海で働く業種はさまざまありますが、船舶の乗組員として専門的な仕事をするには資格が必要となります。航海や船舶の装置の運転には、専門性の高い知識や技術が求められますが、どんな資格が必要なのでしょう。
今回は、内燃機関海技士という資格について、取得方法や試験の種類、費用を説明していきます。
内燃機関海技士とは、どんな資格?
船舶には船長や船員など海員が乗船しており、安全かつ効率的な航海を支えています。
- 船長
- 船舶に乗り組んでいる海員たちを指揮・監督する、船舶における最高責任者
- 海員
- 船長以外の、次の乗組員を指します。
- 航海士
- 機関長
- 機関士
- 通信長
- 通信士
上記の海員として船舶に乗り組むには、海技士の資格が必要となります。海技士の資格は、船舶が航行する区域や船舶の大きさ、推進機関の出力の区分ごとに法律で定められています。
海技士には、海技士(航海)、海技士(機関)、海技士(通信)、海技士(電子通信)の種類があります。内燃機関海技士の資格は、海技士(機関)のうちの1つです。ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関を搭載した船舶について、内燃機関海技士は次のような仕事を行います。
- メインエンジン、発電機、ボイラーなど機関の運転
- 燃料油や潤滑油の管理
- 機器の点検
- 故障の修理
- 燃節運転
- 船舶監督 など
学ぶ知識・技術
内燃機関海技士の資格を取得するには、国家試験に合格する必要があります。内燃機関海技士の国家資格は、2級から6級までに分かれています。1級はありませんので、2級が最上位の資格です。
内燃機関海技士の試験は筆記試験、身体検査、口述試験の3種類があります。この試験に合格した後、免許講習を受けることで資格を取得できます。
- 筆記試験
- 機関、執務一般について出題されます。上級の試験には英語も出題されます。
- 身体検査
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- 視力
- 色覚
- 聴力
- 疾病
- 身体機能の障害
- 口述試験
- 実際に船舶の機関の操縦操作試験や離着実技試験に変わるのもとして、口述試験が実施されています。小型船舶操縦士試験では、実技試験としてモーターボートを使用した離着桟や基本的操縦操
作などの実施能力の確認を行いますが、大型船舶を取り扱う内燃機関海技士では口述試験によって、取扱い機器についての理論的な知識や実技的能力を問います。
内燃機関海技士で目指せる職業、就職先は?
内燃機関海技士は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関を搭載した船舶を使用する業界で、その知識やスキルを活かすことができます。乗船する船舶としては、貨物船や客船、タンカー、作業船、漁船などが挙げられます。就職先には、下記のような会社が見込めます。
- 海洋関連会社
- 商船会社
- 船舶管理会社
- 貿易会社
- 漁業会社 など
内燃機関海技士になるとどんな悩みが解決できる?
