1970年代以降、建設現場や工場での労働災害は減少傾向にありますが、これを陰で支えているのが「労働安全コンサルタント」です。この労働安全コンサルタントとはどんな資格か、具体的な仕事内容や役割、資格の取得方法などを紹介していきます。
労働安全コンサルタントとは、どんな資格?
労働安全コンサルタントとは、製造業や建設現場で働く人々が安全に仕事に励むことができるよう、作業場等の診断や改善などの指導を行う専門家及び国家資格です。
似た名前の職種に「労働衛生コンサルタント」がありますが、こちらが働く人達の労働環境の衛生状態の確認・指導を主に行うのに対し、労働安全コンサルタントは労働環境の安全性についての確認・指導を担当します。怪我が起こりやすい作業現場での労働災害、死者の発生を防止するためには、必要不可欠な存在です。
具体的には、次のような仕事内容を担います。
- 依頼を受けた企業(作業場)の労働安全状況の把握
- 労働安全上の問題が見られた場合、改善のために計画を策定する
- 企業内の責任者への改善指導
- 労働環境全体の最適化(設備の設置、交換など)
- 労働安全に関する規則・点検基準の設定、実施、管理
学ぶ知識・技術
労働衛生コンサルタントになるには、労働衛生コンサルタント試験に合格する必要があります。この試験では、択一式・記述式の筆記試験及び口述試験にて、下記の知識が問われます(機械安全/電気安全/化学安全/土木安全/建築安全から試験区分を選択)。
- 産業安全一般
- 産業安全関係法令
労働安全コンサルタントで目指せる職業、就職先は?
労働安全コンサルタントの資格取得後は、関連コンサルティング企業・事務所での就職が見込めます。実績を積んだ後は、個人事業主として開業することも可能です。
労働安全コンサルタントになるとどんな悩みが解決できる?
労働安全コンサルタントになると、自身の知識を活かして次のような悩み・問題を解決できます。
- 労働安全コンサルタントが解決できること
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- 作業場での事故が起こらないよう、労働環境の安全性をチェックし、問題点を指導する
- 従業員の怪我を未然に防ぐ
- 労働災害を防ぐことで、企業が円滑に業務を続けられるようにする
労働安全コンサルタントの資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
労働安全コンサルタントの資格を取得できるのは、労働安全コンサルタント試験に合格し、公益財団法人安全衛生技術試験協会に登録した人です。この試験を受けるには、下記の受験資格を満たす必要があります。
労働安全コンサルタント試験の受験資格
- 大学の理系卒業者で、労働安全実務5年以上の者
- 短大・高等専門学校の理系卒業者で、労働安全実務7年以上の者
- 高等学校・中等教育学校の理系学科を修了・卒業し、労働安全実務10年以上の者
- 技術士試験に合格した者
- 第一種電気主任技術者免状の交付を受けている者
- 1級土木施工管理技術検定に合格した者
- 1級建築施工管理技術検定に合格した者
- 1級建築試験に合格した者
- 安全管理者として10年以上その職務に従事した者
- 安全に関する講習を修了し、かつ15年以上安全の実務に従事した経験を有する者
- 安全管理士、または安全管理士であった者
- 産業安全専門官であった者で、8年以上安全の実務に従事した経験を有する者
- 労働基準監督官として、8年以上その職務に従事した者
- 森林法(昭和36年法律第249号)第187条第1項の林業専門技術員として、5年以上その職務に従事した者
- 水産大学校、防衛大学校、気象大学校、海上保安大学校を卒業し、その後5年以上安全の実務に従事した経験を有する者 など
取得にかかる費用
労働安全コンサルタント試験の受験にかかる費用は、24,700円です。また合格後、安全衛生技術試験協会に労働安全コンサルタントとして登録する際は、20,000円必要になります。
労働安全コンサルタントはどんな人におすすめの資格?
労働安全コンサルタントは、次のような人に取得がおすすめの資格です。
- 労働安全コンサルタントの資格取得がおすすめな人
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- 高収入の仕事に就きたい人(平均年収600~700万円)
- 技術士や第一種電気主任技術者、1級建築士など特定の資格を既に保有している人(受験資格を満たせる上、自身の得意分野でコンサルティングの副業を担うことができます)
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
労働安全コンサルタントの資格を管理し、国家試験を実施しているのは、厚生労働省による指定機関である「公益財団法人 安全衛生技術試験協会」です。その年の試験日程や試験会場、受験資格、受験や資格登録の手続きなどについては、下記のHPからご確認ください。
まとめ:労働安全コンサルタントの社会的役割は大きく、高収入も魅力!
労働安全コンサルタントは、危険の伴う作業現場で働く労働者を事故から守るため、また企業の労働災害を防ぐために欠かせない存在です。特定の資格を既に取得している人は労働安全コンサルタント試験を受験しやすく、また合格後は高収入も見込めるので、副業や独立開業に興味があるならぜひチャレンジを。
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