ドイツ語は、ドイツだけではなくたくさんの国で使用されている言語です。日本でも第二外国語としてドイツ語を履修している学生は少なくありません。
この記事ではドイツ語能力を証明できる「ドイツ語技能検定試験」について、試験概要やドイツ語を学習するメリットを紹介します。
ドイツ語技能検定とは、どんな資格?
ドイツ語技能検定とは、ドイツ語の実力や学習成果を客観的に測ることができます。1992年の試験開始から累計約40万人が受験をしました。
ドイツ語は世界的に多くの人に使用されている言語です。特にEUでは複数の国でドイツ語が公用語として認められています。
- ドイツ
- オーストリア
- スイス
- リヒテンシュタイン
- ルクセンブルク
上記の国ではドイツ語が公用語として使われています。フランスのアルザス=ロレーヌ地方やイタリアの南チロル地方などでもドイツ語は使われていますので、ヨーロッパ語圏ではとても多くの人にとって身近な言語です。
ドイツ語技能検定試験は、日本の団体が主催している唯一のドイツ語の検定試験であり、日本での知名度は高いといえます。試験は1級から5級までレベル分けされており、1級が最も難易度が高い等級です。
- 1級
- 数年以上にわたって継続してドイツ語に接し、十分にドイツ語を使用する能力を有する人
- 準1級
- ドイツ語の授業を数年以上にわたって継続的に受講し、各自の活動領域においてドイツ語に習熟しているか、これと同じ程度の能力のある人
- 2級
- ドイツ語の授業を約180時間(90分授業で120回)以上受講しているか、これと同じ程度の学習経験のある人
- 3級
- ドイツ語の授業を約120時間(90分授業で80回)以上受講しているか、これと同じ程度の学習経験のある人
- 4級
- ドイツ語の授業を約60時間(90分授業で40回)以上受講しているか、これと同じ程度の学習経験のある人
- 5級
- ドイツ語の授業を約30時間(90分授業で20回)以上受講しているか、これと同じ程度の学習経験のある人
学ぶ知識・技術
ドイツ語技能検定試験を取得するためには、試験に合格する必要があります。
1級(Höchststufe)
- 語彙
- 制限なし
- 合格レベル
-
- 標準的なドイツ語を不自由なく使え、専門的なテーマに関して書かれた文章を理解し、それについて口頭で意見を述べることができる
- 複雑なテーマに関する話やインタビューの対話などの内容を正確に理解できる
- 複雑な日本語の文章をドイツ語に、ドイツ語の文章を日本語に訳すことができる
- 一次試験
-
- 筆記試験(120分)
- 聞き取り試験・一部書き取り含む(約40分)
- 二次試験
- ドイツ語を母語とする人および日本人による口述試験。示されたリストから一つのテーマを選んで行われる質疑応答により、発音とイントネーション、文章構成能力、テーマに即して意見を述べる能力、コミュニケーション能力を測る
準1級(Oberstufe)
- 語彙
- 5,000語
- 合格レベル
-
- ドイツ語圏の国々における生活に対応できる、標準的なドイツ語を十分に身につけている
- 新聞などの比較的複雑な記事や論述文などを読むことができる
- 自分の体験などについて詳しく話し、社会的・実用的なテーマについて口頭で自分の考えを述べることができる
- 比較的長い文章の要点を聞き取り、短いドイツ語の文章を正しく書くことができる
- 一次試験
-
- 筆記試験(90分)
- 聞き取り試験・一部書き取り含む(約35分)
- 二次試験(約8分)
- ドイツ語を母語とする人および日本人による口述試験。会話形式(写真素材使用)で、発音とイントネーション、文章構成能力、描写能力、コミュニケーション能力を測る
2級(Mittelstufe)
- 語彙
- 3,000語
- 合格レベル
-
- ドイツ語の文法や語彙についての十分な知識を前提に,日常生活に必要な会話や社会生活で出会う文章が理解できる
- やや長めの文章の主旨を理解し,内容についての質問に答えることができる
- 具体的・抽象的なテーマについてのインタビューや短い記事の内容を聞き取ることができる
- 短いドイツ語の文を正しく書くことができる
- 試験
-
- 筆記試験(80分)
- 聞き取り試験・一部書き取り含む(約30分)
3級(Grundstufe)
- 語彙
- 2,000語
- 合格レベル
-
- ドイツ語の初級文法全般にわたる知識を前提に、簡単な会話や文章が理解できる
- 基本的なドイツ語を理解し、ほとんどの身近な場面に対応できる
- 簡単な内容のコラムや記事などの文章を読むことができる
- 短い文章の内容を聞き、簡単な質問に答え、重要な語句や数字を書き取ることができる
- 試験
-
- 筆記試験(60分)
- 聞き取り試験・一部書き取り含む(約30分)
4級(Anfängerstufe)
- 語彙
- 1,000語
- 合格レベル
-
- 基礎的なドイツ語を理解し、初歩的な文法規則を使って日常生活に必要な表現や文が運用できる
- 家族、学校、職業、買い物など身近な話題に関する会話ができる
- 簡単な手紙や短い文章の内容が理解できる
- 比較的簡単な文章の内容を聞き、質問に答え、重要な語句や数字を書き取ることができる
- 試験
-
- 筆記試験(60分)
- 聞き取り試験・一部書き取り含む(約25分)
5級(Elementarstufe)
- 語彙
- 550語
- 合格レベル
-
- 初歩的なドイツ語を理解し、日常生活でよく使われる簡単な表現や文が運用できる
- 挨拶の表現が適切に使える
- 自分や他人を簡単に紹介することができる
- 広告やパンフレットなどの短い文の中心的な内容が理解できる
- 必要に応じて簡単な数字やキーワードを書き取ることができる
- 試験
-
- 筆記試験(40分)
- 聞き取り試験・一部書き取り含む(約20分)
ドイツ語技能検定試験で目指せる職業、就職先は?