内燃機関海技士になると、下記のような課題や悩みの解決に貢献できます。
- 内燃2級海技士(機関)が解決できること内燃2級海技士(機関)が解決できること
-
- 船舶の整備を行い、航海の安全を守る
- 船舶の事故を防ぎ、海の環境保護を支える
- 海運における輸送や貿易を安定的なものにする
内燃機関海技士の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
内燃機関海技士の国家試験を受験するには、まず年齢が18歳以上であることが求められます。そのほか、等級ごとに要件が定められています。
- 内燃2級海技士(機関)
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- 出力3000kw以上の推進機関を有する沿海区域を航行区域とする船舶、出力1000kw以上の推進機関を有する近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶、または出力1500kw以上の推進機関を有する乙区域、もしくは甲区域内において従業する漁船(3級海技士(機関)の資格を有し、船舶職員として1年以上の経験)
- 出力750kw以上1500kw未満の推進機関を有する近海区域、もしくは遠洋区域を航行区域とする船舶、または出力750kw以上1500kw未満の推進機関を有する乙区域、もしくは甲区域内において従業する漁船( 3級海技士(機関)の資格を融資、機関長または機関士として2 年以上の経験)
- 内燃3級海技士(機関)
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- 普通高校を卒業後、一般大学または高専・短大等を卒業し、海技教育機構海技大学校海技専攻課程機関専攻(就学期間が2年6ヶ月、実習期間が1年)を修了
- 普通高校を卒業後、東京東洋大学海洋工学部または神戸大学海事科学部(就学期間が4年6ヶ月、実習期間が1年)を修了
- 商船高等専門学校(就学期間が5年6ヶ月、実習期間が1年)を修了
- 普通高校を卒業後、海技教育機構海上技術短期大学校(就学期間が2年、実習期間が9ヶ月)を修了し、海技教育機構海技大学校海技専攻課程(就学期間が2年、実習期間が6ヶ月)を修了
- 海技教育機構海上技術学校(就学期間が3年、実習期間が3ヶ月)を修了後、海技教育機構海上技術短期大学校(就学期間が2年、実習期間が9ヶ月)を修了
- 水産高校専攻科(就学期間が5年、実習期間が1年3ヶ月)を修了
- 内燃4級海技士(機関)
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- 普通高校を卒業後、海技教育機構海上技術短期大学校(就学期間が2年、実習期間が9ヶ月)を修了
- 海技教育機構海上技術学校(就学期間が3年6ヶ月、実習期間が9ヶ月)を修了
- 海技教育機構海上技術学校(就学期間が3年)を修了後、乗船履歴として機関運転の就業経験が2年ある
- 水産高校を3年間修了後、乗船履歴として機関運転の就業経験が、4級で2年、5級で1年6ヶ月ある
- 内燃5級海技士(機関)
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- 水産高校を3年間修了後、乗船履歴として機関運転の就業経験が、4級で2年、5級で1年6ヶ月ある
上記の要件を満たす人が、各級の海技士国家試験を受験することができます。
なお、資格を取得するためには国家試験合格後に免許講習の受講が必要です。
取得にかかる費用
内燃機関海技士の国家試験は、筆記試験、身体検査、口述試験の3種類があり、それぞれで受験料金を支払います。受験料金は、身体検査以外は級によって異なります。
- 筆記試験
- 2,400円~7,200円
- 口述試験
- 3,000円~7,500円
- 身体検査
- 870円
また、内燃機関海技士になるには学校で専門コースを修了してから国家試験にチャレンジする道もあります。参考として、尾道海技士学院の受験コース受講料金を紹介します。
- 4級海技士
- 242,000 円
- 5級海技士
- 225,500 円
- 6級海技士
- 203,500 円
内燃機関海技士はどんな人におすすめの資格?
海技士の収入は比較的高収入の傾向があり、内燃機関海技士も平均より高めの収入を期待できます。一般的には大卒以上が高収入を得られることが多いのですが、海技士の場合は高卒や専門学校卒からキャリアアップを重ね、収入アップを目指せます。
- 内燃機関海技士の資格取得がおすすめな人
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- 海が好きで、船舶に乗船して仕事をしたい人
- 専門知識や技術を習得し、スキルアップを目指したい人
- 高収入を目指してキャリアアップしたい人
- 基礎体力があり、きちんと体調管理ができる人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
内燃機関海技士の試験を運営しているのは、国土交通省の各地方運輸局です。試験の開催スケジュールや申込については下記HPを確認してください。
▼ 国土交通省各地方運輸局 海上安全環境部労働環境・海技資格課
▼ 関東:関東運輸局海上安全環境部 船員労働環境・海技資格課
まとめ:ディーゼル機関など搭載の船舶に欠かせない海のスペシャリストはやりがい大
内燃機関海技士は、内燃機関を搭載した船舶の安全な航海に必須の存在です。資格取得までには高度な専門知識が求められますが、その分仕事のやりがいは大きいと言えます。海が好きな人や船に関わる仕事に関心がある人は検討してみてくださいね。
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