英語力を測定する試験に英検がありますが、漢字に関する知識や理解の程度を測定する日本漢字能力検定(漢検)も、人気の高い検定です。
この記事では、漢検の1級から10級までのレベルの目安、出題範囲や受検料などを解説します。
日本漢字能力検定(漢検)とは、どんな資格?
漢検(日本漢字能力検定)とは、次の漢字能力を測定する技能検定です。
- 漢字を「読む」「書く」という知識
- 漢字の意味を理解する能力
- 文章の中で漢字を適切に使う能力
漢検は1級から10級までレベル分けがされています。最も難易度が高いのは1級です。公益財団法人 日本漢字能力検定協会のHPによると、各レベルで想定されている能力は下記の通りです。
- 1級
- 大学・一般程度(約6000字)。常用漢字を含めて、約6000字の漢字(JIS第一・第二水準を目安とする)の音・訓を理解し、文章の中で適切に使える。
- 準1級
- 大学・一般程度(約3000字)。常用漢字を含めて、約3000字の漢字(JIS第一水準を目安とする)の音・訓を理解し、文章の中で適切に使える。
- 2級
- 高校卒業・大学・一般程度(2136字)。すべての常用漢字を理解し、文章の中で適切に使える。
- 準2級
- 高校在学程度(1951字)。常用漢字のうち1951字を理解し、文章の中で適切に使える。
- 3級
- 中学校卒業程度(1623字)。常用漢字のうち約1600字を理解し、文章の中で適切に使える。
- 4級
- 中学校在学程度(1339字)。常用漢字のうち約1300字を理解し、文章の中で適切に使える。
- 5級
- 小学校6年生修了程度(1026字)。小学校第6学年までの学習漢字を理解し、文章の中で漢字が果たしている役割に対する知識を身に付け、漢字を文章の中で適切に使える。
- 6級
- 小学校5年生修了程度(835字)。小学校第5学年までの学習漢字を理解し、文章の中で漢字が果たしている役割を知り、正しく使える。
- 7級
- 小学校4年生修了程度(642字)。小学校第4学年までの学習漢字を理解し、文章の中で正しく使える。
- 8級
- 小学校3年生修了程度(440字)。小学校第3学年までの学習漢字を理解し、文や文章の中で使える。
- 9級
- 小学校2年生修了程度(240字)。小学校第2学年までの学習漢字を理解し、文や文章の中で使える。
- 10級
- 小学校1年生修了程度(80字)。小学校第1学年の学習漢字を理解し、文や文章の中で使える。
学ぶ知識・技術
漢検を取得するためには、各級の試験に合格する必要があります。
- 合格基準
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- 1級・準1級・2級:200点のうち80%程度
- 準2級・3級・4級・5級・6級・7級:200点のうち70%程度
- 8級・9級・10級:150点のうち80%程度
各級の試験概要を紹介しますので参考にしてください。
1級
常用漢字の音・訓を含めて、約6000字の漢字の読み書きに慣れ、文章の中で適切に使えるレベル。
- 読むことと書くこと
-
- 熟字訓、当て字を理解していること
- 対義語、類義語、同音・同訓異字などを理解していること
- 国字を理解していること(怺える、毟るなど)
- 地名・国名などの漢字表記(当て字の一種)を知っていること
- 複数の漢字表記について理解していること(鹽―塩、颱風―台風など)
- 四字熟語・故事・諺
- 典拠のある四字熟語、故事成語・諺を正しく理解している。
- 古典的文章
- 古典的文章の中での漢字・漢語を理解している。
準1級
常用漢字の音・訓を含めて、約3000字の漢字の読み書きに慣れ、文章の中で適切に使えるレベル。
- 読むことと書くこと
-
- 熟字訓、当て字を理解していること
- 対義語、類義語、同音・同訓異字などを理解していること
- 国字を理解していること(峠、凧、畠 など)
- 複数の漢字表記について理解していること(國―国、交叉―交差 など)
- 四字熟語・故事・諺
- 典拠のある四字熟語、故事成語・諺を正しく理解している。
- 古典的文章
- 古典的文章の中での漢字・漢語を理解している。
2級
すべての常用漢字の読み書きに習熟し、文章の中で適切に使えるレベル。
- 読むことと書くこと
-
- 音読みと訓読みとを正しく理解していること
- 送り仮名や仮名遣いに注意して正しく書けること
- 熟語の構成を正しく理解していること
- 熟字訓、当て字を理解していること(海女/あま、玄人/くろうとなど)
- 対義語、類義語、同音・同訓異字などを正しく理解していること
- 四字熟語
- 典拠のある四字熟語を理解している(鶏口牛後、呉越同舟 など)