ドイツ語技能検定を取得すると、下記の職種や業界で能力を発揮できるでしょう。
- 外資系企業
- 商社
- 貿易会社
- ドイツ企業と取引を行う企業
- 国際交流団体の職員
- 翻訳・通訳
職務履歴書に記載したり面接での自己アピールとしたい場合、1級と準1級を取得していると企業側からの印象がアップします。2級以上の取得をしていれば、就職活動や転職活動に役立つでしょう。
ドイツ語技能検定試験に合格するとどんな悩みが解決できる?
ドイツ語技能検定試験を取得すると、学生の単位認定や編入学の資格認定の要件を満たすことがあります。入学試験の優遇措置などの要件としていることもありますので、学校によってはドイツ語技能検定試験が役立ちます。
また通訳案内士を目指している人は、ドイツ語技能検定試験1級を取得していると試験の外国語(ドイツ語)科目の筆記試験が免除されます。
ドイツ語技能検定試験の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
ドイツ語技能検定試験の受験資格に、年齢や国籍などの制限はありません。
受検者のうち約6割は大学生が占めますが、小学生から90歳代まで幅広い年齢の受検者がいます。
ドイツ語技能検定試験の一次試験免除資格
1級と準1級の受検者で二次試験に不合格となった人の中で、一次試験の高得点者には次年度の受験における一次試験免除資格が与えられます。免除資格は次年度のみ有効です。なお、検定料は一般の受験者と同額となります。
取得にかかる費用
ドイツ語技能検定試験の検定料は、等級ごとに次のように定められています。
- 1級:13,500円
- 準1級:11,500円
- 2級:9,500円
- 3級:7,500円
- 4級:5,500円
- 5級:4,500円
隣り合った級であれば併願が可能ですので、チャレンジしたい人は2つの級を受験できます。併願の場合の検定料は下記の通りです。
- 併願(準1級・1級):23,000円
- 併願(2級・1級):20,000円
- 併願(3級・2級):16,000円
- 併願(4級・3級):12,000円
- 併願(5級・4級):9,000円
ドイツ語技能検定試験の日程
ドイツ語技能検定は、夏と冬の年2期間実施されます。 受験を希望する級によって、試験日が異なりますのでよく確認してください。
ドイツ語技能検定試験はどんな人におすすめの資格?
ドイツは有名な音楽家を数多く輩出した国であり、芸術に魅力を感じる人も多くいます。サッカーなどスポーツもさかんです。趣味としてドイツ語を学習することで、ドイツの文化や暮らしへの理解がより深まるでしょう。習得した言語は、ドイツ語圏への旅行などでも役立ちます。
世界中で多くの人に使用されている言語であり、日本国内でも大学などで第二外国語としてドイツ語を学習する学生は多くいます。ドイツ語圏に留学したい学生は、是非ドイツ語技能検定試験にチャレンジしてみてください。
仕事でも、ドイツ語能力を発揮する場面はあるでしょう。ドイツ企業と取引を行う日本企業への就職を希望する場合、ドイツ語技能検定試験の2級以上の取得を目指しましょう。
ただし、国際的なビジネスシーンでは英語でコミュニケーションする場合も多くあります。ドイツ語を学習しながら、英語力も磨いていくと国際的なビジネスパーソンとしてスキルアップできますよ。
- ドイツ語技能検定試験の資格取得がおすすめな人
-
- 趣味としてドイツ語学習を通して、ドイツ語圏の文化に親しみたい人
- ドイツ語を履修している学生
- ドイツ企業などと取引のある企業に就職したい人
- 英語のほかにも使用者が多い言語を習得したい人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
ドイツ語技能検定試験を実施しているのは、公益財団法人ドイツ語学文学振興会です。この検定試験は、ドイツ大使館、オーストリア大使館、スイス大使館、ドイツ学術交流会、ゲーテ・インスティトゥートの後援を受け、公益財団法人日独協会とドイツ語教科書協会と協賛しています。
試験の詳細は下記HPから確認してください。
まとめ:英語に加えてドイツ語も習得すると就職や趣味の幅が広がる
外国語として学習者が多い言語は英語ですが、ほかの言語も堪能だと仕事やプライベートがより充実します。ドイツ語は複数の国で公用語とされており、マスターすればたくさんの人とコミュニケーションを取れるようになり、趣味の幅も広がりますよ。
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