近年はさまざまな業種でIT化やDXが推進されていますよね。こうした経営改革・業務改革をサポートする人材に「ITコーディネータ」の資格保有者がいます。この記事では、ITコーディネータができること、資格取得に必要なこと、受験資格などについて解説します。
ITコーディネータ試験とは、どんな資格?
ITコーディネータ試験とは、ITの影響力がますます増し、DXがこれからのビジネスや社会においてより大きな役割を担うことに着目し、ITによるイノベーションを牽引する人材を認定することを目的とした民間資格です。本資格は経済産業省推進資格として位置づけられています。
企業がDXを推進する際のアドバイザーとしての役割も期待されており、大企業・中小企業などの規模を問わず、これからのビジネスを支えていく人材であることが求められます。
ITコーディネータ試験では、ITコーディネータの認定と専門スキル特別認定制度が設けられています。
- ITコーディネータとは
- ITコーディネータ(ITC)とは、経営者の立場に立って、経営とITを融合し、真に経営に役立つITサービス利活用の推進・支援を行うための知識を有する有資格者です。IT経営を実現するプロフェッショナルとして、経営や業務の改革が期待されます
- 専門スキル特別認定制度
- 専門スキル特別認定制度とは、ITコーディネータ資格の前提となる「専門分野知識」および「実務経験・スキル」について、所定の資格保有者を対象として、ITコーディネータ試験の一部を免除する制度です
学ぶ知識・技術
ITコーディネータになるには、試験に合格し、ケース研修を修了する必要があります。試験問題は、ITコーディネータ協会が発行する『IT経営推進プロセスガイドライン(テキスト)』に沿った知識や実践経験で構成されています。
ITコーディネータ試験
- 出題形式
- 多岐選択問題(試験時間120分)
- 問題数
- 100問(必須60問・選択40問)
- 必須問題(60問)
-
- PGL全体の領域から出題される基本問題(40問)
- PGLのIT経営共通領域から出題の応用問題(20問)
- 選択問題(40問)
- 申込時に「経営系」か「情報系」を選択。
- 経営系問題(40問):経営戦略・業務改革・IT戦略
- 情報系問題(40問):IT戦略・IT利活用
専門スキル特別認定試験
- 出題形式
- 試験時間80分
- 出題内容
-
- PGL全体の領域から出題される基本問題(40問)
- PGLのIT経営共通領域から出題の応用問題(20問)
ITコーディネータ試験の合格者は、試験合格とケース研修修了の両方を4年度の間に完了する必要があります。資格認定後は毎年、資格更新が必要となります。さらに、3年度間にフォローアップ研修を3講座受講します。
ITコーディネータ試験で目指せる職業、就職先は?
ITコーディネータの資格を取得すると、下記の業界で活躍することが見込まれます。
- ITを活用するあらゆる企業
- ITベンダ
- ITやDXに関する支援機関
- 官公庁や大学
- ITやDXに関するコンサルタント・専門家 など
職種としては、企業に所属するITコーディネータの場合は経営企画やシステム開発、システム運用、監査、営業などさまざまな職種が考えられます。社外のCIOやコンサルタントとして、企業に助言をするITコーディネータもいます。
ITコーディネータ試験を取得するとどんな悩みが解決できる?
