25点以上。
Ⅱ種(ラインケアコース)
- 対象
- 管理監督者(管理職)
- 目的
- 部門内、上司としての部下のメンタルヘルス対策の推進
- 出題範囲
-
- メンタルヘルスケアの意義と管理監督者の役割
- ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
- 職場環境等の評価および改善の方法
- 個々の労働者への配慮
- 労働者からの相談への対応(話の聴き方、情報提供および助言の方法等)
- 社内外資源との連携
- 心の健康問題をもつ復職者への支援の方法
- 問題構成・時間
- 選択問題(100点):2時間
- 合格基準
- 70点以上の得点
Ⅲ種(セルフケアコース)
- 対象
- 一般社員
- 目的
- 組織における従業員自らのメンタルヘルス対策の推進
- 出題範囲
-
- メンタルヘルスケアの意義
- ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
- セルフケアの重要性
- ストレスへの気づき方
- ストレスへの対処、軽減の方法
- 社内外資源の活用
- 問題構成・時間
- 選択問題(100点):2時間
- 合格基準
- 70点以上の得点
合格率はⅠ種が10~20%前後、Ⅱ種が40~70%前後、Ⅲ種が80%前後です。問題は、公式テキスト第5版に準拠した内容から出題されますので、テキストでの勉強が中心になります。
メンタルヘルスケア・マネジメント検定で目指せる職業、就職先は?
メンタルヘルス・マネジメント検定に合格すると、さまざまな業種・職種でのメンタルヘルスケアに役立つ知識が習得できます。
特に、経営者や人事労務管理就労者、管理職、プロジェクトオーナーは、会社や部署、チームの心の健康を維持するために、メンタルヘルスケアに関する知識を習得しておくと安心です。
メンタルヘルスケア・マネジメント検定を取得するとどんな悩みが解決できる?
メンタルヘルスケア・マネジメント検定に合格すると、下記のような悩みや問題の解決に貢献できます。
- メンタルヘルスケア・マネジメント検定が解決できること
-
- 会社の健康経営の実現をサポートできる
- メンタルヘルスケアの計画や教育など対策ができる
- 社員のこころの不調を早期に発見する
- 産業医や専門機関と連携し、適切な対策を講じる
- 職場環境の改善などを通して、職場全体のモチベーションを上げる
- 離職や休職を防ぎ、社員と会社に貢献する
メンタルヘルスケア・マネジメント検定の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
学歴・年齢・性別・国籍に制限はありません。Ⅰ種とⅡ種、Ⅱ種とⅢ種を同日に受験することもできます。ただし、3月の公開試験はⅡ種とⅢ種のみが受験対象コースとなっています。
取得にかかる費用
メンタルヘルス・マネジメント検定試験は、公開試験と団体特別試験の2種類の試験が設けられています。2つの試験は受験料が異なります。
- 公開試験
- 統一試験日に全国15都市で実施される
- 公開試験受験料
- Ⅰ種11,550円、Ⅱ種7,480円、Ⅲ種5,280円
- 団体特別試験
- 企業・団体・学校が日本国内の会場を指定する日次、場所で実施される
- 団体特別試験受験料
- Ⅱ種5,980円、Ⅲ種4,220円
上記のほか、合格証明証の発行には1通につき1,250円(税込)がかかります。
メンタルヘルスケア・マネジメント検定はどんな人におすすめの資格?
ストレスを完全にゼロにすることは難しいものであり、今後も職場のメンタルヘルス管理への課題感は高まっていくことが予想されます。メンタルヘルス・マネジメント検定に合格した人は、こころの不調に関する知識をしっかりと持った人材であり、社員のこころの不調に対して適切に対応できるようになるため、職場で重宝されるでしょう。
メンタルヘルスケアに関する資格として産業カウンセラーの資格もありますが、所定の講座の受講もしくは大学院での専攻修了という条件を満たさなくては試験を受験できません。一方、メンタルヘルス・マネジメント検定の受験は、心理学や産業保健についての専門的な知識や経験は問われません。
職場のメンタルヘルスケアについて学び、従業員のこころの健康維持やモチベーションアップ、会社の健全経営に役立ちたいたいという人にとって、基礎的な知識を身に付けるのにおすすめの資格といえるでしょう。
- メンタルヘルスケア・マネジメント検定の資格取得がおすすめな人
-
- 自分を含めた職場のメンタルヘルス向上の関心が高い人
- パワハラの防止や解決の意欲がある人
- 職場の心の不調を早期発見し、リスクを未然に防ぎたい人
- 従業員の能力が発揮できる職場環境づくりに貢献したい人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
メンタルヘルスケア・マネジメント検定試験は、厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を受け、大阪商工会議所と施行商工会議所が実施しています。後援をしているのは、日本商工会議所です。
試験のスケジュールや申込については、下記HPを確認してください。
▼ 大阪商工会議所 メンタルヘルスケア・マネジメント検定試験
まとめ:チームや会社のため、こころの不調への対策を練る知識を
メンタルヘルスケア・マネジメント検定は、こころの不調に関する基礎的な知識のほか、社員が健康的なこころを維持するための対策の取り方が問われます。社員ひとりひとりのメンタルヘルスや暮らしの安定、会社の健全な経営のために貢献したい人におすすめの資格ですよ。
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