- 部首
- 部首を識別し、漢字の構成と意味を理解している。
準2級
1951字の漢字の読み書きを習得し、文章の中で適切に使えるレベル。
- 読むことと書くこと
-
- 音読みと訓読みとを正しく理解していること
- 送り仮名や仮名遣いに注意して正しく書けること
- 熟語の構成を正しく理解していること
- 熟字訓、当て字を理解していること(硫黄/いおう、相撲/すもう など)
- 対義語、類義語、同音・同訓異字を正しく理解していること
- 四字熟語
- 典拠のある四字熟語を理解している(驚天動地、孤立無援 など)。
- 部首
- 部首を識別し、漢字の構成と意味を理解している。
3級
小学校学年別漢字配当表のすべての漢字と、その他の常用漢字約600字の読み書きを習得し、文章の中で適切に使えるレベル。
- 読むことと書くこと
-
- 音読みと訓読みとを正しく理解していること
- 送り仮名や仮名遣いに注意して正しく書けること
- 熟語の構成を正しく理解していること
- 熟字訓、当て字を理解していること(乙女/おとめ、風邪/かぜ など)
- 対義語、類義語、同音・同訓異字を正しく理解していること
- 四字熟語
- 四字熟語を理解している。
- 部首
- 部首を識別し、漢字の構成と意味を理解している。
4級
小学校学年別漢字配当表のすべての漢字と、その他の常用漢字約300字の読み書きを習得し、文章の中で適切に使えるレベル。
- 読むことと書くこと
-
- 音読みと訓読みとを正しく理解していること
- 送り仮名や仮名遣いに注意して正しく書けること
- 熟語の構成を正しく理解していること
- 熟字訓、当て字を理解していること(小豆/あずき、土産/みやげ など)
- 対義語、類義語、同音・同訓異字を正しく理解していること
- 四字熟語
- 四字熟語を理解している。
- 部首
- 部首を識別し、漢字の構成と意味を理解している。
5級
小学校学年別漢字配当表の第6学年までの学習漢字を読み、書くことができるレベル。
- 読むことと書くこと
-
- 音読みと訓読みとを正しく理解していること
- 送り仮名や仮名遣いに注意して正しく書けること
- 熟語の構成を知っていること
- 対義語、類義語を正しく理解していること
- 同音・同訓異字を正しく理解していること
- 四字熟語
- 四字熟語を正しく理解している(有名無実、郷土芸能 など)。
- 筆順
- 筆順、総画数を正しく理解している。
- 部首
- 部首を理解し、識別できる。
6級
小学校学年別漢字配当表の第5学年までの学習漢字を読み、書くことができるレベル。
- 読むことと書くこと
-
- 音読みと訓読みとを正しく理解していること
- 送り仮名や仮名遣いに注意して正しく書けること(求める、失う など)
- 熟語の構成を知っていること(上下、絵画、大木、読書、不明 など)
- 対義語、類義語の大体を理解していること(禁止-許可、平等-均等 など)
- 同音・同訓異字を正しく理解していること
- 筆順
- 筆順、総画数を正しく理解している。
- 部首
- 部首を理解している
7級
小学校学年別漢字配当表の第4学年までの学習漢字を読み、書くことができるレベル。
- 読むことと書くこと
-
- 音読みと訓読みとを正しく理解していること
- 送り仮名に注意して正しく書けること(等しい、短い、流れる など)
- 熟語の構成を知っていること
- 対義語の大体を理解していること(入学-卒業、成功-失敗 など)
- 同音異字を理解していること(健康、高校、公共、外交 など)
- 筆順
- 筆順、総画数を正しく理解している。
- 部首
- 部首を理解している。
8級
小学校学年別漢字配当表の第3学年までの学習漢字を読み、書くことができるレベル。
- 読むことと書くこと
-
- 音読みと訓読みとを理解していること
- 送り仮名に注意して正しく書けること(食べる、楽しい、後ろ など)
- 対義語の大体を理解していること(勝つ-負ける、重い-軽い など)
- 同音異字を理解していること(反対、体育、期待、太陽 など)
- 筆順
- 筆順、総画数を正しく理解している。
- 部首
- 主な部首を理解している。
9級
- 読むことと書くこと
- 小学校学年別漢字配当表の第2学年までの学習漢字を読み、書くことができる。
- 筆順
- 点画の長短、接し方や交わり方、筆順および総画数を理解している。
10級
- 読むことと書くこと
- 小学校学年別漢字配当表の第1学年の学習漢字を読み、書くことができる。
- 筆順
- 点画の長短、接し方や交わり方、筆順および総画数を理解している。
日本漢字能力検定(漢検)で目指せる職業、就職先は?
