日本で働く外国人の雇用では、社会保険などの手続きや法律への理解が必要です。グローバル化と高齢化が進むなか、正しい知識とノウハウによる外国人雇用が求められています。
この記事では、適切な方法で外国人を雇用するための「外国人雇用管理士」について、試験の出題範囲や資格取得のメリットを紹介します。
外国人雇用管理士とは、どんな資格?
外国人雇用管理士は、外国籍の労働者雇用に必要な知識やノウハウを習得していることを証明する民間資格です。日本に中長期間在留する外国人労働者を対象とした新在留資格制度に関する知識などを身に付け、外国人就労者を適切に雇用できる人材育成を目的としています。
学ぶ知識・技術
外国人雇用管理士になるには、試験に合格する必要があります。試験はマークシートの択一試験で50問4肢択一で出題されます。試験時間は2時間です。
出題内容は下記の通りです。
- 外国籍就労者の募集および採用
- 外国籍就労者の労働条件
- 外国籍就労者の安全衛生
- 外国籍就労者の社会保障
- 適切な人事と福利厚生
- 在留資格の種類
- 労働契約の終了
- 外国籍就労者の不法就労
- 異文化理解
試験に合格すると合格証書が送付されます。発行・送付手数料は無料です。試験合格の効力は2年間の期限が付きます。合格後2年以内に「外国人雇用管理士」として登録する必要があります。登録をしなかった場合、試験合格は無効となります。
登録の際には、東京都外国人就労認定機構へ「外国人雇用管理士登録講習 受講申込書」一式を提出し、登録講習を受講することが可能です。登録講習受講後に、外国人雇用管理士証が交付されます。
また、試験に向けて「外国人雇用管理士直前対策講座」を受講することができます。
- 外国人雇用管理士直前対策講座
- 外国人雇用管理士試験のポイント、外国人雇用実務のポイントを学習する講座
- 講習受講者の試験免除
- 講習を受講すると、外国人雇用管理士試験の出題範囲のうち、5問(問40~問50のうち5問分)が免除される。免除の有効期限は2年間
外国人雇用管理士で目指せる職業、就職先は?
外国人雇用管理士の資格を取得すると、下記の職種で知識やスキルを活かすことができるでしょう。
- 外国人を雇用する企業の人事・労務・総務部
- 外国人労働者の送出機関、管理団体、登録支援機関
- 外国人労働者を雇用する人材派遣業
外国人雇用管理士になるとどんな悩みが解決できる?
外国人雇用管理士になると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- 外国人雇用管理士が解決できること
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- 外国人を雇用するときに適切な採用活動ができる
- 外国人労働者が短期間で離職することを防ぐ
- 外国人の雇用に伴う社会保険手続きを適切に進められる
外国人雇用管理士の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
外国人雇用管理士の受験資格には定めがありませんが、合格後の登録には制限があります。下記に当てはまる人は登録ができません。
- 成年被後見人または、被保佐人
- 禁固以上の刑に処され、刑の執行が完了または刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない人
- 破産者で復権を得ていない人
外国人雇用管理士の登録要件
試験合格者は、合格後2年以内に「外国人雇用管理士」として登録します。登録時には、「外国人雇用管理士登録講習 受講申込書」と証明写真2枚が必要です。さらに、次の書類のうちいずれか一点の提出が必要です。
- 自動車運転免許証(コピー可)
- 運転経歴証明書(コピー可。※交付年月日が平成24年4月1日以降のものに限る)
- 健康保険、国民健康保険または船員保険等の被保険者証(コピー可)
- 登録申請日より3か月以内に発行された住民票(コピー不可。本籍と続柄が省略された本人のみ記載住民票に限る)
- 在留カード(コピー可)
取得にかかる費用
外国人雇用管理士の受験費用は下記の通りです。
- 受験料:9,900円(税込)
- 講座参加費:12,980円(税込)
- 登録料:39,800円(税込)
登録料39,800円(税込)は、外国人雇用管理士登録講習受講料、外国人雇用管理士証交付手数料の費用の合計金額です。
外国人雇用管理士試験の日程
外国人雇用管理士試験は、年一回、7月に開催されます。以前は年二回の開催でしたが、年一回へと変更がありました。
外国人雇用管理士はどんな人におすすめの資格?
外国人労働者は日本の経済を支える大切な人材です。ですが法整備の課題などはまだ改善する必要があります。雇用の現場においても適切な知識やノウハウがないと、外国人労働者の権利が守られない事態を招いてしまいます。
外国人雇用管理士の資格は、外国人を雇用する企業やその人事・労務業務を担当する人におすすめの資格です。外国人を雇用する経営者や人事部、労務部、総務部が代表的でしょう。
そのほか外国人労働者の送出機関、管理団体、登録支援機関、人材派遣会社で働く人にとっても役立つ知識を身につけられます。
行政書士、弁護士、社会保険労務士の有資格者が外国人雇用管理士の資格を取得することで、外国人の雇用に関する手続きへの理解が深まります。
- 外国人雇用管理士の資格取得がおすすめな人
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- 外国人を雇用する経営者や人事部、労務部、総務部
- 外国人労働者の送出機関、管理団体、登録支援機関、人材派遣会社で働く人
- 行政書士、弁護士、社労士でダブルライセンスを目指す人
- 外国人労働者の雇用をサポートしたい人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
外国人雇用管理士の試験は、一般社団法人 東京都外国人就労認定機構が管理しています。試験の詳細は下記HPから確認してください。
まとめ:日本経済を支える大切な人材のために外国人雇用管理士の資格が活かせる
外国人労働者は現在も企業にとって大切な人材です。人口減少が進む日本では、外国人労働者の存在がますます重要になることが予想されます。雇用にはさまざまな手続きが必要で、外国人労働者の場合は適切に法律に沿って対応しなくてはいけません。正しい知識で雇用を進めるために、外国人雇用管理士の資格取得を目指すと安心でしょう。
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