企業の情報・経営システムへのサイバー攻撃や、それによる個人情報流出などが時々ニュースになることがありますが、それを防ぐために欠かせない知識・スキルを保有しているのが「情報処理安全確保支援士」です。この情報処理安全確保支援士とはどんな資格か、取得方法や取得によるメリットなどを紹介していきます。
情報処理安全確保支援士とは、どんな資格?
IT社会の現代では、サイバー攻撃の増加・高度化が社会的な脅威となっており、あらゆる企業でサイバーセキュリティ対策は重要な課題とされています。そこで2016年10月に誕生した国家資格が、セキュリティの最新知識・技能を備えた人材であることを示す「情報処理安全確保支援士(通称:登録情報セキュリティスペシャリスト/略称:登録セキスペ)」です。
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が実施する「情報処理安全確保支援士試験」に合格すると、資格を保有することができますが、この試験は国内で実施されるセキュリティ関連試験の中では最難関です。主な仕事内容(役割)は、サイバーセキュリティ対策の調査・分析・評価とその結果に基づく助言、セキュリティ機能の企画・要件定義・開発・運用・保守業務、情報セキュリティポリシの作成、利用者教育などになります。
学ぶ知識・技術
情報処理安全確保支援士試験では、下記の知識・技術が問われます。
テクノロジ系
- 基礎理論
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- 離散数学
- 応用数学
- 情報に関する理論
- 通信に関する理論
- 計測、制御に関する理論
- データ構造
- アルゴリズム
- プログラミング
- プログラム言語
- その他の言語
- コンピュータシステム
-
- プロセッサ
- メモリ
- バス
- 入出力デバイス
- 入出力装置
- システムの構成
- システムの評価指標
- オペレーティングシステム
- ミドルウェア
- ファイルシステム
- 開発ツール
- オープンソースソフトウェア
- ハードウェア
- 技術要素
-
- ヒューマンインターフェース技術
- インターフェース設計
- マルチメディア技術
- マルチメディア応用
- データベース方式
- データベース設計
- データ操作
- トランザクション処理
- データベース応用
- ネットワーク方式
- データ通信と制御
- 通信プロトコル
- ネットワーク管理
- ネットワーク応用
- 情報セキュリティ
- 情報セキュリティ管理
- セキュリティ技術評価
- 情報セキュリティ対策
- セキュリティ実装技術
- 開発技術
-
- システム要件定義
- システム方式設計
- ソフトウェア要件定義
- ソフトウェア方式設計・ソフトウェア詳細設計
- ソフトウェアコード作成及びテスト
- ソフトウェア結合・ソフトウェア適格性確認テスト
- システム結合・システム適格性確認テスト
- ソフトウェア導入
- ソフトウェア受入れ
- ソフトウェア保守
- 開発プロセス
- 知的財産適用管理
- 開発環境管理
- 構成管理・変更管理
マネジメント系
- プロジェクトマネジメント
-
- プロジェクト統合マネジメント
- プロジェクト・スコープ・マネジメント
- プロジェクト・タイム・マネジメント
- プロジェクト・コスト・マネジメント
- プロジェクト品質マネジメント
- プロジェクト人的資源マネジメント
- プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント
- プロジェクト・リスク・マネジメント
- プロジェクト調達マネジメント
- サービスマネジメント
-
- サービスマネジメント
- 運用設計・ツール
- サービスサポート
- サービスデリバリ
- サービスマネジメント構築
- ファシリティマネジメント
- システム監査
- 内部統制
ストラテジ系
- システム戦略
-
- 情報システム戦略
- 業務プロセス
- ソリューションビジネス
- システム活用促進・評価
- システム化計画
- 要件定義
- 調達計画・実施
- 経営戦略
-
- 経営戦略手法
- マーケティング
- ビジネス戦略と目標・評価
- 経営管理システム
- 技術開発戦略の立案
- 技術開発計画
- ビジネスシステム
- エンジニアリングシステム
- e-ビジネス
- 民生機器
- 産業機器
- 企業と法務
-
- 経営・組織論
- OR・IE
- 会計・財務
- 知的財産権
- セキュリティ関連法規
- 労働関連・取引関連法規
- その他の法律ガイドライン・技術者論理
- 標準化関連
テクノロジ系
- 技術要素
-
- データベース
- ネットワーク
- セキュリティ
- 開発技術
-
- システム開発技術
- ソフトウェア開発管理技術
マネジメント系
- サービスマネジメント
-
- サービスマネジメント
- システム監査
記述試験
- 情報セキュリティシステムの企画・案件定義・開発・運用・保守に関すること
- 情報セキュリティの運用に関すること
- 情報セキュリティ技術に関すること
- 開発の管理に関すること
- 情報セキュリティ関連の法的要求事項などに関すること
情報処理安全確保支援士で目指せる職業、就職先は?
セキュリティ対策は全ての企業に必要なものなので、情報処理安全確保支援士の資格や知識はどんな業界の就職・転職でも役立つでしょう。特にネットワーク企業や、情報セキュリティ企業では高く評価されるはずです。
情報処理安全確保支援士になるとどんな悩みが解決できる?
情報処理安全確保支援士になると、次のような悩み・問題が解決できます。
- 情報処理安全確保支援士が解決できること
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- 情報システムの脅威・脆弱性を分析・評価し、これらを適切に回避・防止するセキュリティ機能の企画・要件定義・開発をサポートする
- 情報システムやセキュリティ機能の開発プロジェクトにて、情報システムへの脅威を分析し、プロジェクト管理をサポートする
- 情報システム運用プロセスにおけるセキュリティ管理作業を、技術的にサポートする
情報処理安全確保支援士の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
情報処理安全確保支援士の資格を取得するには、情報処理安全確保支援士試験に合格する必要がありますが、この試験は年齢や学歴、職歴を問わずどなたでも受験できます。
ただし、情報処理安全確保支援士の登録有効期間は登録日から3年間で、資格を維持するにはIPAまたはIPAが認定した事業者が実施する講習(1年ごとのオンライン講習+3年ごとの集合講習)を受けることが義務付けられています。
取得にかかる費用
情報処理安全確保支援士試験にかかる受験料は5,700円です。
なお、資格維持のための講習にかかる費用は、1年ごとのオンライン講習が2万円、3年ごとの集合講習は8万円と、かなり高額になっています。
情報処理安全確保支援士はどんな人におすすめの資格?
情報処理安全確保支援士は、次のような人に取得がおすすめの資格です。
- 情報処理安全確保支援士の資格取得がおすすめな人
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- サイバーセキュリティ対策のプロを目指したい人
- 情報セキュリティに関する高度な知識・技能を保有している証明が欲しい人
- IT関連職種の就職・転職を有利に進めたい人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
情報処理安全確保支援士の資格を管理し、試験を実施しているのは「独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)」です。その年の試験日程や会場、受験申請に必要な手続きについては、下記の公式HPからご確認ください。
まとめ:情報処理安全確保支援士は、情報セキュリティ対策のプロフェッショナル!
情報セキュリティ対策が必須となっている現代、情報処理安全確保支援士はどんな業界でも幅広く役立つ国家資格といえるでしょう。自身のITスキルや知識を証明したいという方は、ぜひ積極的に取得を。
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