ITコーディネータの資格を取得すると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- ITコーディネータ試験が解決できること
-
- 企業がIT経営を実現するための課題改善をサポートする
- DX時代におけるIT戦略の立案・実施などに貢献できる
- 中小企業などのIT化を促進する
ITコーディネータ試験の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
ITコーディネータ試験の受験資格に制限はありません。専門スキル特別認定試験は、ITコーディネータ協会が指定する、専門スキル特別認定制度対象資格を保有する方のみが対象です。対象者は試験科目が一部免除されます。
専門スキル特別認定制度対象資格の対象者は、下記の資格の保有者です。
- ITコーディネータ協会で認定した(支援機関など)「ITC資格取得優待プログラム申込書」を提出すること
- 公認会計士
- 税理士
- 中小企業診断士
- 弁護士
- 弁理士
- 技術士(経営工学)
- 技術士(情報工学)
- 技術士(総合技術監理)
- 経営品質協議会認定セルフアセッサー
- マネジメントコンサルタント(MC)
- 経営コンサルタント(日本生産性本部)
- 医業経営コンサルタント
- 証券アナリスト
- MBA(経営学修士)及び経営学博士
- MOT(技術経営修士)及び技術経営学博士
- ITストラテジスト(システムアナリスト・上級システムアドミニストレータを含む)
- システムアーキテクト
- プロジェクトマネージャ
- システム監査技術者
- ネットワークスペシャリスト
- データベーススペシャリスト
- エンベデッドシステムスペシャリスト
- 情報セキュリティスペシャリスト
- ITサービスマネージャ
- ITパスポート(750点以上の合格)
- 情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)※登録されている事が前提
- PMP(プロジェクト マネジメント プロフェッショナル)
- P2M(PMA PMR)
- ITILマネージングプロフェッショナル、ITILストラテジックリーダー、ITILプラクティスマネージャー(インターミディエイトとファウンデーションは対象外)
- ITILエキスパート(マネジャー)
- シニアモバイルシステムコンサルタント(SMC)※モバイルシステム技術検定1級・2級・モバイル技術基礎検定は対象外
- IoTシステム技術検定(上級)※スマートフォン・モバイル実務検定、IoTシステム技術検定の基礎・中級は対象外
- ISO9000審査員※審査員補は対象外
- 公認内部監査人(CIA)
- 公認情報システム監査人(CISA)
- 公認システム監査人 ※ システム監査人補は対象外
- ISMS審査員 ※ISMS審査員補は対象外
- セキュリティ プロフェッショナル認定資格(CISSP)
- 公認情報セキュリティ監査人(CAIS) ※監査人補とアソシエイトは対象外
- プライバシーマーク審査員 ※審査員補は対象外
- 1級販売士
- 社会保険労務士
- 行政書士
- CBAP(Certified Business Analysis Professiona)
- 上級ウェブ解析士 ※正会員であることが必須。ウェブ解析士は対象外
取得にかかる費用
ITコーディネータ試験の受験費用は、下記のように定められています。
- ITコーディネータ試験:19,800円
- 専門スキル特別認定試験:9,900円
認定料は、22,000円(税込)です。また、資格認定後の更新手続き料は22,000円(税込)です。
ITコーディネータ試験試験の日程
ITコーディネータ試験は、ケース研修の受講修了と合わせて年3回実施されています。試験方式はCBT方式で、受験者は試験実施期間内であれば受験日時を受験会場(約300ヶ所)を選択できます。ただし同一試験実施期間中の受験は一回のみです。
ITコーディネータ試験はどんな人におすすめの資格?
ビジネスにおけるITやDXの必要性はこれからも高いことが予想される一方で、DX化に課題を感じている企業がたくさんあります。そのため、DXに精通したITコーディネータは、経営戦略やDX推進で能力を発揮できるでしょう。
ITコーディネータの年収は、400万円から600万円が目安です。ただし経験と実績を積んだITコーディネータの場合は年収1,000万円超えも期待できます。
ITコーディネータになるには、ITに関する知識と経営に関する知識の双方が必要です。ITコーディネータの資格を取得後は、会社員や団体職員として働くほか、独立開業してITコンサルタントとして働くというキャリアも描けるでしょう。
- ITコーディネータ試験の資格取得がおすすめな人
-
- ITを活用した課題解決に関心がある人
- 経営に関するスキルアップを目指す人
- エンジニアやプログラマーからキャリアアップを目指す人
- ITや経営に関する知識を活かして独立を検討している人
- 専門スキル特別認定制度対象資格の保有者
- 依頼者の悩みや課題を聞き出すヒアリング力がある人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
ITコーディネータの認定をしているのは、特定非営利活動法人ITコーディネータ協会です。試験の詳細や申込については下記URLから確認してください。
まとめ:ITと経営に関する知識や経験を活かすならITコーディネータ
IT業界でのキャリアアップ・収入アップを考えている人、これまで培った知識や経験をビジネスに活かしたい人は、ITコーディネータの資格取得がおすすめです。これからの時代の頼れる存在となるべく、スキルアップを目指しくださいね。
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