電気系の国家資格の中で、毎年10万人以上の人が受験する人気の資格が「電気工事士」です。今回は、この電気工事士とはどんな仕事をする資格か、取得のメリットや就職先などを詳しく紹介していきます。
電気工事士とは、どんな資格?
電気工事士は、ビル、工場、商店、一般住宅などの電気工事の作業に従事する職種です。高圧の電気を取り扱う際には重大な危険が伴うため、国家資格の一つに指定されており、有資格者のみが実務作業を許される業務独占資格でもあります。
電気工事士の仕事内容の領域はかなり幅広いですが、おおまかに下記の2つに分けられます。
- 建設電気工事
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- 官公庁施設や教育施設、工場、ビル、事務所、病院、住宅などの建設物の屋内外電気設備の設計・施工
- 変電設備などの配線
- 大型機器の制御回路のメンテナンス
- 建物のコンセントや照明器具の取り付け
- 新しい建物を作るときの配電盤・各種電気設備の据え付け
- 既存の建物に、新たな配線や電気設備を追加するリフォーム・改修工事
- 鉄道電気工事
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- 電車に電気を送る架線、安全運行を支える信号システム、踏切、駅の照明・通信設備、改札、電気掲示板、電力を供給する発電所・変電所などの電気設備が故障しないための施工・保守業務
なお、電気工事士は工事できる規模によって「第一種」と「第二種」に区分されています。それぞれ扱える規模は下記のように異なります。
- 第一種電気工事士
- 最大電力が500KW未満の配線工事や電気設備工事(ビル、工場、大型店舗など)
- 第二種電気工事士
- 電圧が600V以下の配線工事や電気設備工事(一般住宅、小規模なビル、事業所など)
電気工事士試験を初めて受験する人は、 入門編である「第二種電気工事士」の資格から取るのが一般的です。 第一種電気工事士の資格は、実務経験をある程度積み、スキルアップしたい人が取る資格といえます。
学ぶ知識・技術
電気工事士試験の合格に向けて、習得すべき知識・技術は「第一種」「第二種」でそれぞれ異なります。
第一種電気工事士試験
- 筆記試験(マークシート/140分)
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- 電気に関する基礎理論
- 配電理論および配線設計
- 電気応用
- 電気機器、蓄電池、配線器具、電気工事用の材料および工具ならびに受電設備
- 電気工事の施工方法
- 自家用電気工作物の検査方法
- 配線図
- 発電施設、送電施設および変電施設の基礎的な構造および特性
- 一般用電気工作物および自家用電気工作物の保安に関する法令
- 技能試験(60分)
-
- 電線の接続
- 配線工事
- 電気機器・蓄電池および配線器具の設置
- 電気機器・蓄電池・配線器具ならびに電気工事用の材料、工具の使用方法
- コードおよびキャブタイヤケーブルの取付け
- 設置工事
- 電流・電圧・電力および電気抵抗の測定方法
- 自家用電気工作物の検査
- 自家用電気工作物の操作および故障箇所の修理
第二種電気工事士試験
- 筆記試験(マークシート/120分)
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- 電気に関する基礎理論
- 配電理論および配線設計
- 電気機器、配線器具ならびに電気工事用の材料および工具
- 電気工事の施工方法
- 一般用電気工作物の検査方法
- 一般用電気工作物の保安に関する法令
- 技能試験(40分)
-
- 電線の接続
- 配線工事
- 電気機器および配線器具の設置
- 電気機器、配線器具ならびに電気工事用の材料および工具の使用方法
- コードおよびキャブタイヤケーブルの取付け
- 設置工事
- 電流・電圧・電力および電気抵抗の測定方法
- 一般用電気工作物の検査
- 一般用電気工作物の操作および故障箇所の修理
電気工事士で目指せる職業、就職先は?
近年はオール電化住宅や太陽光発電設備など、家庭での電気の需要が増しているため、電気工事士の求人数は数多くあります。主な就職先としては、下記が挙げられます。
- 電気工事会社
- 電気設備工事会社
- 建設会社
- 電力会社
- 家電量販店
就職後は、住宅や店舗の新築・改装時の屋内配線工事、照明器具やエアコン、アンテナの設置工事に携わるのが一般的ですが、実際にやる工事は就職先により異なってきます。
電気工事士になるとどんな悩みが解決できる?
電気工事士の知識やスキルによって、下記のような日常的な悩みが解決できます。
- 電気工事士が解決できること
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- 住宅やビル、マンション、工場、スーパーなどの様々な建物で、電気が安全に使用できるように工事や管理をする
- 携帯電話やインターネットが繋がるように基地局を作る
- 電車が毎日安全に運行できるよう、鉄道の電気設備を管理する
- 地震や台風などの災害が起きたとき、いち早く現場に駆け付け、電気設備を復旧させる
電気工事士の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受講資格)
電気工事士の資格を取るには、電気工事士試験に合格する必要がありますが、この試験は学歴や実務経験などを問わずにどなたでも受験することができます。
通信講座や職業訓練校に通う人よりは、独学で勉強してまず資格を取り、その後電気工事会社に就職して、現場経験を積んでいく人のほうが多い傾向にあります。
取得にかかる費用
電気工事士試験の受験料は、第一種・第二種および申し込み方法によって下記のように異なります。
- 第一種電気工事士試験の受験料
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- インターネット申し込み:10,900円
- 郵便申し込み:11,300円
- 第二種電気工事士試験の受験料
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- インターネット申し込み:9,300円
- 郵便申し込み:9,600円
電気工事士はどんな人におすすめの資格?
電気工事士は、電気や電気工事に興味・関心がある人や、プラモデル作りが好きな人に向いている仕事です。
また、下記のような電気関連の資格を持っている人は、業務幅の拡大やキャリアアップのためにダブルライセンスとして電気工事士の資格取得を目指してみてもいいでしょう。
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
電気工事士試験の実施・管理を行っているのは「一般財団法人 電気技術者試験センター(ECEE)」です。第一種試験の筆記試験は例年10月、技能試験は12月、第二種試験の筆記試験は例年6・9月、技能試験は7・12月に開催されますが、その年の試験日程や試験会場、受験申請に必要な手続きなどは、公式HPからご確認ください。
まとめ:求人数が多く、誰でも受験できる&合格率も高い「電気工事士」。まずは第二種の取得にチャレンジを
電気は私たちの日常生活に欠かせないものであることから、電気工事士は求人数が多く、将来性も安定した人気の国家資格です。第二種電気工事士の合格率は約65%と高く、誰でも受験できる資格試験なので、手に職を付けたい方はぜひ取得に向けてチャレンジを。
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