ペットが死んでしまったとき、丁重な葬儀や供養をしてあげたいと思う飼い主さんは多いものです。そんな飼い主さんをサポートするのが「動物葬祭ディレクター」です。動物葬祭ディレクターは、ペットの葬祭に関する専門知識を習得した信頼できる存在です。
この記事では、動物葬祭ディレクターについて学習内容などを紹介します。
動物葬祭ディレクターとは、どんな資格?
動物葬祭ディレクターとは、ペットの火葬や葬儀を行うための専門知識を証明する資格です。ペットが亡くなったとき、ペットの火葬、葬儀、納骨を希望する人は少なくありません。動物葬祭ディレクターの有資格者は、ペットの火葬や葬儀に関する専門知識を有し、葬祭を適切に執り行うことができます。
動物葬祭ディレクターの資格は、1級と2級に分かれています。1級が2級の上級資格です。
動物葬祭ディレクターの資格は、一般社団法人 動物葬儀霊園協会が実施と認定を行っています。動物葬儀霊園協会は、日本で初めて法人化された協会です。各地域で実績と信頼がある動物霊園で構成されています。
学ぶ知識・技術
動物葬祭ディレクターの試験は、テキストをもとに出題されます。テキストは『動物葬祭概論』(税込3,300円)です。
『動物葬祭概論』(3版)の内容は下記で構成されています。
- 1章:動物葬祭の知識と実践
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- 動物葬祭の呼称の位置付け
- 動物供養と動物愛護の歴史
- 動物葬祭業の始まりと現在
- 人間の葬送と種類
- 土葬の定義
- 火葬の定義
- 葬送業務の接遇
- 動物葬祭の流れ図
- 2章:火葬の知識と実践
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- 火葬の歴史
- 火葬及び燃焼とは
- 火葬及び火葬炉について
- 拾骨の意味と方法
- 骨上げ及び収骨設備
- 火葬燃焼器の種類
- 煙突等の空気循環装置
- 火葬の安全な作業
- 火葬炉の維持及び管理
- 公害防止装置
- 火葬場建設と住民対策
- バーナーの基本構造図
- 動物火葬場の基本構造例
- ペット火葬車
- 火葬後の残骨について
- 3章:遺体燃焼と化学
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- 遺体燃焼
- 遺体構成と燃焼
- 焼骨と遺骨
- 水分と火葬
- 発火温度と燃焼温度
- 可燃物の発熱量
- 酸素濃度と燃焼温度
- ダイオキシンと脱臭
- 動物炉の集塵装置
- 燃焼計算の意味
- 4章:動物霊園管理
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- 動物霊園施設
- 墓地・納骨堂の種類
- 動物霊園管理運営
- 管理のマニュアル参考例
- 意識と能力の向上
- 参拝者対応
- 霊園職員の使命
- 運営管理の確立
- 業務執行指針の作成
- 長期的運営管理の計画書
- 5章:ペットロス
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- ペットロスの定義
- ペットロスの分類
- ペットロスのプロセス
- ペットロスのエピソードと症状
- ペットロス症候群とは
- ペットロスとペットロス症候群の相違
- ペットロスと病的悲嘆
- ペットロス悲嘆を重くする要因
- 専門者に照会すべき喪主
- ペットロスへの準備教育
- 死別の悲しみを乗り越えるには
- ペットを亡くした悲しみを抑える理由
- 6章:喪主対応及び業務道徳
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- 喪主への心遣い
- ホスピタリティ精神
- 礼儀礼節
- 四段階のサービス
- グリーフケア
- 喪主への挨拶と説明
- 業務規範
- 法律遵守と企業道徳
- 事業者の礼節と規範
- 7章:衛生管理
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- 人と動物の共通感染症
- 共通感染症の種類
- 消毒とは
- 遺体の取り扱い方・その他注意点
- 8章:動物愛護法及び愛玩動物
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- ペットに関する法律について
- 主な犬の体重や特徴
- 主な猫の特徴
- 動物の寿命
- 動物マメ知識
- 9章:宗教と社会
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- 宗教とは何か
- 日本の宗教文化
- 日本の新宗教
- ペット葬儀・供養
- 10章:法令及び仏教の資料
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- 動物葬祭に関する法律・法令
- 施設建設に関する法律
- 動物葬祭に関する条例
- 仏教の資料
1級の問題は複合4択方式、2級の問題は4択方式で出題されます。1級は70点以上、2級は60点以上の正解が合格基準です。
動物葬祭ディレクターで目指せる職業、就職先は?
動物葬祭ディレクターになると、ペット霊園や動物葬儀場への就職に役立つでしょう。2021年時点で、ペット火葬業を行うには特定の資格は必要ありません。ただし、開業に伴い火葬炉を使用する場合は消防法の定めにより、届け出が必要となることがあります。開業する地域の条例を確認することも忘れてはいけません。
特定の資格が必要ないものの、動物葬祭ディレクターの資格取得を通してペット火葬やペット葬儀に求められる専門知識や接遇などを習得できるでしょう。
動物葬祭ディレクターになるとどんな悩みが解決できる?
動物葬祭ディレクターになると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- 動物葬祭ディレクターが解決できること
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- 悪質な業者によるご遺体やご遺骨の不法投棄に歯止めをかける
- 火葬による煙や臭いなど、近隣トラブルを未然に防ぎ、適切に対応する
動物葬祭ディレクターの資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
動物葬祭ディレクターの受験資格は、1級、2級で下記のように定められています。
- 1級動物葬祭ディレクター
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- 動物葬祭の実務経験が3年以上の動物葬祭業に従事する従業員及び動物葬祭業を1年以上営む実務経営者
- 検定試験2級合格者
- 2級動物葬祭ディレクター
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- 18歳以上の日本人と日本の永住権のある外国人
取得にかかる費用
動物葬祭ディレクターの受験費用は、1級と2級で下記のように定められています。
- 1級動物葬祭ディレクター
- 受験料:15,000円 (検定試験2級合格者は7,500円)
- 2級動物葬祭ディレクター
- 受験料:8,000円
動物葬祭ディレクター試験の日程
動物葬祭ディレクターの試験は、東日本会場と西日本会場で年一回ずつ開催されます。
動物葬祭ディレクターはどんな人におすすめの資格?
動物葬祭ディレクターは、これからペットの火葬場や霊園への就職を目指す人、現在それらの職種に就いている人におすすめの資格です。
ペットは従来から人気の高い犬や猫のほか、文鳥やハリネズミなどさまざまな種類があります。大事なペットを丁重に弔いたいと考える飼い主の気持ちに寄り添い、適切に対応する動物葬祭ディレクターの存在は今後も重宝されるでしょう。
- 動物葬祭ディレクターの資格取得がおすすめな人
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- ペットの火葬場や霊園への就職や転職を目指す人
- 動物に関連する仕事に就きたい人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
動物葬祭ディレクターは、一般社団法人 日本動物葬儀霊園協会が管理しています。試験の詳細や申込については下記HPから確認してください。
まとめ:大切なペットを弔うサポートをするやりがいのある仕事
ペットの火葬や葬儀を行うために必須の資格はありませんが、動物葬祭ディレクターの資格取得を通して専門知識や接遇が身に付きます。ペットの死は飼い主さんにとってとても辛い出来事です。動物葬祭ディレクターとしてペットの弔いを丁重にサポートする仕事はやりがいがあり、これからも重宝される仕事になるでしょう。
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