英語の試験はTOEICや英検などたくさんありますが、目的に応じて受験する資格を選ぶことも大切です。この記事では、海外旅行によく行く人や観光業界で働く人におすすめしたい「観光英語検定試験」を紹介します。
試験の出題傾向や資格を活かせる仕事、資格取得のメリットなどを見ていきましょう。
観光英語検定試験とは、どんな資格?
観光英検は、英語能力のうち観光の分野に特化した「読む、書く、聞く、話す」に関する英語能力を客観的に審査する公的資格です。
観光英語検定試験は平成元年から試験が実施されました。これまでに延べ20万人以上の英語学習者が受験しています。
観光に特化した英語試験であることから、出題傾向は空港、交通、ホテル、観光、ショッピングなどの場面が想定されています。観光に必須とされる国内外の文化・異文化に関する知識や地理、歴史も問われるのが特徴です。
試験は1級から3級までレベル分けがされており、1級が最も難易度の高いレベルになります。
- 3級
-
- 約3,000語の語彙力
- 基本的な文法・構文(高等学校中等学年程度の学習内容)を理解している
- 海外グループ旅行のとき、少数の同僚と一緒に英語を使って行動することができる
- 国内で外国人に道案内やパンフレット類を英語で説明できる
- TOEIC(D)レベル(220-460)、英検3級程度
- 2級
-
- 約5,000語の語彙力
- 適切な文法・構文(高等学校修了程度の学習内容)を理解している
- 海外で個人旅行をするとき、個人で旅程を組み、乗り物やホテルの予約、また単独で観光や買物などを英語で対処することができる
- 国内で外国人に観光地や名所旧跡などを英語で紹介できる
- TOEIC(C)レベル(470-600)、英検2級程度
- 1級
-
- 約8,000語の語彙力
- 正確な文法・構文(専修学校修了以上の学習内容を取得している、または、最低2~3年以上の業務経験がある)を理解している
- 海外で日本人客を接遇し、英語で添乗業務ができる
- 国内で外国人に観光地や名所旧跡などを英語で通訳ガイドできる
- 国内のホテルや他の場所で外国人に英語で充分な接遇ができる
- 海外における風俗習慣や国際儀礼等などの異文化を英語を介して理解、かつ紹介できる
- TOEIC(B・C)レベル(600-860)、英検準1級・1級程度
観光英語と一般的な英語の違い
一般英語の目標は、英語圏の人とスムーズにコミュニケーションを取ることを目標として学習されることが多く、その点は観光英語学習の目的と共通しています。
観光英語はそこからさらに英語を活用する機会を観光・旅行関連に設定し、スキルアップを促します。
日本人旅行者という立場で外国を旅行するシーンや、日本人旅行者を引率する海外旅行ツアーガイド、外国人旅行者に日本国内を案内するツアーガイドなどが想定されます。
つまり、観光英語では英語能力であり、接客サービス能力であり、コミュニケーション能力でもあります。特にツアーガイドには、丁寧で気持ちのよい英語が求められます。
学ぶ知識・技術
観光英語検定試験を取得するには、試験に合格する必要があります。
すべての級で、海外におけるマナーや習慣の違いこ認識、旅行や観光に関連する専門用語、慣用表現、国際的な常識などを想定し、実用的な問題が出題されます。
各級の出題傾向と出題形式は以下の通りです。
3級
- 出題傾向
- 曜日、時刻、数字(単位含む)、英語の掲示やパンフレット、地名、世界と日本の観光名所、日本の祭りや年中行事また民芸品、あいさつなど、観光・旅行に必要となる初歩的な英語、英語による日常会話
- 出題形式
-
- 筆記試験
- リスニング試験
2級
- 出題傾向
- 予約関連業務、ホテル関連業務、出入国に関する手続き、機内放送などのアナウンス、食事、通貨、交通機関など、観光・旅行業に必要となる基本的な英語、英語による日常会話
- 出題形式
-
- 筆記試験
- リスニング試験
1級
- 出題傾向
- 以下の範囲での観光、旅行業に必要な実務英語で、具体的には下記を想定。
- 場所:各種受付(旅行代理店、航空会社など)、空港、駅、ホテル、レストラン、税関、劇場など
- 状況:苦情と謝罪、誤解と説明、要求と情報提供、予約および変更・キャンセル、電話応対、ガイド、病気、けがなど
- 文書など:手紙、申込書、ファクシミリ、チケットなど
- 専門知識:航空会社・旅行代理店・ホテルなどで一般的に使用される略語や専門用語
- その他:世界の国々の文化や習慣、国際儀礼(プロトコル)
- 出題形式
-
- 筆記試験(記述式)
- ネイティブとの面接
観光英語検定試験で目指せる職業、就職先は?
