IT系の国家資格には様々な種類がありますが、そのうちの上位資格とされるのが「システム監査技術者」です。このシステム監査技術者とはどんな職種か、仕事内容や役割、資格の取得方法、取得によるメリットなどを紹介していきます。
システム監査技術者とは、どんな資格?
システム監査とは、第三者の視点でクライアントが使用しているシステム環境を評価する仕事です。これを専門とするIT系国家資格が「システム監査技術者」で、企業からの依頼に基づき、次のような業務を担当します。
- 情報システムの点検・評価
- 銀行のATMや交通機関の運行管理システムのトラブルが起こらないよう、監査計画を立案し、システムのチェックを行います。またセキュリティ強化も業務内容の一つで、パスワードやデータの保全、暗号化といったセキュリティ面の点検・安全性の確保に努めます。
- 情報システムの改善案の提案
- 情報システムの点検結果をクライアントに説明し、故障やダウンの防止策・改善点をアドバイスします。
システム監査技術者の役割は、企業が使用している情報処理システムにおいて、「システムを活用できているか」「障害発生のリスクはあるか」「不正アクセスへの対策が十分できているか」といったことを、安全性・機密性・効率性などのポイントから客観的にチェックすることです。監査内容を報告し、経営リスクがあれば解決のアドバイスをして、今後起こる可能性のある損害・事故を未然に防ぎます。
学ぶ知識・技術
システム監査技術者は、クライアントの使っている情報処理システムを点検し、経営リスクや損害を防ぐのが仕事です。そのため、IT機器のハードウェア・ソフトウェアの仕組みや構造に精通していなければなりません。実際、資格認定試験である「システム監査技術者試験」は、情報処理技術者試験の中でも最高難度のレベル4に位置付けられています。
システム監査技術者試験では、下記の知識が問われます。
- 基本理論
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- 離散数学
- 応用数学
- 情報に関する理論
- 通信に関する理論
- 計測
- 制御に関する理論 など
- コンピュータシステム
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- プロセッサ
- メモリ
- パス
- 入出力デバイス
- 入出力装置
- システムの構成 など
- 技術要素
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- ヒューマンインターフェース技術
- インターフェース設計
- マルチメディア技術
- マルチメディア応用 など
- 開発技術
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- システム要件定義
- システム方式設計
- ソフトウェア要件定義 など
- プロジェクトマネジメント
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- プロジェクト統合マネジメント
- プロジェクト・スコープ・マネジメント
- プロジェクト・タイム・マネジメント など
- サービスマネジメント
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- サービスマネジメント
- 運用設計・ツール
- サービスサポート
- サービスデリバリ など
- システム戦略
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- 情報システム戦略
- 業務プロセス
- ソリューションビジネス
- システム活用促進・評価 など
- 経営戦略
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- 経営戦略手法
- マーケティング
- ビジネス戦略と目標・評価
- 経営管理システム など
- 企業と法務
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- 経営・組織論
- OR・IE
- 会計・財務
- 知的財産権
- セキュリティ関連法規 など
- 情報システム・組込みシステム・通信ネットワーク
- システム監査全般
- システム監査の計画・実施・報告
- システム監査関連法規
システム監査技術者で目指せる職業、就職先は?
システム監査技術者の資格取得後は、次のような現場での就職・活躍が見込めます。
- 情報処理会社
- 監査機関、監査を手がける企業
- コンピューターメーカーなどのIT関連企業
- ITコンサルタント企業
監査は、もともと会計システムの信頼性・安全性を評価するための業務のため、金融、通信、官公庁や大手製造業など、絶対に止めてはいけない大規模基幹システムを担当することが多いです。
システム監査技術者になるとどんな悩みが解決できる?
システム監査技術者は、知識を活かして下記のような悩み・問題を解決できます。
- システム監査技術者が解決できること
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- システムの点検・評価を通じて、障害やトラブル、企業への経済的損失を未然に防ぐ
- 情報システムの安全性を保つことで、不正アクセスや内部情報の抜き取りを防ぐ
- 事業継続に向けてのリスク対策を、情報システム運用の点からアドバイスする
システム監査技術者の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
システム監査技術者の国家資格を取得するには、システム監査技術者試験を受験する必要がありますが、この試験は年齢や学歴を問わず、どなたでも受験できます。
取得にかかる費用
システム監査技術者試験の受験にかかる費用は、7,500円です。令和3年秋季試験から受験料が改定されています。
システム監査技術者はどんな人におすすめの資格?
システム監査技術者は、次のような人に取得がおすすめの資格です。
- システム監査技術者の資格取得がおすすめな人
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- 情報システムを調査し、問題点を分析できる人
- コミニュケーション能力が高い人(監査・調査した結果を企業の担当者に説明したり、改善策を提案したりする必要があるため)
- コンピュータのソフト・ハードに関する深い知識がある人
- 監査人や情報システム責任者としての能力を証明したい人
- 企業内の監査部門やセキュリティ担当の職に就きたい人
- 現在エンジニアの仕事をしており、マネジメント寄りの仕事にチャレンジしたい人
- 高年収の仕事に就きたい人(平均年収は490~610万円)
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
システム監査技術者の資格を管理し、資格試験を実施しているのは、「独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)」です。試験は例年4月に実施されますが、その年の試験日程や試験会場、受験申請の手続きについては、下記の公式HPからご確認ください。
まとめ:システム運用の知識があり、経営コンサル・マネジメント業に興味があるならシステム監査技術者の資格取得を!
今エンジニアの仕事をしており、将来的には経営マネジメント方向にキャリア形成したいという方に、「システム監査技術者」はおすすめの資格です。合格率は約15%の難関資格ですが、取得すれば転職がかなり有利になり、高年収が見込めます。ぜひチャレンジを!
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