日本漢字能力検定(漢検)を取得すると、下記の業界への就職や転職で自己アピールにつながることがあります。ただし、就職活動を有利にするには上級の資格取得が必要です。
- 出版社
- 印刷会社
- 字幕制作会社
- テレビ局
日本漢字能力検定(漢検)を取得するとどんな悩みが解決できる?
日本漢字能力検定(漢検)を取得すると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- 日本漢字能力検定(漢検)が解決できること
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- 高校や専修学校、大学などの入試の出願条件を満たす場合がある
- 高校や専修学校、大学などの入試の加算要件を満たす場合がある
日本漢字能力検定(漢検)の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
日本漢字能力検定の受検資格に制限はありません。
取得にかかる費用
- 個人受検
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- 1級:6,000円
- 準1級:5,500円
- 2級:4,500円
- 準2~4級:各3,500円
- 5~7級:各3,000円
- 8~10級:各2,500円
- 団体受検(準会場)
-
- 1級・準1級:準会場の受検なし
- 2級:3,500円
- 準2級:2,500円
- 3級:2,500円
- 4級:2,500円
- 5級:2,000円
- 6級:2,000円
- 7級:2,000円
- 8級:1,500円
- 9級:1,500円
- 10級:1,500円
- 団体受検(公開会場)
-
- 1級:6,000円
- 準1級:5,500円
- 2級:4,500円
- 準2級:3,500円
- 3級:3,500円
- 4級:3,500円
- 5級:3,000円
- 6級:3,000円
- 7級:3,000円
- 8級:2,500円
- 9級:2,500円
- 10級:2,500円
日本漢字能力検定(漢検)試験の日程
日本漢字能力検定は個人受検の場合、全国47都道府県にある180か所の公開会場で受検します。HPで発表される年3回の日程に従って受験日を選択します。
団体受検の場合、学校や塾・企業などの団体が10名以上の受検者を集めて受検申し込みをします。受検場所は「準会場受検」と「団体公開会場受検」の2つに分かれ、日程もそれぞれ指示があります。
漢検CBT(Computer Based Testing)受検の場合、受検者は漢検CBT会場で受検します。コンピューターを使って漢検(2~7級)を受検するシステムです。受検者は都合のよい日時を選ぶことができます。
日本漢字能力検定(漢検)はどんな人におすすめの資格?
漢検は漢字に関する知識を高めることができる検定です。進学や就職に役立つ資格であるほか、漢字そのものを楽しく学べる生涯学習としても人気です。漢検の受検者の年齢層は、3歳から100歳を超えるほど幅広くなっています。
漢検を就職活動に活かす場合、言語能力の証明として活用できます。そのため、大学生や高校生が漢検を受験し、履歴書に記載することもあります。
企業によっては新入社員の研修や社員教育として、漢検を活用していることもあります。
- 日本漢字能力検定(漢検)の資格取得がおすすめな人
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- 入試など進学に役立つ資格を取得したい人
- 漢字や日本語に関する仕事に携わる人
- 趣味として漢字を楽しく学びたい人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
漢検を主催しているのは、公益財団法人 日本漢字能力検定協会です。試験の詳細や申込については下記HPから確認してください。
まとめ:漢検で日本語能力や国語力をアップさせよう
漢検を取得すると、漢字についての知識や理解力を証明することができます。漢検はレベルに応じて級が用意されていますので、少しずつレベルアップを目指すのも楽しいでしょう。
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