近年はSDGsや環境保全、自然保護の取り組みに積極的な企業が増えていますよね。社会人として自然保護に関心がある人や企業のSDgs推進担当者におすすめの資格が「環境再生医」です。資格試験の概要や受験資格について解説しますので、環境再生医がどんな資格か理解しましょう。
環境再生医とは、どんな資格?
環境再生医とは、自然環境の保全や再生に関する専門知識、環境保全・再生のための実務能力、組織運営力などを習得した人に付与される資格です。持続可能な社会やSDGsのニーズが高まる中、環境再生医が知識や能力を発揮し、人々が自然と共生するための活動を行っていくことが期待されています。
環境再生医は、環境教育等促進法に基づいて国が行う「人材認定等事業登録制度」により、環境省「環境人材認定事業」に登録されています。環境省が主務省となり、2016年から登録が開始されました。これまでに約6,000人の受験者が環境再生医として登録し、さまざまな分野で活躍しています。
環境再生医は、経験や技量、役務によって「初級・中級・上級」に分けられます。
- 初級
- 自然環境の保全や再生に関し基礎的知識を保有し、活動をサポートしたり、活動に挑戦する者
- 中級
- 自然環境の保全や再生に関し一定の知識と実務能力を保有し、活動を実践する者
- 上級
- 自然環境の保全や再生に関した知識と組織運営力を保有し、組織や人を育てていく者
学ぶ知識・技術
環境再生医の資格を取得するためには、講習を受講し、試験に合格する必要があります。講習ではテキストと講義を通して、環境共生の『基礎知識』と『活動ポイント』を学びます。試験に合格すると、「環境再生医」として認定されます。
講習コース
講習には、初級、中級、上級の3つのコースが設けられています。
- 初級
- 環境の保全と再生に必要な基礎を学び、活動への一歩を踏み出すコース
- 中級
- 環境の保全と再生の実践ポイントを学び、活動を進めるコース
- 上級
- これからの環境人材の育成者を目指すコース
講習はオンデマンド配信です。受講コースによって講義数や内容が変わります。講習テーマの一例には、下記のようなものがあります。
- 講習テーマ例
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- 自然と人との関わりについて
- 地域の自然・歴史・文化・生活について
- ファンドレイジングについて
- ステークホルダーについて
- 合意形成について
- 生物多様性について
- これからのSDGsについて
ワークショップ(オンラインLIVE参加)
オンラインLIVE参加のワークショップでは、グループディスカッションを通して視野を広げ、環境再生医の活動に対する理解を深めます。
- ワークショップテーマ例
-
- 各地での自然と人との関わりの回復(再生)について
- 立ち位置の確認
- 活動の始め方について
- 今後の方向性について
- 全国の活動事例について
- ネットワーク作り、情報交換
テキスト(受講者自習)
講習では、下記のテキストが使用されます。
- テキスト名
- 『環境再生医-環境の世紀の新しい人材育成を目ざして-』
- 項目
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- 自然環境思想の変遷
- 地球環境問題
- 国際的枠組みと法的枠組み
- 農山村における自然環境再生
- 陸水域・海域沿岸における自然環境再生
- 都市における自然環境再生
- 地域コミュニティの醸成方法
- 環境学習のあり方
- 活動主体とそのリーダーのあり方
試験
環境再生医の試験は、級数ごとに内容が異なります。試験のほか、課題提出なども必要です。
初級
初級の試験は、テキストを参照することが可能です。
- (1)公式テキスト試験「初級編」(試験時間60分)
- 35〜40問(択一式、多肢選択式、※問題数は設問難易度により決定)
- (2)基礎講習の受講
- 200〜300字程度の感想等の提出
- (3)レポート試験「初級編」
- 課題に添ったものを締切までに提出(400字以上800字以内)
中級
中級の試験は、テキストを参照することが可能です。
- (1)公式テキスト試験「中級編」(試験時間60分)
- 25〜30問(択一式、多肢選択式、記述式、※問題数は設問難易度により決定)
- (2)基礎講習の受講
- 200〜300字程度の感想等の提出
- (3)実践講習試験 2問(記述式)
- 課題に添ったものを締切までに提出
- (4)レポート試験「中級編」
- 課題に添ったものを締切までに提出(800字以上1200字以内)
上級
上級の試験は、テキストを参照することが可能です。
- (1)公式テキスト試験「上級編」(試験時間60分)
- 25〜30問(択一式、多肢選択式、記述式、※問題数は設問難易度により決定)
- (2)上級講習試験 5問(記述式)
- 課題に添ったものを締切までに提出
- (3)レポート試験「上級編」
- 課題に添ったものを締切までに提出(1200字以上1600字以内)
- (4)プレゼンテーション試験
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- 自活動についての発表(約20分)と質疑応答
- 自活動に関する「論文・報告書・掲載記事」などのコピー(1点)の提出
- ※第三者的評価を確認するため、過去5年以内に自らまたは共同で発表、投稿、提出した論文や報告書、または新聞、雑誌、機関誌などの掲載記事のコピー(1点)を提出
環境再生医で目指せる職業、就職先は?
