日々の生活はエネルギーによって支えられており、液化石油ガス(LPガス)は一般家庭でも使われているガスのひとつです。便利なLPガスですが、取り扱いをまりが得ると重大な事故や災害を引き起こすため、知識と技術を習得した液化石油ガス設備士という資格保有者の存在が必要です。
この記事では液化石油ガス設備士の資格取得について、試験と講習の内容や受験資格などを解説していきます。
液化石油ガス設備士とは、どんな資格?
液化石油ガス設備士とは、液化石油ガス(LPガス)に関する設備工事において、災害の発生を防止するための資格です。液化石油ガス設備士は、一般家庭用などのLPガスの供給設備や消費設備の設置工事を行います。たとえば、次のような仕事が液化石油ガス設備士の仕事です。
- 硬質管相互の接続
- 調整器やガスメータと硬質管との接続
- 気密試験の作業 など
上記のような仕事を行うには、液化石油ガス設備士の資格が不可欠です。LPガスの取り扱いは、些細なミスで大きな災害を引き起こしかねません。そのため、専門知識や技術の習得が求められます。液化石油ガス設備工事を行うときは、液化石油ガス設備士の免状を携帯することが定められています。
学ぶ知識・技術
液化石油ガス設備士になるには、試験を受験して合格する方法と講習を受講して検定試験に豪アックする方法があります。
液化石油ガス設備士試験
筆記試験と技能試験の2種類の試験があります。47都道府県知事が、高圧ガス保安協会に試験事務を委託するかたちで実施されています。筆記試験の合格者が技能試験に進むことができます。
筆記試験では下記の科目から出題されます。
- 法令(択一式 60分)
- 供給設備及び消費設備の保安に関する法令及び関係法令
- 配管理論等(択一式 90分)
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- 液化石油ガスに関する基礎知識
- 液化石油ガス設備工事に必要な機械 器具又は材料に関する知識
- 配管理論、配管設計及び燃焼理論
- 液化石油ガス設備工事の施工方法
- 供給設備及び消費設備の検査の方法
技能試験では下記の科目が実施されます。
- 配管用材料及び工具の使用
- 硬質管の加工及び接続
- 器具等の取り付け
- 気密試験の実施
- 漏えい試験の実施
技能試験の時間配分は、電動ねじ切り機の場合は60分、手動ねじ切り機の場合は75分です。
試験の合格基準は、筆記・技能試験どちらにおいてもそれぞれ60%程の得点を獲得すれば合格となります。試験に合格した人は、受験地が所在する都道府県の知事に対して液化石油ガス設備士免状の交付を申請できるようになります。
液化石油ガス設備士講習
液化石油ガス設備士講習は第一講習、第二講習、第三講習の3種類があり、資格や経験に応じて受講する講習が変わります。
- 第一講習
- 未経験者又は無資格者が対象
- 第二講習
- LPガス設備工事の経験1年以上の方が対象
- 第三講習
- 建築配管技能士等の関連資格保有者等が対象
講習は3日間(講義:19時間、実習:2時間)の日程で行われます。講習内容は以下の通りです。
- 法令
- 法令、LPガスの基礎、配管理論、施工方法、検査の方法
- 実習
- 実習は第一講習と第二講習のみで、第三講習には実習はありません。
- 検定試験
- 筆記試験(法令、配管理論など)、技能試験(配管工事の実技)
検定試験に合格した人は、液化石油ガス設備士になることができます。
また試験や講習を受講して資格を取得した後は、免状の交付を受けた年度の翌年度の開始の日から3年以内に1度、再講習を受けた日の属する年度の翌年度の開始の日から5年以内に1度、液化石油ガス設備士再講習を受講します。
液化石油ガス設備士で目指せる職業、就職先は?
液化石油ガス設備士の資格を取得すると、LPガスの供給事業を行うガス関連会社への就職が有利になります。たとえば次のような業種です。
- ガス設備会社
- ガス供給会社
- ガス機器製造会社
就職後は、工事員や販売員として働くことになるでしょう。
液化石油ガス設備士になるとどんな悩みが解決できる?
液化石油ガス設備士になると、次のような悩みや課題を解決できます。
- 液化石油ガス設備士が解決できること
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- LPガスを取り扱う工事などの事故を防ぐ
- LPガスの利用者の安全を守る
液化石油ガス設備士の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
液化石油ガス設備士になるには、試験を受験するか講習を受講するかの方法がありますが、いずれの方法でも受験・受講資格に制限は特にありません。年齢、学歴、経験に関係なく誰でも受験できます。
ただし、試験の場合は次に当てはまる人は筆記試験免除の対象となります。
- 前年度の液化石油ガス設備士試験(筆記試験)に合格した人
- 第一講習
- 未経験者又は無資格者が対象
- 第二講習
- LPガス設備工事の経験1年以上の方が対象(経験証明が必要)
- 第三講習
- 建築配管技能士等の関連資格保有者等が対象(経験証明が必要)
- 試験
- 20,900円 (非課税)
- 講習
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- 筆記試験 13,400円(非課税)
- 技能試験 16,200円(非課税)
- 液化石油ガス設備士の資格取得がおすすめな人
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- LPガスに関する工事や点検を的確に遂行できる人
- 注意力が高く、慎重に業務を遂行できる人
- ガス関連企業への就職を希望する人
- 専門知識を活かして収入アップを目指す人
- 社会に必要とされる仕事で、安定的に働きたい人
- 大学や専門学校でエネルギー・資源工学、農学、電気工学などを学んだ人
筆記試験を免除するためには、前年度の液化石油ガス設備士試験(筆記試験)の合格通知書またはその合格証明書の提出が必要となります。再受験を希望する人は、必要な書類を保管しておくようにしましょう。
また、経験と資格に応じて講習の内容が変わります。
液化石油ガス設備士試験の受講資格
液化石油ガス設備士試験講習を受講する際は、ご自身がどの講習を受講すべきか確認しましょう。
取得にかかる費用
液化石油ガス設備士はどんな人におすすめの資格?
液化石油ガス設備士は、専門知識と技術を習得した人です。そのため平均年収は比較的高めと考えられています。たとえば、ガス関連企業の平均年収はおよそ600万~800万円程度です。企業によっては資格手当が支給されますので、収入アップを目指す人にもおすすめの資格です。
液化石油ガス設備士の将来性について、LPから都市ガスへ切り換える建物が少なくないことから不安に感じる人がいるかもしれません。しかしLPガスの切り替えには工事が必須で、液化石油ガス設備士の資格者がその工事を行えるという性質上、これからも需要の高い資格といえます。
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
液化石油ガス設備士の試験と講習は、高圧ガス保安協会が実施しています。講習の実施は、経済産業大臣が指定する養成施設でも行われています。
試験や講習の日程、開催地、申込法の詳細は下記HPから確認してください。
▼ 高圧ガス保安協会
まとめ:液化石油ガス設備士はニーズが高く、安定した収入を見込める資格
LPガスは日々の生活で活用されているエネルギーのため、液化石油ガス設備士は社会から必要とされる資格といえます。従業員や地域の人々の安全を守り、エネルギーの供給を支えます。比較的収入の高いガス関連企業への就職も見込めますので、ご自身のキャリアプランを考慮しつつ資格取得を検討してくださいね。
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