観光英語検定試験を取得すると、下記の業界への就職で自己アピールにつながります。
- 旅行・観光会社
- ホテル
- 空港ターミナル
- 交通機関
- レストラン
- デパート・商業施設
旅行ツアーガイドやホテルのコンシェルジュ、百貨店の販売員などとして活躍が期待できるでしょう。
採用活動において、観光英語検定の資格保持者を優遇する企業もありますので、学生の就職活動や転職活動におすすめの資格です。
観光英語検定試験を取得するとどんな悩みが解決できる?
観光英語検定試験を取得すると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- 観光英語検定が解決できること
-
- 観光業界への就職に有利に働く
- 海外旅行で買い物やトラブル対応がスムーズにできる
- 日本を訪れた外国人の方への対応ができる
観光英語検定試験の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
観光英語検定試験の受験資格に制限はありません。ただし1級受験資格は、平成30年度以降に2級を取得された人が対象です。
1級と2級、2級と3級の併願ができます。
取得にかかる費用
観光英語検定試験の検定料は、各等級で下記のように定められています。
- 3級
-
- 3,800円
- 3,600円(会員価格)
- 2級
-
- 4,800円
- 4,600円(会員価格)
- 1級
-
- 10,000円
- 9,500円(会員価格)
観光英語検定試験の日程
2級と3級は例年、年に2回実施されています。しかしコロナウイルス感染症予防のため、令和3年は年一回の実施となりました。
1級は年一回の実施です。
観光英語検定はどんな人におすすめの資格?
インバウンドツーリズムの振興など、日本は外国の観光旅行者に向けてアピールに力を入れています。また、海外旅行を趣味とする日本人も多く、英語をコミュニケーションツールとして使うこともあります。
サービス能力や接客能力とともに、観光分野で英語を使用でにる人材の需要は高くなっていますので、観光に特化した英語能力の習得はキャリアアップにつながります。
観光関連の企業では、観光英語検定試験の資格取得を奨励している企業もあります。検定料の負担や資格手当など優遇制度を設けている場合、是非資格を取得しましょう。
また、観光英語検定試験は学生にもおすすめの資格です。高校や専門学校、短大、大学などで、さまざまな学科・学部で、観光英語の授業や講座が行われています。
仕事や勉強以外にも、海外旅行を楽しみたい人、ツアーではなく海外旅行を自力で計画したい人、観光関連業界で英語を使いたい人などにもおすすめです。
- 観光英語検定試験の資格取得がおすすめな人
-
- 観光業界で働いており、スキルアップしたい人
- 海外旅行が好きで、現地の人とコミュニケーションを取りたい人
- 学校の一般的な英語学習では習わない、実用的な観光英語を習得したい学生
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
観光英語検定試験は、全国語学ビジネス観光教育協会が実施しています。また、文部科学省、一般社団法人 日本ホテル協会、一般社団法人 日本旅行協会、株式会社JTB総合研究所の後援を受けています。
試験の詳細や申込については下記HPから確認してください。
まとめ:観光分野で国際的なコミュニケーションをするための英語力を磨こう
海外旅行で外国へ行ったり、日本国内で外国人観光客と会話をしたり、観光において英語を使うシーンはどんどん増えていますよね。仕事でも旅行会社やホテル、百貨店など英語を使った接客ができる人材は重宝されます。趣味のためにも仕事のためにも、観光英語の能力を磨いておくと、自分の可能性が広がりますよ。
コメント