iパス(アイパス)という略称でも親しまれている「ITパスポート」。平成21年度の試験開始以来、応募者が累計100万人を突破したIT系屈指の人気国家資格です。今回はこのITパスポートとはどんな資格か、取得のメリットや必要な知識などを詳しく紹介していきます。
ITパスポートとは、どんな資格?
ITパスポートとは、「情報処理技術者試験」のうち最も簡単な入門レベルの資格であり、「情報処理の促進に関する法律」に基づく国家資格です。ITパスポート試験を実施している独立行政法人IPAは、「ITを利活用するすべての社会人・学生が備えておくべきITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験」と銘打っており、総応募者数が100万人を超えたメジャーな資格として浸透しています。
学ぶ知識・技術
ITパスポートを取得することで得られる知識は、「ストラテジ系」(経営戦略やシステム戦略など経営に関する戦略内容)、「マネジメント系」(開発技術やプロジェクトマネジメントなどの管理業務)、「テクノロジ系」(コンピュータの基礎理論、システム、データベースやセキュリティなどの知識や技術)の3つの分野にわたります。
資格習得で必要になる各知識は、以下の通りです。
ストラテジ系
- 企業と法務
-
- 企業活動
- 法務
- 経営戦略
-
- 経営戦略マネジメント
- 技術戦略マネジメント
- ビジネスインダストリ
- システム戦略
-
- システム戦略
- システム企画
マネジメント系
- 開発技術
-
- システム開発技術
- ソフトウェア開発管理技術
- プロジェクトマネジメント
- サービスマネジメント
-
- サービスマネジメント
- システム監査
テクノロジ系
- 基礎理論
-
- 基礎理論
- アルゴリズムとプログラミング
- コンピュータシステム
-
- コンピュータ構成要素
- システム構成要素
- ソフトウェア
- ハードウェア
- 技術要素
-
- ヒューマンインタフェース
- マルチメディア
- データベース
- ネットワーク
- セキュリティ
なお、出題分野はストラテジ系が35問程度、マネジメント系が20問程度、テクノロジ系が45問程度の計100問です。総合評価点が600点以上かつ各分野で300点以上とれていることが合格基準となります。
ITパスポートで目指せる職業、就職先は?
ITパスポートは、主にIT企業で働く人の登竜門的な試験であり、ITエンジニア等のIT職種に就きたい方はもちろん、事務職や営業職など幅広い職種の就職を有利にする資格です。
ただ、IT系職種への就職・転職活動でITパスポートを持っていると伝えても、そこまで強いアピールにはなり得ません。なぜならITパスポートの試験内容は、「ITエンジニアならば知っていて当然」のことばかりだからです。
しかし逆に言うと、「ITエンジニアになりたいけど、何を勉強したらいいかわからない」という未経験の方は、ITパスポートの試験対策をすることでかなりいい勉強になるかと思います。
一方、IT系職種ではない事務職や営業職に就職・転職する場合は、履歴書上好印象を持ってもらえることが期待できます。これらの職種は普段パソコンやインターネットを使うことが多い分、ITの基本リテラシーやセキュリティ対策を知っていることが強みになるからです。
ITパスポートを取るとどんな悩みが解決できる?
ITパスポートの資格取得に向けて勉強するうちに、企業活動、経営戦略、会計や法務などITを活用する大前提となる幅広い知識がバランスよく習得できます。無事資格を取得できれば、下記のような分野で活躍が期待できることでしょう。
- 情報セキュリティ・情報モラル
- インターネット、電子メール、社内システムを利用する際に、機密情報の漏えいやウィルス感染など様々なリスクがあることを理解できます。
- 企業コンプライアンス・法令遵守
- 著作権侵害・商標権侵害などの法令違反や個人情報漏えいなどのリスクを把握することで、企業コンプライアンス向上につながります。
- 経営戦略・財務
- 「SWOT分析」、「BSC」など社会人として備えておきたい経営全般に関する知識や財務の知識が身につくことで、企業の業務改善提案につながります。
- ITによるコミュニケーションの円滑化
- 情報システム、ネットワーク、データベースなどITの基礎知識が体系的に身につくことで、顧客、社内の情報システム部門、IT企業とのコミュニケーションが円滑になります。
ITパスポートの資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受講資格)
ITパスポートの資格試験に、年齢制限等の条件はありません。誰でも受けることができます。
受験手数料は5,700円(税込)です。
ITパスポートはどんな人におすすめの資格?
ITパスポートは、これからIT系職種に就職・転職したい方や、パソコンやインターネットを使って仕事をする頻度が高い事務職・営業職の方におすすめの資格です。
現在ITは私たちの生活基盤であり、ビジネスに欠かせないものです。ITを使った製品やサービスを効果的に活用するため、企業に務める社会人に幅広くITパスポートの取得が推奨されます。
現在は社員研修にITパスポートを導入する企業も多く、ITパスポートの合格を条件に入試優遇措置や単位認定を行っている大学も増えてきています。
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
ITパスポート試験を実施しているのは、「独立行政法人IPA(情報処理推進機構)」です。受験申請の流れや受検申請期間、試験開催日、問い合わせ先については、下記の公式ホームページをご覧ください。
まとめ:ITパスポートは幅広い職種で役立つ、社会人必須の資格!
IT系職種だけでなく、事務職や営業職など幅広い職種で即活用できる知識を習得できるのが、ITパスポートの強みです。最近はITパスポート試験の対策テキストや参考書も数多く出版されているので、書籍を購入したり、専用の講義を受けたり、アプリで問題を解いたりして合格を目指しましょう。
コメント