豊かな自然が好きな人やSDGs推進に関心がある人におすすめの資格が「ビオトープ管理士」です。この記事ではビオトープ管理士1級と2級の違い、筆記試験と口述試験について、資格取得のメリット、受検費用などを解説します。
ビオトープ管理士とは、どんな資格?
「ビオトープ管理士」とは、自然と伝統が共存した美しく強靱な地域の創造を目指す技術者・プランナーを指します。専門知識を活用し、自然の保全・再生を担うことができます。ビオトープとは、地域の中で野生の生物群が生育することができる空間です。
ビオトープ管理士には、2つの種類があります。
- ビオトープ計画管理士
- 地域の自然生態系の保護・保全、復元、創出の理念や、野生生物等の調査技術を踏まえた、広域的な地域計画(都市計画、農村計画など)のプランナー
- ビオトープ施工管理士
- 地域の自然生態系の保護・保全、復元、創出の理念や、野生生物等の調査技術を踏まえた、設計・施工にあたる事業現場担当の技術者
1級ビオトープ施工管理士ならびに1級ビオトープ計画管理士は、公共工事に関する調査及び設計等の品質確保に資する技術者資格(国土交通省登録資格)です。
ビオトープ管理士には、基礎レベルの2級と上級の1級が設けられています。
- 1級
- 経験の豊富な事業の責任者のレベル
- 2級
- 基礎的な知識のある技術者のレベル
ビオトープ管理士は、日本全国で多くの地域から重宝されています。環境省や国土交通省、農林水産省などの中央省庁や地方自治体では、ビオトープ管理士の資格が入札条件や技術者の評価対象として採用されているなど、存在感が強まっています。
また、ビオトープ管理士は環境教育の指導者としても公認されています。SDGsのように未来に向けた環境保護の必要性が叫ばれる中、次世代に向けた人材づくりも担うのがビオトープ管理士です。
学ぶ知識・技術
ビオトープ管理士を取得するためには、試験に合格する必要があります。
1級の試験内容
1級は、筆記試験と口述試験が実施されます。筆記試験は、択一問題(共通科目と専門科目)を午前の枠で、記述問題と小論文を午後の同一の枠で行われます。口述試験に進むことができるのは筆記試験の合格者のみです。筆記試験とは別日程・別会場(都内)で実施されます。
- 共通科目 30問
-
- 生態学 10問
- ビオトープ論 10問
- 環境関連法 10問
- 専門科目 20問
-
- 計画部門 20問または施工部門 20問
- 記述問題 4問
- 小論文 1問
上記は通常受験の場合の試験内容です。他部門受験の場合、択一問題の共通科目は免除されます。筆記試験の合格者は口述試験に進むことができます。口述試験では、約15分の間に試験管との質疑応答が実施されます。
2級の試験内容
2級は筆記試験のみが実施されます。試験は、択一問題(共通科目と専門科目)と小論文が同日の午前に行われます。
- 共通科目 30問
-
- 生態学 10問
- ビオトープ論 10問
- 環境関連法 10問
- 専門科目 20問
-
- 計画部門 20問または施工部門 20問
- 小論文 1問
上記は通常受験の場合の試験内容です。他部門受験の場合、択一問題の共通科目は免除されます。また、一部免除認定校の学生・卒業生の場合は択一問題の出題数が少なくなります。
ビオトープ管理士で目指せる職業、就職先は?
ビオトープ管理士を取得すると、下記の職種や環境コンサルタントとして働くことに役立ちます。
- 都市・地域計画
- 土木・造園
- 農業
- 環境調査
- 製造
- 不動産
- サービス業 など
ビオトープ管理士を取得するとどんな悩みが解決できる?
ビオトープ管理士を取得すると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- ビオトープ管理士が解決できること
-
- 企業や組織のSDGsを推進できる
- 専門知識に基づいて環境保護を推進できる
- 地域の自然との共生を促すことができる
ビオトープ管理士の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
ビオトープ管理士2級の受験資格に制限はありません。1級を受験する場合、下記の①~⑦の条件のうち、いずれか1つを満たす必要があります。
- 四年制大学を卒業後※1、通算で満7年以上の実務の経験年数を有する
- 大学院を卒業後※2、通算で満5年以上の実務の経験年数を有する
- 短期大学、専門学校、高等専門学校のいずれかを卒業後、通算で満9年以上の実務の経験
年数を有する - 高等学校を卒業後※3、通算で満11年以上の実務の経験年数を有する
- 技術士(建設、農業、森林、水産、環境の5部門に限る)、1級土木施工管理技士、1級造園施工管理技士のいずれかの資格を取得後、通算で満4年以上の実務の経験年数を有する
- 2級ビオトープ計画管理士、2級ビオトープ施工管理士、2級土木施工管理技士、2級造園施工管理技士のいずれかの資格を取得後、通算で満7年以上の実務の経験年数を有する
- 上の学歴・資格によらない場合で、通算で満14年以上の実務の経験年数を有する
※1 (独)大学評価・学位授与機構による「学士」の学位の取得も、同等と見なします。
※2 (独)大学評価・学位授与機構による「修士」「博士」の学位の取得も、同等と見なします。
※3 高等学校卒業程度認定試験(旧 大学入学資格検定)の合格も、同等と見なします。
なお、実務の内容や経験年数の計算方法は、公益財団法人 日本生態系協会の発表内容をよく確認してください。
取得にかかる費用
ビオトープ管理士試験の受験費用は、各級で下記のように定められています。
- 1級
-
- 通常受験・他部門受験:11,300円(税込)
- 筆記試験合格者の再受験:5,100円(税込)
- 2級
-
- 通常受験・他部門受験:7,200円(税込)
- 筆記試験合格者の再受験:7,200円(税込)
ビオトープ管理士はどんな人におすすめの資格?
試験の合格率は1級が約33%、2級が約44%です。いずれの級も十分な学習が必要ですので、公益財団法人 日本生態系協会が開講するセミナーなどで準備をするのが安心です。
ビオトープ管理士は生物多様性や環境保全の知識を活用し、さまざまな業種で専門性を発揮できるでしょう。これまでに累計1万4,000人のビオトープ管理士が認定されています。ビオトープ管理士有資格者になると、「日本ビオトープ管理士会」に参加することができます。
- ビオトープ管理士の資格取得がおすすめな人
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- SDGsなど自然保全・環境保護に関心がある人
- 地域創造に貢献したい人
- 生き物や植物に関心がある人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
ビオトープ管理士を認定しているのは、公益財団法人 日本生態系協会です。試験の詳細や申込については、下記URLから確認してください。
まとめ:ビオトープ管理士は社会のためになる仕事ができる有資格者
日本には豊かな自然がたくさんありますが、どのようにして保全・共存していくかはとても大切です。SDGsや自然保全に関心がある人は、ビオトープ管理士の資格取得を目指してみてはいかがでしょう。
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