環境再生医の資格を取得したことで就職や転職に直接的に役立つとは言えませんが、近年はコンプライアンスやSDGsに力を入れている企業が多く、環境再生医の知識やスキルが役立つことがあるでしょう。企業の環境部門やSDGs・ESG担当者になった場合、特に有資格者であることが業務に活かされます。
環境再生医の講習の受講者には、下記の業種などがあります。
- サービス業(非環境系)
- 製造業(工業系)
- 金融業
- 公務員
- 流通業
- 造園業
- 市民団体
- 情報通信業
- 製造業(食品系)
- 福祉団体
- 農林漁業
- 商社
- 廃棄物処理業
- 卸小売業
- 教育機関
- 経営コンサルタント
- 建設業
- 教育機関
- エネルギー業
- サービス業(環境系)
環境再生医を取得するとどんな悩みが解決できる?
環境再生医の資格を取得すると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- 環境再生医が解決できること
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- 持続可能な社会づくりに貢献できる
- 企業のコンプライアンス遵守やSDGs達成をサポートする
環境再生医の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
環境再生医の講習の受講資格は、下記のように定められています。実務経験や組織運営経験に応じて、どの級からでも受講可能です。
- 初級
- 年齢が18才以上であること
- 中級
- 以下のうち、いずれかを有する方
- 環境保全に関する実務経験を5年以上有している
- 協会が中級受講に適切とする環境系資格を保持している
- 上級
- 環境保全に関する団体において、その代表やプロジェクトリーダーなどの立場で、組織運営や人材育成等の経験を5年以上を有する人
環境再生医試験の受講資格(実務経験)
環境再生医試験の中級・上級の受験資格で求められる求められる実務経験とは、環境保全に関することなら、あらゆる分野での経験値が該当します。有償・無償は問われません。
- 実務経験分野の例
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- 環境分野(または扱う)の企業
- 団体、行政、研究・教育機関
- NPO・市民活動団体
- 環境保全配慮型の農業、林業、酪農、漁業などの第1次産業
- 自然や環境をテーマとした店舗の運営
- 環境保全活動のボランティア など
実務経験は合算可能ですが、時間の重複はできませんので実際の経過年数で数えます。また、2年制以上の環境関連学校(学部・学科含む)を卒業した場合、在学期間に関わらず2年の実務経験を有するとみなされます。環境関連の大学院(専攻含む)に在席もしくは卒業した場合、在学期間分の実務経験を有するとみなされます。
取得にかかる費用
環境再生医の講習の受講料は下記のように定められています。
- 受講料
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- 初級:10,000円
- 中級:20,000円
- 上級:30,000円
合格者は別途、認定・登録料 5,000円を支払います。
環境再生医講習の日程
環境再生医の講習(試験含む)は、毎年一回、11月~翌年2月頃に開催されます。
環境再生医はどんな人におすすめの資格?
環境再生医の資格取得がおすすめなのは、自然環境に関心がある人、SDGsやESGに携わる仕事をしている人などです。 環境再生医の受講者層は20〜40代の人が多く、幅広い職業や業界の人がいます。
合格率の平均の目安は、初級が86%、中級が81%、上級が72%です。講習を受講し、課題をしっかりと提出して試験に臨めば合格は難しくありません。自然環境の保全や持続可能な社会づくりなどに関心がある人は、ぜひ資格取得を目指してくださいね。
- 環境再生医の資格取得がおすすめな人
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- 自然や環境保全に関心がある人
- SDGsやESGに携わる仕事をしている人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
環境再生医の資格は、環境省が環境再生医資格認定事業として認定しています。試験の詳細や申込については、下記URLから確認してください。
まとめ:自然保護やSDGsに関心がある人は環境再生医にチャレンジも◎
環境再生医の資格は、初級は18才以上であれば受験可能です。 実務経験のある方は中級や上級にもチャレンジし、自然保護やSDGsの推進に役立ててくださいね。
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